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「GT-Rより救急車が好きだ!」という俺得な試乗会に行ってきた 日産のはたらくクルマ、ガツンと大集結(1/2 ページ)

だって救急車が運転できるなんて“おとこのこ”の夢じゃーん

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 日産自動車(以下、日産)が神奈川県横須賀市の日産追浜工場で、“はたらくクルマ”の展示試乗説明会を実施しました。個人向けの“かっこいい車”で新製品試乗説明会を行うことはよくありますが、“はたらくクルマ”でそれを行うのは「珍しい」(同社広報担当)ことです。

日産 働くクルマ 救急車 GT-R
日産の救急車「パラメディック」などに乗ってきた

 日産が扱うクルマは、テレビCMなどで知られる個人向け製品だけではなく、法人向け、行政向けの製品も多くあります。同社の日本LCVマーケティング部で主に救急車「パラメディック」を担当する甲斐崇史さんによると、この法人向けと行政向けの製品が「はたらくクルマ」という位置付けになるそうです。

 日産のはたらくクルマは、「WV」(Work Use Vehicles)と「LV」(Life Care Vehicles)に分類されます。WVは文字通り、仕事で使う業務用車両です。LVは「生活において役に立つ車両」と定義されますが、そのほとんどは車いすに対応する福祉車両を指します。なお、WVにも車いすに対応したタクシー用車両があります。

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日産が手掛ける“はたらくクルマ”たち。大きく分けて業務用の「WL」と車いす対応福祉車両の「LV」に分けられる

 そんなはたらくクルマに実際に触れてみました。ここでは試乗した感想を交えてそれぞれの特徴を紹介していきましょう。

日産の救急車「パラメディック」 一応、個人でも買える……えっ!?

 パラメディックは、日産が開発製造している「高規格準拠救急車」です。

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救急車「パラメディック」。特別な許可を取って短時間だけ赤色灯とサイレンも作動させてくれました(試乗は日産追浜工場敷地内のテストコース「グランドライブ」で行いました)

 2018年に登場したこのE26型パラメディックは「NV350キャラバン(CBF-CS8E26)」をベース車にしています。まず、「最小回転半径が6メートルとそこそこ小回りが利くため、狭い市街地によくある4メートル幅の直角路でも取り回しが容易」(甲斐さん)という特長があります。

 実際に運転してみても「意外と普通」でした。救急車っていろいろ機材が積んでいるから重量ありそうだし、車体も普通に大きいからカーブとか曲がりにくそう……などと警戒しながらの初走行でしたが、試乗コースの連続ペアピンカーブも普通車と同じ感覚。グイグイと曲がることに驚きました。

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手前に見える手洗い装置は総務省が定める救急車に必須設備だが「メンテナンス必須」など扱いが大変なため、実際の運用では除菌ジェルの使用が増えているという
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酸素ボンベやメインストレッチャー、空気式防振ベッドは標準装備。各種バイタルセンサーや測定機器、医療器具などはオプション扱い
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運転席ダッシュボードのレイアウトはNVキャラバンとほぼ同じで特殊な装置はない
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救急車特有の操作パネルは運転席や助手席……ではなく「隊長席」の間に設置している。ここでサイレンのオン/オフなどを操作する
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というわけで乗車出動〜
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運転士、じゃなくて、救急車機関員の世界はこんな感じに見える。ちなみに価格は1450万円超だそうです

 ちなみに、パラメディックは日産のお店で個人でも買えます。

 ……買えますが、緊急車両としての登録はできないので赤色灯やサイレンなどの緊急車両関連設備は搭載できません。もちろん移動できる医療施設として使うことも可能なので、医療組織や介護組織で導入する例もあるそうです。

大切なお子さまが乗るからこその優しい工夫「シビリアン送迎バス」

 続いては園児送迎のためのシビリアン送迎バスです。

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街でよく見かける園児送迎バスにもさりげない工夫が凝らしてある。そして日産車体のスタッフが扮する“大きなお友達”に恥じらいや迷いは一切なかった。プロである

 こちらもさり気ない工夫が凝らしてあります。例えば乗降ステップは小さな園児に合わせて段差を低くしています。また、引率の先生が車内を移動しやすいように車内は高さ1.85メートルの高さを確保しているのだそうです。

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園児に合わせて、ステップの数を増やして低い段差で登れるようにしてある
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シートも園児に合わせたサイズ。一方で引率の先生が車内を楽に移動できるように天井高はゆったり1850ミリを確保している。車体後部には非常脱出用のドアも備える
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上空から見るようにクルマの周囲を確認できる日産の「アラウンドビューモニター」は、こういった車体で特に有効そうだ。乗り降りステップ付近をアップにすることもできる

