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広告代理店勤務の女性が漫画で告白 彼女を追いこんだパワハラと長時間労働の実態

命にかかわるほどの壮絶な話です。

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 広告代理店に勤務する女性が、自身が受けたパワハラを漫画にしてTwitterに投稿し、話題になっています。

生活が破壊されていく
小さな違和感から、生活が破壊されていくことに

 この漫画の作者は、広告女子ぱすた(@pastayade)さん。彼女がパワハラを受けるようになったのは、S先輩の下で仕事をするようになってからでした。

 ある日、先輩と残業をしていると、ふと声をかけられました。「なあ、ぱすた。ちょっといい? お前……やる気あるの?」。S先輩は成績がよくて人望もあつかったため、ぱすたさんは彼のことを尊敬していました。「すみません」と素直に謝ると、「ま、俺がお前をしっかりとしごいてやるから、ついて来いよ!」と、このときはまだ良い先輩だと思っていたそうです。しかしこのやりとりが、悪夢の始まりでした。

S先輩のチームに配属されたのがきっかけだった
S先輩のチームに配属されたのがきっかけだった

 その後、ぱすたさんの生活から休みの概念が消えました。夜中の11時に「今から会社に戻るから打ち合わせな」と電話が来たり、午前2時にラーメン屋に連れていかれ「これ食って朝まで仕事な」と言われたり。無給での休日出勤を強要されたり、飲み会も仕事のうちと断れないよう追い込まれたり。

 数ヶ月もすると、頭の回転が鈍くなり、ミスも増えていきました。しかし、少しでも認めて欲しくて、ぱすたさんは毎日寝る間を惜しんで頑張っていました。

最初は、良い先輩だと思っていた
最初は、良い先輩だと思っていた

 ある飲み会の帰りぎわ。他の人たちと別れてから、先輩はぱすたさんにこのようなことを話しました。

 「お前がトイレに行ってたとき、さっきの人たち、お前の悪口言ってたぞ。お前が俺に仕事ブン投げて、俺が尻拭いしてるって。周りからはそう見えるんだよ。俺ももっとお前に厳しくしないとな」。既に夜中の2時をまわっており、連日の睡眠不足もあり眠くてしかたなかった状態で投げかけられた言葉でした。そしてその日から、S先輩のパワハラはさらに激しくなりました。

昼夜土日問わず、電話がかかってくる
昼夜土日問わず、電話がかかってくる

 退社するのは午前4時ですが、3時間後の午前7時にはまた出社しなければなりません。目は充血、食欲は減り、生理も止まってしまったそうです。仕事はどんどん雑になり良い企画も出せなくなって、悪循環に陥りました。

 もう何週間寝ていないかも分からない――限界が近づいていたころ、ぱすたさんは社外からとある電話を取りました。「すみません、御社のSさんの案件で、前払い金300万円が入金日を過ぎているのに支払われていないのですが……」。S先輩に電話を回したところ、彼はこのように返答しました。「すみません、この件はぱすたの担当だったんですけど」……。

 ぱすたさんは、この案件とはまったくの無関係でした。S先輩は、このことを局長にも報告し、完全にぱすたさんのミスとして責任を転嫁してしまったのです。さらに彼は、ぱすたさんが声をあげないようにと仲の良い役員のことも持ちだし口封じまでしました。

関係なかったミスを押し付けられたことがきっかけで、心身を壊した
関係なかったミスを押し付けられたことがきっかけで、心身を壊した

 以来、ぱすたさんは心身を崩して、S先輩のチームを外れました。ぱすたさんは現在も同じ仕事を続けているそうですが、チームから外れたのが幸いだったのか、今ではなんとか回復したそうです。しかし、その後S先輩の下についたぱすたさんの後輩が、さらに酷いパワハラを受けて、この春に退職しています。

 「少しでも、S先輩の様な人が業界から減ることを祈るばかりです」――漫画の最後は、この一文で締めくくられています。

 この壮絶な投稿に、たくさんの反応が寄せられています。「もしも私がその立場なら無断欠勤して逃亡してます」「残念ながら、こういう方は減らないですよね…。積極的に避けるしかないと思います」「これ本当の話なんですか!? 法律とかどうなってるんだろう」。ぱすたさんはまめに返信していて、仕事そのものは好きなこと、明らかに法律違反であっても社内では当たり前になっていること、当時はパワハラとすら気づかず、これが当たり前だと「洗脳されていた」ことなどをつづっています。

 2016年には、大手広告代理店「電通」に務めていた高橋まつりさんが過労を苦に自殺してしまった事件がありました。その高橋まつりさんの母親が、この漫画にコメントを残しています。「娘のことかと思いました。やる気あるの?ってところ以外まつりパターンとそっくりそのままです。(中略)部署異動になって良かったですね。就活生にも警告を」。

 また、ぱすたさんも次のように語っています。「各代理店に若手の友人がいますが、皆全く同じような経験をしているので、業界全体がそんな感じなのかもしれません」。いずれにせよ、同じような状況に直面している方は、このような労働が違法だということを認識したうえで、自分の体にとって最善の対処をしてください。

画像提供:広告女子ぱすた(@pastayade)さん



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