事業再生ADRでどうなる?
「事業再生ADR」とは、重い借り入れ金(債務)が負担になっている企業の問題を解決するため、企業と貸主の金融機関などの合意に基づいて借金を猶与・減免するなどして経営再建を目指す手法です(ADRとは「裁判外紛争解決手続き」のこと)。会社更生法や民事再生法など、裁判所が介在する「法的整理」に対し、弁護士などが関わりながら当事者同士の合意で済ませるので「私的整理」と呼ばれますが、事業再生ADR自体は産業活力再生法(現・産業競争力強化法)で制度化されたものです。
8月末までに債務超過が解消されないと原則として上場廃止ですが、2020年8月末までに再生計画を策定し、事業再生ADR手続きで再生計画が成立した場合、さらに1年間の猶与期間が認められます。この間に債務超過を解消し、上場を維持する方針です。
文教堂の店舗は営業を続けながら再生を進めていくことになります。文教堂HDは取引先向に対し、「お取引先の皆様とのお取引内容(書籍・文具・商品等の仕入れ代金や、賃借物件についての賃料のお支払い等)には何ら影響を与えるものではございませんので、今後も引き続きご安心してお取引を継続して頂ければと存じます」という文書を発表しています。
ただ、私的整理とはいっても、借金の返済を猶与、あるいは減免してもらうわけですから、その代わりとして当然ながら企業側も身を切る覚悟が求められることになります。
「会社四季報」(東洋経済新報社)に「溝の口本社は文教地区立地でマンション需要ありそう」(2019年春号)とコメントされていた文教堂本社関連の不動産は、約7億2500万円で売却が決まりました。再生計画次第では思い切った事業・店舗再編が迫られる可能性もあり、利用客としては気になる状況が続きそうです。
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