倒産被害にあわない方法はあるのか?
消費生活センターによれば、そもそも被害にあわない方法――つまり倒産を事前に見抜くと言うことは本当に難しいそうだ。完全に防ぐ方法はないものの、「早期契約」「長期契約」はリスクが高まる契約とのこと。
例えば、晴れ着レンタルの一般的な相談事例として「成人式は2年近く先なのに、契約時に全額入金するのは不安」というものがある。こういう契約は、先に選べばたくさんの衣装の中から自由に選べるというメリットもあるが、業者が倒産するリスクを長期間負うことにもなる。
前述の英会話教室は1年分の前払いであったし、あるエステの倒産の際にも前払いで12回分が支払い済みだったという相談が寄せられている。自明のことではあるが「長期契約」であるほど、倒産時の被害は大きくなってしまう。「前払いすれば5%割引」などといわれても、冷静に判断する必要がある。
クレジット払いでも過信は禁物
ネット上では「クレジット払いにしておけば安心だろう」という声も見られるが、その点はどうなのだろうか。
結論を書けば、「クレジット払いなら絶対安全」とは言い切れない。例えば、クレジットカードの翌月一括払いでは、割賦販売法の救済策は利用できないなどの例がある。消費生活センターに寄せられた倒産に関する相談では、現金払いが圧倒的に多いのかと思いきや、実際にはそうでもないとのこと。
ただし、過去にはクレジット会社が協力してくれたという事例もあり、現金払いよりも打つ手が多いことは事実。とはいえ、クレジット払いなら絶対大丈夫とは思わないでほしいとのことだった。
倒産時に大きなトラブルになる契約とは?
別のケースとして、倒産時に大きなトラブルになりやすい契約をもう1つ見てみよう。
近年トラブルが問題視されているのが、「レンタルオーナー契約」(2016年9月の公表資料)。これは、消費者が事業者から「パチスロ機」「コンテナ」などの商品を購入し、その商品を事業者に一度貸し出す。事業者はその商品をレンタルしてもうけ、収益の一部を消費者に支払うというもの。トラブルの相談者は「元本保証で高利回り」などと投資や出資、預金かのように勧誘されたと話している。
公表資料にある相談事例では、パチスロ機を40万円で購入している。翌月に配当が振り込まれたものの、その後業者が破産したと書面が届いたそうだ。高配当でもうかるはずが、40万円を回収する前に事業者が倒産してしまったのだ。
2011年に起きた「安愚楽牧場」の破綻も大きな問題となった。この事業者は和牛を販売し、その飼育を代行し、契約期間終了後には買い戻すという事業を行っていた。
「今、契約してお金を払えば、毎月お金が振り込まれ、トータルではもうかる」「今、契約してお金を払えば、契約期間後には大きくなって返ってくる」というような契約では、途中で倒産してしまったら、返ってくるつもりだったお金が返ってこないという事態に直面する。倒産リスクが非常に高い契約といえるだろう。
どの事業者が倒産するのかを事前に予測するのは難しい、というよりほぼ不可能と言っていい。そんな中で消費者にできることは、何年も先の契約や、長期間にわたる契約などのリスクの高さを認識した上で判断を下すことだ。
さらに、倒産被害にあってしまった場合は、
- 領収書や申込書、事業者からのお知らせの手紙など、証拠となるものは保管しておく
- 早めに消費生活センターに相談する
- 二次被害に注意する
といったことに気を付けてほしい。
(高橋ホイコ)
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