親子で電車に乗ったときに、殺伐とした世界を体験した……という実話を描いた漫画「子連れでも気楽に電車に乗りたい〜親でも子供とかいう別の意識を持った生き物の感情の制御は無理(実話編)〜」に反響が集まっています。
漫画の作者は、渋谷さえら(@voxxx)さん。育児漫画「やっぱり家が好き」シリーズを投稿しています。
電車に子どもと乗ることになったさえらさん。そんなに混んでいなかったため、座らせれば静かにできると考え、迷惑がかからないように子どもを端の方に座らせようとします。しかし同じ場所に座るつもりだったサラリーマン風の男性とかち合い、「チッ」と舌打ちされてしまいます。アンパンマンのゲームをやりたいと言い出す子どもに、ゲームをしていれば静かにできるからとスマホを渡します。
そこに、バギーを持ったお母さんと小さな子どもが乗り込んできました。お母さんはバギーを座席の端っこに立てかけ、子どもと一緒に座席に座りますが、子どもが「アンパンマン見たい!」とぐずりだします。さらにバギーが倒れてしまい、直しに行こうとするお母さんに行かないでほしいと子どもがいっそう大泣き。先ほどの男性がイライラしているのが分かります。
男性のイライラはマックスに達し、バギーを蹴り、お母さんは平謝りすることに。さえらさんは自分の子どもに向けられた態度、この親子に起こったことから「何故、電車に乗っているだけでここまで殺伐とせなならんのか」という思いを吐露し、「ほかのママの苦労はわかるからなんとかしてあげたかったけど、自分の子どものことで精一杯だし……子連れでも気楽に電車に乗りたい!」と切実な気持ちをつづっています。
とはいえ「その子の事がかわいいのってさ、その子の親だけなんだよね」と男性の気持ちが分からないでもないとさえらさん。他の人がかわいいと思うのは「大人の言うことを聞く、お利口さんな子ども」だということも分かる、でも、親でも個別の意思を持った生物の制御は無理なんだ……と結んでいます。
子連れで電車やバスなど公共交通機関を利用するのは子育ての中で一番緊張する場面と言っても過言ではないかもしれません。赤ちゃんならいつ泣き出すか不安だし、子どもは黙って同じ姿勢を保つのは難しいし、すぐに飽きてしまうし、大声で騒いでしまったり、急に機嫌が悪くなることもあるからです。だからこそ、おやつ、おもちゃ、絵本、スマホなどフル装備でこの空間に挑むことになるのですが、そんな風にフル装備でもすでに意識や意志を持つ子どもの感情制御は難しいものなのです。
子どもの泣き声などは聞きなれていないと不快な音と聞こえることもあるかもしれません。でも、イライラしてしまう自分も、こういう時期を、こういう思いをしながら、お母さんや家族に守られ育まれたからこそ、今があるのですよね。老若男女、お互いの存在を受け入れあって、電車やバスが殺伐な世界ではなく少しでも穏やかな世界となっていくといいな、そんな風に思わせてくれる漫画です。
画像提供:渋谷さえら(@voxxx)さん
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