にゃるらです。久々にコラム更新してくれと依頼され、お題として用意されたのが「センチメンタルグラフティ」。相変わらずインターネットを守る翼竜というコラム名に対して、インターネットよりセガサターン文化を守っている率の方が明らかに高い。
リメークされるサターンのギャルゲーたち
セガサターン全盛期から20年以上がたち、当時の名作ギャルゲーたちも軒並みリメークやリマスター化が行われました。
特に「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」リメークは大きく話題となり(関連記事)、連動したメディアミックスなども、まだまだ続いております。
他にも「DESIRE」「EVE burst error」がリマスター化。特に「EVE burst error」はアレなリメークを経て、ファンが望んだ完璧な物(要は、声優なども含めできる限り原作を弄らないだけで良いというわけですが)がお出しされたので、喜びもひとしお。いろいろな意味で「野々村病院の人々」は無理そうですね。
さらに今年(2018年)4月には、原作ライターによる加筆シナリオや未使用だったCGが追加された「慟哭 そして…」のリマスター版も発売予定。攻略本にしか書かれなかった事件の真相などがゲーム内でも描かれるとうれしいですね。本編内である程度察せられる上に男キャラの裏設定とはいえ、核心部分を攻略本のみで済ませるのもどうなんだという気もしますが。
閑話休題。そんなリバイバルブームの中、忘れてはいけないのが、出せば3万本は売れると言われたギャルゲーバブルに終焉(しゅうえん)をもたらしたといわれる「センチメンタルグラフティ」。本作に関しギャルゲーオタクたちを騒がせたのが、七瀬優役声優・西口有香さんが先月ツイートした内容。
久々に彼女の名前を聞いて昂奮するオタクが続出。現役ギャルゲーオタク的には「FLOWERS」で最近もなじみがあったり、実は2017年にも西口さん本人によるセングラ実況プレイ企画があったりと、そこまで意外性がなかったり。デビュー作かつ代表作ということもあり、彼女とセングラは切っても切れない関係です。
西口さんのツイートを皮切りに、突然「センチ20thプロジェクト」(@senti_20th)なる謎のアカウントが登場。果たして、今年20周年のセンチメンタルグラフティにどんな動きがあるのか。
セングラは発売予定日が延期されたこともあり、他の主要なギャルゲーたちより一歩遅めの98年発売です。そのため2017年のリマスターの波から外れたタイミングでの不意打ちとなりました。やっぱり持っている作品だなぁ。
今回はそんな、突っ込みどころが多くも長くファンから愛され続けたセンチメンタルグラフティの話をします。ちなみにねとらぼお抱えライターは、自分の他には全員未プレイなもよう。せつなさ炸裂〜……。
あなたに、会いたい…
ちなみに、このツイートの「あなたに、会いたい…」は、セングラの中でも物語のきっかけとなる重要な1文。パッケージ裏にもでっかく書かれているほど作品を代表するセリフですが、逆にパッケージ裏にはこのセリフ以外にキャラの集合絵が描いてあるのみで、本編の内容が一切ないのが男らしい。はっきり言えば地雷臭がすごい。
究極超人のようなふざけた名前の主人公・田中一郎は、このできそこないの出会い厨のような1文が書かれた手紙が届いたことで、差出人として思い当たる12人のヒロインたちに会って確かめようと決意をします。この世界に消印や電話なんて概念は存在しないのでしょう。
お兄ちゃんが大好きな12人の妹に囲まれる設定のシスプリ(シスター・プリンセス)でさえ初めは9人の企画だったのに、初っぱなから圧倒的な数で押してくる戦略は嫌いじゃないです。
なぜ12人も候補がいるかについてですが、差出人不明な手紙以上にとっぴな設定があり、主人公は親の都合で12度以上も転校を重ねてしまい、そのため全国各地に仲良くなったヒロインが存在します。この無理のある転校設定のつじつまを合わせようと、ファンの中で父親殺し屋説なども生まれたりも。
初プレイ時に「僕のこと覚えてるかな?」→「アナタ、もしかして小学校のころ同じクラスだった○○!? よかったら電話番号教えるからまた遊びに来てよ」を12回繰り返す作業感はぜひ自分の手で体感してほしい。
