タイプ3:キーボード入力が苦手
若い世代は、パソコンのキーボード入力よりもフリック入力の方がなじみがあるようだ。PCよりスマホでの入力の方が得意なので、スマホで書いている学生もいるという話を聞いた。スマホのメモ帳に下書きをして、パソコンでWordに貼り付け、整形したものをプリントして提出している学生がいるそうだ。
大学に入学するまでにパソコンに触れたことがない人も少なくない印象で、そういう人はフリックの方が楽なのかもと感じることもあるらしい。それでも、周囲はパソコンでレポートを書いている人が圧倒的多数だそうだ。
ITmediaの記事でも、97.5%がPCをレポート作成に利用し、12.2%がスマホをレポート作成に使うと回答している。ほとんどの学生がレポートをパソコンで書いているものの、たまにスマホを利用する学生が約1割いると考えると、今回の取材と感覚的に一致する。「レポートをスマホで書く」学生はいないが、「レポートにスマホを使う」学生はいる、という表現が適切と言えるのかもしれない。
大学がPCを貸与したり、必携化している
最後に、そもそもの「若者のパソコン離れ」について、大学側からのアプローチを見てみよう。
取材に答えてくれた学生によれば、「大学入学時に全員買うことになっていた」「学科全員にパソコンが無償貸与されている」「大学の無償貸与パソコンを使っていた」など、大学が学生にパソコン使用を求めているために、周囲も含め全員がパソコンを利用しているケースがあることが分かってきた。
Googleで「パソコン 必携」と検索すれば、広島大学、東京情報大学、高知大学など、複数の大学がパソコンを学生に求めていることが分かる。このような取り組みの背景には、大学側の学生のパソコン離れに対する危機感があるのだろうか。学生全員にパソコン必携を求めている、東京学芸大学を取材した。
大学で初めてパソコンを触る学生が増えている
東京学芸大学では、履修登録などの手続きをインターネットを通じたシステムで行っている。パソコンを必携にし、そういった手続きやレポートの作成にパソコンを使用してもらっているそうだ。教室やラウンジ、生協に無線LANを導入し、学内にはUSBメモリ経由で印刷できるプリンタも用意している。経済的に購入が難しい学生には無償貸与もしている。
最近では、大学に入学して初めてパソコンを触る学生が増えていると感じているそうだ。レポートはパソコンで書くものの、パソコン操作前提の履修登録は大半の学生がスマホを使っているらしい。
プレゼンテーションが活発なゼミではPowerPointを使うので、パソコンに触れる時間も長くなるが、それ以外はなかなかパソコンに触ろうとしてくれない。履修登録のシステムはパソコン前提で設計されているので、スマホから操作することによって、細かいところを理解せずに手続きを進めてしまう事態も起きている。社会人になってからパソコンは必ず使うので、なるべくパソコンを使うように、オリエンテーション等で伝えていきたいと話していた。
筆者が大学生だった20年前も多くの学生がパソコンを持っておらず、大学に入って初めてパソコンに触れる人が多かった。そして、社会人になってからパソコンを使えないと困るからと、レポートをパソコン必須にする教授もいた(当時は多くのレポートが手書きだった)。学生たちも、パソコンは使えるようにならないとまずいという危機感を持っていたように思う。あれから20年、誰もがパソコンを持っている時代を通り越し、同じようなことが起きているのかと思うと、今どきの学生に親近感を覚えてしまう。
ちなみに、冒頭の早稲田大学のパソコンルームであるが、テスト期間中、レポート期日前にはよく見られる光景だそうだ。レポートを書くというよりは、24時間利用できることもあり、テスト勉強に集中するために利用している人が多いのではという話だった。他大学の学生はこの光景には驚いていたので、大学によって異なる特有の現象なのだと思われる。
(高橋ホイコ)
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