「爆買い」として報じられた以前ほどの勢いはなくなったとはいえ、都内では今でもいろいろなお店で物を買う中国人を見掛けます。つい先日も、10月1日から始まった中国の建国記念日「国慶節」に伴う連休で、多くの中国人が日本を訪れました。
中国人に人気だというのが、日本の家電。渋谷や新宿、秋葉原などの量販店には、商品を眺める中国人がたくさんいます。
ここで1つ気になるのは、「日本の家電って、中国に持って帰ってそのまま使えるの?」というところ。
炊飯器や冷蔵庫などはコンセントにつなぐだけですが、PCやスマホは、日本で買えば全部日本語です。中国語は漢字ばかりですし、私たちが使うのと同じQWERTY配列のキーボードで入力できるのでしょうか。
今回は、中国語のキーボードの仕組みを探ってみましょう。
ピンイン入力
まずご紹介するのが、ピンインを使った入力方法。
日本語の漢字に「読みがな」があるように、中国語の漢字にも「ピンイン」という読み方が、それぞれつけられています。例えば、中国は「Zhong guo」、北京は「Bei jing」、この間生まれた上野動物園の子パンダ・シャンシャン(香香)は「Xiang xiang」となります。
アルファベットで構成されるピンインを単語ごとに入力していけば、あとはPCが変換してくれる、という仕組みです。意外と簡単(本来のピンインはアルファベットのほかに声調記号が付きますが、キーボードでは必要ありません)。
試しにこの入力方法を使って「このギョーザはとてもおいしいです」と中国語で書いてみたら、「好吃(hao chi/おいしい)」の変換候補にかわいい顔文字が出てきました。このあたりの事情は、日本とあまり変わらないのかも。
ちなみに、私たちに読めない日本語の漢字があるように、中国の方々も全ての漢字のピンインを把握しているわけではありません。この問題を解消するためには、手書き入力を使用する方法があり、この方法で入力している人も多いのだとか。
その他の入力方法
大陸ではピンイン入力が主流ですが、中国語を使う他の地域では別の入力方法も採用されています。
注音輸入法
主に台湾で使われている方法です。台湾では、漢字の読みをピンインではなく、独自の「注音符号」で表すことが多いです。これは漢字の字形を利用した表音文字で、漢字の読み方を記すために使われることも。要するに、日本でいうところの平仮名のようなものです。
この注音符号が割り振られたキーボードを使って、各符号を組み合わせれば「かな入力」のように漢字変換できるというわけですね。
蒼頡輸入法
主に香港で使われている方法です。「蒼頡(そうけつ)」とは、発音記号などの種類ではなく、漢字を発明したといわれる伝説上の人物の名前で、それにあやかっているだけです。では、一体どんな入力方法なのでしょうか。
漢字を、構成している部分(字根)によっていくつかに分解します。字根の種類は限られているので、字根をキーボードに割り振り、その組み合わせによって漢字に変換します。
ちなみにこの蒼頡輸入法は、「慣れればとにかく速く打てる」のが特徴らしく、たくさん文字を打つ仕事をしたり、タイピングの大会に出たりする人が多く採用しているようです。Windows10でも、これを導入すると「速」というマークで表示されます。
おわりに
いくつか中国語の入力方式を紹介してきましたが、いずれも一般的なQWERTY配列を利用できるということは、お分かりいただけたと思います。ただ、日本のPCのキーボードにはひらがなが書かれているので、注音輸入法や蒼頡輸入法はやりづらいわけですが……。
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