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主人公がなにげなく散歩しているうちに見知らぬ町にいたり、なぜか自宅にいる知らない人に怒られたり――そんな現象を描いた漫画が反響を呼んでいます。導入だけ読むと不思議な物語のように見えますが、実は認知症の実態を患者の視点から描いているのです。
やがて主人公は、見知らぬ部屋で目覚めて戸惑うことに。怖くなって出て行こうとすると、「あなたの家はここ」と、またもや「知らない人」に怒られてしまいます。
「私を家に帰して」とお願いすると、うずくまって泣き出す「知らない人」。実は「見知らぬ部屋」の正体は住み慣れた自宅で、「知らない人」は主人公を介護する家族だったのだと気付くと、涙の意味も分かりハッとさせられます。
同作は漫画家であり介護ヘルパーでもある吉田美紀子(@YoshidaMikiko)さんが、経験をもとに制作。「患者にしてみれば、介護する家族や職員はやりたいことを妨害する怖い他人」という切り口は、多くの読者の心を打ちました。
家族の介護経験がある人からは、「介護するこちらも不安だけど、される側も不安なんですね」「漫画に出てくる『知らない人』のように怒ってしまい、反省している」など、切実な感想が。介護職経験者からの共感も多く、自分で動ける認知症患者が「幸せだったころに住んでいた、帰りようのない場所に帰ろうとする」「家族の世話をしようと自宅を目指す」といった、切ない事例が寄せられています。
介護問題については「する側」の苦労が取り沙汰されがちですが、「される側」の立場を理解することも大切なのだと、気付かされる漫画でした。
作品提供:吉田美紀子(@YoshidaMikiko)さん
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