「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」最速上映イベントのチケットをめぐる争奪戦で、“聖地”TOHOシネマズ日劇が怒号に包まれました。
同作は12月15日公開のシリーズ最新作。前夜祭イベントでは1日早い12月14日夕方に見られるとあって、プレミアチケットにファンからの熱視線が集まっていました。イベントは全国32の劇場で同時開催されますが、他の劇場が11月14日24時からネット販売開始だったのに対し、唯一TOHOシネマズ日劇のチケット400枚だけは14日早朝に整理券が配られました。
日劇は事前に、建物11階の「シアター1」内で6時に受け付けを開始するとアナウンスしていました。しかしこれがかえって混乱を招くことに。徹夜で敷地内に並ぶいわゆる「徹夜組」は容認されていませんでしたが、そうした注意喚起もむなしく建物の外には長蛇の列が自主的に形成。加えて「徹夜組」には属さない「始発組」なども早朝に合流。さらに列は公認されたものではないため、「エレベーターに乗ったもの勝ち」「6時に11階にたどり着きさえすれば良い」という雰囲気が次第に生まれ、最後は我先にとエレベーターに突進する「ダッシュ」が発生。エレベーターはすし詰めとなり、Twitterでは「けが人が出た」「まさに地獄絵図」「日劇のエレベーターは蜘蛛の糸」といった報告が多数上がりました。
現地の様子はどのようなものだったか、参加者に話を聞きました。
誰も管理してない環境だったので、そりゃああなるよって感じでした
―― Aさんが到着したときはどういう状況でしたか。
参加者Aさん 私は始発組にやや遅れて、タクシーで5時前に到着しました。その時点で日劇入り口のからくり時計の前に、徹夜組の作った大きな列(後方には始発組も混ざっています)があり、その列に与しない徹夜組と始発組も20人ほどいたと思います。敷地内は滞留禁止とのことだったので、みんな歩道に立って待っていました。自分は徹夜組の形成した列ではなく、歩道に立って待ちました。途中近くの警察の方もいらっしゃって話をしたのですが、「取り締まるようなことはない」「この方々もそんなに酷い騒ぎを起こしたりはしないだろう(信頼の笑み)」と、警備員の方と談笑した後に離れていきました。
―― 警備員は何人いましたか。
Aさん それまで警備員は2人いましたが、もうすぐ入場に関する列形成とかあるのかな? と思っていた5時30分頃、警備員の責任者風の人が来て「歩道に滞留されるのは困るので解散してください」と案内がありました。「6時になった瞬間ダッシュする人が現れると思うが?」という質問には「そのような人は静止する」と返されていました。
―― いったん解散するよう案内はあったんですね。
Aさん 「後方の列はちゃんと解散するから安心してほしい」との説明もあったので、一度コンビニへ温かいお茶を買いました。コンビニを出て戻ろうとすると、有楽町側の出入り口あたりでも別の列が形成されていて、そちらでも警備員さんが同様の案内をしていました。解散させられた有楽町側の人もからくり時計側出入り口の方に向かって歩きだしたので、私もその流れに乗って移動しました。からくり時計前に戻ると、警備員に従わず列を崩さない人(徹夜列・それ以外)が大勢いました。正直私も、販売開始30分前の段階で、既に形成されている列を解散させるのは現実的じゃないとは思っていたので、「やはり」とは思いました。
―― そこから「よーいどん」でダッシュが始まるわけですか……。
Aさん 先頭にいた列以外の集団がしびれを切らし、「じゃあこれ先に行っちゃったほうが勝ちじゃねえか?」と言いながらエレベーターまでダッシュしました。だいたい10人ほどだったと思います。え、それはだめなのでは? と思ったのもつかの間、列の先頭集団もそれに続いてなだれ込みました。どこかでその流れが途切れるのかなと思いましたが、そういうことはなく、形成された列のすべてがエレベーターホールまでダッシュした形です。エレベータホールになだれ込んだのは5時47分頃。「列に並んでないやつはどけ!」など怒声が飛び交っていました。
―― こわい。
Aさん 警備員の方は勿論エレベータ前に留まらないよう指示を出していましたが、集団はそれでも動かず、結局そのまま6時を迎えました。
―― 何が問題だったと思いますか?
Aさん あまりにも問題が多すぎて……。しかし列形成に対して企画側が何もしなかったことで「やったもん勝ち」の空気に拍車がかかり、「ダッシュ」を生み出してしまったのは一因かと思います。企画側と警備の人がしっかりと連携を取っていなかったように感じました。また、徹夜組の列を監督している様子だった人も結局「ダッシュ」に参加してしまったことや、そもそもエレベーターで登った11階で受け付けをしたことなど、複合的な要因があったと思います。
―― ファンとしては、それだけ参加したいイベントということでもあったのでしょうか。
Aさん 私は前作「フォースの覚醒」で初めて「スター・ウォーズ」を日劇で鑑賞しました。前回チケットはネット販売だったので、特に問題は発生していません。公開日当日のロビーやスクリーン内での盛り上がりを含めて、「まだ見たことのない『スター・ウォーズ』」をファンが一緒になって鑑賞できる体験は貴重でした。こういった感覚は、「スター・ウォーズ」に限らず、“聖地”と呼ばれる場所のある他の作品にも言えることだと思います。「最後のジェダイ」でも前回のような「特別な感覚」を感じる事ができたらいいなと思います。が、やはり、ちょっと複雑な気分ですね……。
日劇は「スター・ウォーズ」の過去作を全て上映してきた、ファンからは“聖地”と親しまれている特別な場所。しかし2018年には付近にTOHOシネマズ日比谷がオープンする関係で閉館が決定していました。日劇で見られる最後の「スター・ウォーズ」とあって、ファンの思いもひとしお。せっかくの記念イベント、思い出が台無しにならないよう、企画側は次回開催時に今回の知見を生かしてほしいところです。
その後、日劇で夕方行われたカウントダウンイベントでは、主催から参加者に対し謝罪があったもよう。ねとらぼではこの件についてTOHOシネマズに問い合わせましたが、「窓口はウォルト・ディズニー・ジャパンになるので、そちらに聞いてほしい」との説明が。ウォルト・ディズニー・ジャパンは担当者が不在のため、追って連絡をするとのことでした。コメントがあり次第、こちらに追記します。
【追記:11月17日】ウォルト・ディズニー・ジャパンとTOHOシネマズ日劇は15日、共同で謝罪リリースを掲載。来場者が想定を上回ったため対応に至らない点があったことを認め、今後の改善に努める旨、コメントしています。
TOHOシネマズ 日劇における『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』前夜祭 特別上映チケットの整理券配布に関するお詫び
2017年11月14日(火)に実施いたしました『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』プレミアム・ナイト 前夜祭 特別上映チケットの整理券配布に際し、大変ご迷惑をお掛けしましたこと、ここに深くお詫び申し上げます。
この度の整理券配布につきまして、検討、協議を行ったのち、実施の運びとさせていただきました。
しかしながら、想定を上回る多くのお客様からのご要望に対して、お客様へのご案内、誘導、混雑への配慮、警備体制等が行き届かずご迷惑をお掛けしたことについて、猛省をすべきことと厳粛に受け止めている次第でございます。
今回の整理券配布に際し、お客様がご不快な思いをされた事実を重く受け止め、今後はこのようなことのないように誠心誠意努めてまいる所存でございます。
お客様には多大なご迷惑をお掛けしましたことを改めてお詫び申し上げますとともに、何卒ご理解いただけましたら幸いでございます。
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
TOHOシネマズ 日劇
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どんな展開になるか予想できない。