ホンダのロボティクス構想と開発の鍵は「3E」
ホンダは今、ASIMOで培ったバランス制御技術や自立移動技術を用いて、このパスボットをはじめ、さまざまなロボットの開発に取り組んでいます。ホンダが注力するロボティティクス構想の鍵は、以下「3E」の概念です。
- Empower=人の可能性を拡大
- Experience=人と共に成長する
- Empathy=人と共感する
2018年1月に行われたCES 2018でも、同社はこの構想に基づいて開発された4つのロボットを披露しました。2018年はどれもコンセプトを示した参考出品モデルに過ぎませんでしたが、2019年のパスボットはさらに具体的に、ショッピングモールや公共施設でゲストを案内するといった実務ケースを見込んだと思える展示が印象に残りました。CES 2019への出展は「公共施設での実証実験を一緒に行えるパートナーを探すため」(説明員)と、具体性やその進捗、本気度が伺えます。
パスボットの他に、上部アタッチメントを交換することで農業、建設、消防、災害支援などまで、幅広い用途に活用できる自立運転可能なATV(全地形対応車)「Honda Autonomous Work Vehicle」(関連記事)、高度なロボティクス制御をクラウド上のサービスとして利用できるようにするプラットフォーム「Honda RaaS(Robotics as a Service) Platform」、360度どの方位へも動ける“車輪”「Honda Omni Traction Drive System(全方位駆動車輪機構)」などの展示も注目されていました。
さまざまなシーンで活用できる自律運転対応ATV「Honda Autonomous Work Vehicle」、CES 2018では「3E-D18」という名称のコンセプトモデルだった、2019年はほぼ実用できるところまで具体的になった。既に米国の農場や山間部での採用、登用に向け、βテストが行われているとのこと
パーソナルモビリティ「Honda UNI-CUB」の、360度走行ができる技術「Honda Omni Traction Drive System」も展示(機械側面にある車輪)。同技術を用い、日本電産シンポと共同開発した自立走行型の荷物を運ぶロボットも参考出展していた
CES 2019にはホンダの他にも自動運転やAI、サービスプラットフォームなどをキーテーマに自動車メーカーが参加しています。一方で、ロボティクスにここまで注力していたのは周りを見渡してもホンダだけと感じました。
あのASIMOで培われた技術は、今もしっかり息づいている証ともいえます。「3E」の実現、さらには人とロボットが幸せに暮らす未来のためにホンダのロボティクスの次なる展開に期待です。
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