独占の支配力はやっぱりヤバイよねという話
ネットの玄人筋からは使いにくいだの見にくいだのと言われる楽天ですが、楽天の2018年の年間国内EC流通総額は前年から11.2%増の3兆4310億円に達しています。国内トップの強力なECプラットフォームとして君臨しているのは間違いありません。
実際、公取委の調査結果でも、モール運営事業者から影響を受けたのに利用し続ける理由として、「全売上額に占める当該モールの売上額の割合が高いため」という回答が楽天については76.6%に上っており、Amazon(64.0%)、Yahoo!(21.9%)を突き放しています。楽天のいう「楽天経済圏」は強固に存在しているのです。
こうした結果から考えるべきなのは、特定の企業が邪悪であるとかといった話ではなく、ある市場において独占的な地位を占める企業による支配力がどのような影響をもたらすのかという問題でしょう。
(1)独占的な企業は、取引相手に大きな収益機会を提供するのと引き換えに、自社に有利な条件を事実上強制するなど、強い支配力を行使して自らの収益を拡大していく(楽天)
(2)これに次ぐ企業も、取引相手に十分な収益機会を提供するが、支配力はトップ企業よりは大きくない。ただ、トップ企業に追いつくために「同じ条件でウチにも出してほしい」という要求は強い(Amazon)
(3)後を追う企業は取引相手を優遇(出店料を割安にする、交渉に応じる)するなどして、比較的低姿勢に取引相手の獲得に努める(Yahoo!)
──といった次第で、今回の調査結果に現れた各社の姿勢は、市場におけるポジションがそのまま素直に現れたものではないかと考えられます。特定の企業風土といった問題に還元されるべきものではなく、GAFA問題にしても「Appleはイノベイティブで優れた企業だからOK」とかそういう話ではないということになります。
独占的、寡占的な企業による支配力の行使は、取引相手だけではなく、例えば高額な手数料が販売価格に転嫁されて割高な商品を購入させられるなど、一般消費者にも影響を及ぼす可能性があります。独占禁止法と、それを司る公正取引委員会はこうした事態を法的な強制力をもって規制するためにあります。
ちなみに、楽天の三木谷浩史社長が代表理事を務め、IT企業が多く加盟する経済団体「新経済連盟」は、GAFA問題を受け、3月に「海外デジタルプラットフォームを巡る諸課題と対応策」を経済産業省などに提出しています。
その中では「プラットフォーム自体はイノベーションの源泉であり規制には慎重であるべき」と提言しているのですが、今回の調査結果を踏まえてみると「まあそりゃそうですね」という感じがしないでもありません。その上で「問題の中心は、 国益をかけた『越境経済下の競争政策』であり『日本の産業政策』」だと主張しているのですが、一般的には「日本企業の独占はいい独占」などとはさすがにならないのではないかと思われます。今回の調査結果を受けた、公取委のルール整備が注目されます。
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