スマホで多くの人が使っているフリック入力を物理的なキーで可能にする「物理フリックキーボード」を個人が製作し、オンラインショップ「スイッチサイエンス」で電子工作キットが発売されています。これは一度触ってみたい……!
製作したのはTwitterユーザーのじゅにゃ(@junya28nya)さん。スマホでよく誤入力をするため物理的なボタンが欲しいと思い作ったという「物理フリックキーボード」は、いつも画面内で使ってるのと近い感じの手の平サイズ。デモ動画では、1つ1つが物理キーとなった「あ」〜「わ」のボタンを実際に左右上下にフリック(または押下)して文章を入力するのが確認できます。もちろん周囲には見慣れた位置にバックスペースキーやスペースキーも。
物理キーボードならではのカチカチという音が気持ちよく、キーがそれぞれほどよく離れているため誤入力することも減りそうです。このしっかり打っている感じとフリックの操作感がたまらない。
ツイートによると「スイッチ1つ1つをフリック」ではなく「基板ごとまとめてフリック」して小型化してるのがこのキーボードの特徴ということで、よく見ると1回のフリック入力で上部の基板全体が動いているのが分かります。発想が面白い!
じゅにゃさんはこのアイデア自体は以前から考えていたものの当時は実現する技術がなく、実際に製作する前にGoogleが昨年のエイプリルフールネタとして開発した「Google 日本語入力物理フリックバージョン」(関連記事)で先を越されてしまったそうです。そのためボツも考えたそうですが、「需要は高そうなのに一向に誰も製品化しないので自分がやってしまおう」と製作するに至ったとのこと。
ちなみに、Googleのネタ発表があった際にふてくされながらもいろいろ調べてみると、同様のアイデアを考えている人がいるのが分かったそうで、「結局、普通の人が思いつくたいていのアイデアはそれなりに思いついている人はたくさんいて、技術力を持って具現化したもん勝ちなのかなと思っています」とじゅにゃさん。先に出されたことは悔しかったものの、エイプリルフールネタをリスペクトしつつ、今は「Googleの人と同じ思考回路なんだなとポジティブに考えています笑」と話してくれました。
製作期間は、試作品の完成までが約半年。そして量産のための試行錯誤でさらに半年ほどかかったそうで、試作品を作るまでにはプログラミング以外の「マイコンや3Dプリンタ、レーザーカッターの使い方、基板の設計等、ゼロから覚えながら作りました」と、開発の道のりは長かったようです。
発売日の11月24日に初回分として14個納品したそうですが、やはり需要は高かったようです。はんだづけが必要な組み立て式という一般的にはちょっとハードルが高いアイテムであるものの、発売から約2日間で既に残り6個まで売れる人気となっています。価格は8980円 。細かい仕様や組立方法については販売ページで確認できます。
なお改良したい点について聞くと、「プログラムに使っているライブラリの都合上、半角/全角の切り替えができないので、そこの改良をしてアルファベット入力と、かな入力とを切り替えて使用できるようにしたい」とのこと。また個人ではなかなか大変な部分ですが「見栄えの良い筐体を開発したい」としています。
Twitterでは「フリックキーボード世代には使いやすい」といった声が上がり、「すごい」「欲しい」と話題に。パソコンでもフリック入力をしたいという需要が想像以上にあることを感じたというじゅにゃさんは「完全な製品化に向けて動いてみたいなと妄想している」としていて、将来的には「家電量販店のキーボード売り場の一角に物理フリックが置いてあったらいいなと……笑」思いを語ってくれました。
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