米ウィスコンシン州の小学校校長先生が書いた1通の手紙がFacebookに投稿され、注目を集めています。手紙の宛先はなんと“歯の妖精”。抜けた乳歯をなくして困惑する生徒を励ますためのユーモアある振る舞いだったのです。
地元メディアによると、ジレット小学校の1年生に所属するある生徒が困っていました。ある日の休み時間、生徒はガガ(囲われた枠の中で行うドッジボール派生のスポーツ)で遊んでいたところ、歯が抜けていることに気づいたのです。日本では抜けた乳歯を屋根や床下に投げるおまじないがありますが、西洋には乳歯を枕の下に置いておく風習があります。寝ている間に“歯の妖精”がやってきて、歯と引き換えに硬貨をプレゼントしてくれると言われているのです。
複数の生徒と両親が一緒になって、抜けた乳歯を一生懸命に探し回りました。しかし、どこにも見つかりません。歯をなくした生徒は、“歯の妖精”に乳歯を渡せず硬貨を受け取れないのではないかと心配します。その出来事を受けて、ジレット小学校のカート・アンジェリ校長は妖精へ手紙を書くことにしました。
“歯の妖精”に宛てた手紙には、少年の乳歯が休み時間に抜けて消えてしまったけれど、硬貨をきちんと与えてほしいという内容がユーモアを交えて記されています。「訓練を受けた校長として、また趣味で歯医者をやっている者として、生徒の乳歯が間違いなく抜けていることを確認しました」「この手紙をもって歯の紛失を公認し、実際の歯に通常適用する標準為替レートでのお支払いをしていただきたいです」と、手紙には直筆サインとともに書かれています。追伸として、校長先生自身が抜けた親知らずと引き換えに受け取るはずの硬貨がいまだに支払われていないことを書き添えているところがお茶目です。
海外メディアの取材を受けたカート校長は「ひょっとしたら抜けた歯を飲み込んでしまったのかもしれませんね」と話しました。6年間この小さな田舎の小学校で校長を務めてきたという校長先生でも、妖精へ手紙を書いたのは初めての経験だったとのこと。生徒のためにちょっとしたことをするよう日頃から心がけているそうです。
校長自ら妖精へ手紙を書くという風変わりな行動は、生徒たちとの信頼関係を築くための優しい計らいでした。ちなみに翌日、乳歯をなくした生徒は“歯の妖精”から1ドルを受け取ったことを誇らしげに報告してくれたといいます。
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