車いす対応車両もひと工夫あり「セレナ e-POWER チェアキャブ」「NV200タクシー ユニバーサルデザイン」

 セレナ e-POWER チェアキャブは、シリーズハイブリッドの人気ミニバン「セレナ e-POWER」を車いす対応にしたモデルです。

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セレナ e-POWER チェアキャブ。外観はベース車のセレナ e-POWERと変わらない

 車いす対応車は方法によって3つの方式があり、また、車いすの固定場所と台数によって4パターンのレイアウトがあります。今回試乗したのは車いす1台を後部ハッチからスロープで載せて、サードシート部に固定する仕様の車両でした。同乗者は車いすに座ったまま乗車できます。

 後部ハッチを開いてスロープを降ろします。スロープの角度がさらに緩やかになるように、スイッチ1つで車高を低くする装置を搭載しています。

 車いすはこのスロープとウインチ付きのガイドロープを使い、引き上げるようにしてクルマに載せます。ウインチはワイヤレスリモコンで操作できるのでいつでも止められますし、万が一ウインチが故障したときのための後退防止機構もしっかり備えています。

 車いすを載せて、しっかり固定して後部ハッチを閉めると、下がった車高は自動的に戻ります。対象者を車いすに乗せたまま、介助者も体力をほとんど使わずに安心して乗車できる仕組みです。

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車体の取り付けたウインチにつながるガイドロープを車いすにかけてスロープを引き上げる
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車高を低くすると角度が緩やかになる。対象者もその分怖くなくなる
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後部ハッチを閉めると車高は自動で戻る

 「運転しますか? それとも車いすで乗りますか?」(日産の説明員さん)

 「おおお! では、車いすで」(私)

 ということで車いすでセレナ e-POWER チェアキャブに試乗してみました。車いすは車内の器具でがっちり固定できるので、走行中の加減速に左右カーブの遠心力がかかったとしても全く揺らぐことはありません。通常のシートと変わりません。いや通常の座席よりも座面が高いので、視界が良くてかえって快適です。

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後部座席の位置に車いすを固定する
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車いすに乗って試乗。視点が高いので眺めがいい

 続いてはNV200タクシー ユニバーサルデザインです。NV200タクシーに貨物を載せるスロープと車いすに対応した固定器具を備えたモデルです。

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NV200タクシー ユニバーサルデザイン

 セレナ e-POWER チェアキャブにあった乗降時の車高変更+ウインチ機能はありませんが、福祉タクシーとは異なり介護資格を持たない運転手でも利用できるようになっているそうです。

 なおNV200タクシー自体も、スーツケースなどの大きな貨物の搭載を重視したバンタイプのタクシーと他にはあまりない存在でしょう。燃料にガソリンとLPGを利用できる「LPGバイフューエルモデル」も用意しています。

 今回の試乗ではこのLPGバイフューエルモデルを試すことができました。LPGを消費するタクシー車両の運転など、一般人ではそうそう体験できることではありません。始動直後はガソリンを使うので加速力十分。ただ、直線コースに入ってから加速しようとすると、アクセルをしっかり踏み込んで待たないと流れに乗る速度に達するまで時間がかかる……。LPG車特有の体験ができました。

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スロープで車いすを容易に載せられる。床面が低いので旅行客のスーツケースも扱いがラク。この他、観光地などでの自転車車載用途などにも適応しそうである
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車いすはこのように固定する。車体左側にあるのはLPGタンク収容部

 セレナe-POSERやNV200タクシーのような車いすを載せられる「チェアキャブ」モデルは、今回紹介した「後方スロープタイプ」の他に、「スライドアップシートタイプ」「リフレクタータイプ」もあります。

 スライドアップシートは、車いすの同乗者が乗りやすいように、座席が車体の外側に出て迎え入れる機構を備えます。昇降能力は100キロ超。このモデルでは助手席か中列左側席に搭載できます。

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デイズルークスに取り付けた助手席スライドアップシート
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スライドアップシートの機構部。チェーン機構でシートを昇降させ、ギア機構でシートを回転する

 リフレクタータイプは、スロープの代わりに昇降能力170キロの電動リフターを搭載したタイプです。リフターに車いすを固定したらそのまま車に乗せることができます。

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キャラバン チェアキャブに取り付けたリフレクタータイプのリフター
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リフター機構部
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リフターに備わる車いす固定機構

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