夏といえば怪談ということで、Twitterではハッシュタグ「夏だしフォロワーさんの怖い話教えてください」が盛り上がっています。そんな中、漫画家の栗原まれんど(@malend_k)さんが、金縛りにあった体験を漫画にして投稿。得体の知れないものに迫られる恐怖を読書経験のおかげで解消できたという、不思議な出来事を描いています。
作者がバイト前に仮眠をとろうと横になっていると、不意に「ギィィィィィィー」とドアのきしむ音が。窓は閉めていたので、風のせいとも思えません。いぶかしんでいると、今度は「ドサッ」と、重いものが落ちてきたような音が。うわあイヤな予感。
そして足元に迫り来る、何かが足元に乗ったような感覚。いつの間にか全身が動かせなくなっていて、金縛りにあったと気付いた瞬間――「ガサッガサガサガサガサ……」と音を立て、真っ白な赤ん坊が上半身へ上ってきました。ひいいいいっ!
しまいには無言で顔をのぞき込まれて、栗原さんは大パニック。お経を上げようと思いつくも正確な経文が分かりません。せめて知る限りの「お経的なもの」を唱えようと、セーラーマーズの呪文(九字)を思い浮かべますが、思い出せたのは「臨・兵」まで。そんなピンチを救ってくれたのは、『地獄先生ぬ〜べ〜』に登場した迷信深いおばあさん(※)でした。
作中で彼女が唱えていた、民間に伝わる呪文をおぼろげながら思い出し、「生麦大豆三升五合」(※)と連呼する作者。すると効き目があったのか、赤ん坊の重圧は消え去り、身体も動くようになりました。栗原さんは「ありがとう駄菓子屋のおばあちゃん、ありがとうぬ〜べ〜」と、原作へ感謝するのでした。読書って大事ですね。
前半の怖い描写から一気に漫画の話へ転ずる展開に、リプライは金縛り体験よりもぬ〜べ〜の思い出話でにぎわいました。
ところが話は終わりません。栗原さんはその後、「解明編」にあたる後編を投稿。実はその当時、連載漫画の締め切りを抱えており、徹夜3日目だったというのです。それでは身体が動かないのも当然だったのでは……。
そもそも部屋のドアはきしむ音などせず、思い返すと金縛り体験時に聞いたのは実家にいたころに聞いたものと同じ。布団に何かが乗った音も、赤ん坊に顔をのぞき込まれたのも、実家の犬がもたらした体験の記憶だったのです。栗原さんはこれらの事実から、疲れ切った脳が誤作動を起こし、幻聴や幻視を引き起こしたと分析。「寝不足は良くないな」と話を締めくくっています。
このように恐怖体験は合理的に説明されましたが、栗原さんが呪文を唱えたことで、金縛りから解放されたのもまた事実。単なる迷信と片付けずに、「生麦大豆二升五合」を覚えておくといいかもしれませんね。
作品提供:栗原まれんど(@malend_k)さん
(沓澤真二)
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