「人はどこまでテレビから離れてゲームができるか」がテーマの実験的格闘ゲーム大会「距離餓狼」が面白そうです。画面から数十メートル離れて戦うこの過酷な競技は、なぜ始まったのか? 発端から本番の様子まで、レポート漫画で明かされています。
漫画の作者は、「THE KING OF FIGHTERS XIV」(KOF14)の「明天君」や「SAMURAI SPIRITS」(2019年版)の「呉瑞香」を演じた、声優にして漫画家の劉セイラ(@kkryu_k)さん。親によく「ゲームをするときはテレビから離れなさい」としかられていた子ども時代、「どれくらい離れればいいのか?」と疑問に思っていたそうです。それから時を経て2018年、不思議な縁でかつての疑問を検証するイベント「距離餓狼」に招かれることになりました。
事の発端は2017年に開催されたKOFのイベント。劉さんが自ら明天君を操作し、来場者と同キャラ対戦をする企画で会ったのが、のちに距離餓狼を主催するコロッサス(@nameneko21)さんだったといいます。
それから半年後にイベントは実現し、劉さんは招待されて見学へ。会場の広々とした体育館では、テレビとプレイヤーの席が異様に離れた舞台が設営されていました。
対戦前に選手が各自クジを引き、画面との距離(5メートル刻みで15〜30メートル)を決めて戦うのが基本ルール。より短い距離を引けたほうが有利となる変則ハンディキャップマッチですが、第1戦は両者とも25メートルを引きました。
かくして、おそらく世界初であろう試みは始動したわけですが、肝心の試合がなかなか始まりません。というのも、画面が遠すぎて見えず、使用キャラクターの選択すらままならないのです。選択画面の記憶が勝利のカギになる対戦、画期的すぎる。
どうにか試合を始めてみると、キャラの服が背景に溶け込んでしまったり、自分がどこにいるか分からなくなったり、ゲームの難易度をむやみに上げる問題が次々と露見。それでも選手は蓄積された技術を頼りに戦い、勝負を決着させました。なお、勝利者インタビューの質問「距離餓狼で勝つには何が重要か?」の回答は「強い技」。おそらく画面が全然見えないので、当たり判定に優れる技を連発して暴れるのが有効なのでしょう。
大会ではまれに「スペシャルルール」も発動。対戦前に30メートル走ったり、ぐるぐる回ってふらついてから決勝戦を始めたりと、会場の広さを生かしたハチャメチャな試合が展開されたそうです。それでも劉さんは、真剣にやれば「いいゲームでいい運動でした」と振り返りました。
コロッサスさんはほかにも、銭湯で戦う「風呂餓狼」や猫カフェでモフモフしながら遊ぶ「猫餓狼」など、ユニークな大会を主催。直近では「サムスピ」新作リリースを記念して、会場が酒蔵の「SAKENOMI SPIRITS」を6月29日に開催しています。どれも楽しそうで、見学だけでも楽しめそう。
画像提供:劉セイラ(@kkryu_k)さん
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1回分入れるのにちょうどよさげ。