12人分のグッズ展開具合はすさまじく、発売が延期になったことも合わさり、説明書の後半はグッズ紹介の嵐。
ゲーム内容が把握できない状態から発売前のグッズ販売やイベントが盛り上がり続け、そのせいで発売日時点では既にゲームが不必要扱いされる程の充実ぶり。それでも売上は20万本以上。バブリー。
センチメンタルグラフティ
本作には時間・行動力・資金の3つのステータスがあり、これらをうまく調整しながら北は札幌、南は長崎まで女たちに12股を掛けに行くという素晴らしいゲームシステム。ヒロインの名前以上に地名で認識しているプレイヤーもおり、その場合「長崎が一番好きで〜」「いや京都の方がかわいくて〜」と異常な会話をすることに。
我が故郷沖縄は未登場。北海道は今作ばかりか「北へ。」シリーズの舞台にもなったのにズルい。余談ですが「北へ。」といえば、今年の漢字に「北」が選ばれたことを記念し、当時のスタッフたちが、今になってTwitter上で思い出話に花を咲かせてくれたのは、ファンにとってうれしい一幕でした。
12人全員を攻略しながら進めないとベストエンドは見れないという、浮気前提のプレイスタイルが必須。あかりが多少難しいくらいで、他は基本ヒロイン1本に絞れる「To Heart」の難易度調整がいかに巧みか伝わってくる。
各ヒロインたちのステータスには「せつなさ度」が存在し、これはときメモで言う爆弾のような要素で、あまりにヒロインを放置しせつなさ炸裂状態になってしまうと、ヒロインが無言電話を行ったり、突如消えたりなどの問題行動を始めるメンヘラ女と化します。
このせつなさ度を確かめる画面が「せつなさマップ」。いつ見てもすごいネーミングセンス。個人的に「せつなさ炸裂」は任意ラヂヲの印象が強い。
背景が実写の現地風景なことや、移動時に乗り物の実写画像が差し込まれることもあり、ゲームを通して観光気分を味わえるのは特筆すべき点でして、その要素を踏まえたアニメ「センチメンタルジャーニー」の背景は素晴らしい。
えみりゅん
セングラを語るに絶対に外せないヒロインとして、永倉えみるの存在があります。
彼女の出身地は仙台。公園に居た主人公を見て「ねえねえ、あなたどこから来たのぉ?」と突然話しかけはじめ、東京だと答えた瞬間、初対面の人間(向こうはこちらを覚えていない)に「もしかしてダーリ〜ンじゃ?」と自分の恋人認定してくる立派な電波女。
彼女が他ヒロインと一線を画す点として、やはり語尾の「りゅん」が挙げられます。プリパラにだってこんな語尾の子はいません。彼女を攻略しようものなら、プレイヤーは何百回もフルボイスでりゅんりゅん聴かされる羽目に。脳漿炸裂。
電波具合も差し引いても余りある正統派な美少女デザインやしぐさはかわいらしく、イベント時に見せる陰りのある表情にドキッとさせられた方も多いはず。まあ甲斐智久先生の描くキービジュアルと本編のグラフィックはお世辞にも似てると言い難いですが。そのあたりは続編でそれなりに改善されたりも。
そんな彼女も続編では就職して大人びた社会人となり、語尾のりゅんも消失。……よりによって一人称のえみりゅんは続投。
幼い面影がなくなり安心感と時間の残酷さが入り交じりますが、特定のイベントではいい歳して二つ結びに戻し、その状態でお姉さんらしさを発揮したり、時にはまだまだ子どもらしい一面をのぞかせたりでなかなか泣かせます。2のえみりゅんいいよね……。
本作自体と同じく、ネタにされつつも根強く愛されるヒロインです。
おわりに
そんなセングラも20周年を迎え、ついに今年は何らかの動きがあるもよう。それが果たして、前作主人公の葬式から始まる前代未聞の2を踏まえた続編なのか(センチメンタルプレリュードもありましたが)、昨今の流行に乗ったリマスターなのか(その場合OPの暗黒舞踏会は高画質で再現されるのか)まだ分かりませんが、プレイヤーの1人として「センチ20thプロジェクト」を追いかけていきたいです。
ちなみに「お嬢様特急」も今年で20周年ですね。電撃G'sマガジン、花田十輝先生、「ラブライブ!」にかまけている場合じゃないぞ。
(にゃるら)
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