ラグビーW杯過去最高のベスト8に進出し、日本中に感動とラグビーのおもしろさを伝えてくれた日本代表。そんな彼らのスーパープレーをあらゆる角度から再生できるキヤノンの「自由視点映像システム」に「意味が分からないぐらいすごい」「没入感がすごい」「なにこの夢の技術」といった驚きの声が寄せられています。
ラグビーW杯オフィシャルTwitterが投稿している、見たこともないような視点からのトライ動画。この動画はキヤノンの“自由視点映像システム”により生成したもの。キヤノン公式サイトでは、日本対スコットランド戦をはじめラグビーW杯のハイライト映像がずらり。“まるでグラウンドの中にいるような体験”と銘打っているように、自由な位置や角度からの映像は、まるでグラウンド内の選手の間近で撮影したかのようです。
例えば、日本対スコットランド戦、ラファエレ選手が出したキックパスを福岡選手が左サイドから駆け上がり一気にトライしたシーン。グラウンド横からの映像が日本選手の前線からの視点に、そしてパスを受けた福岡選手と一緒にトライゾーンへ駆け抜けていくような映像になっています。
同じシーンをさまざまなアングルで見ることができる同技術は、スポーツ観戦を劇的に変化させる可能性を秘めています。キヤノン広報部にこのシステムがどのように実現されているのかを聞いたところ、次のような回答が得られました。
「撮影方法は、スタジアムに約100台の高解像度カメラを設置し、ネットワークでつなぎ同じタイミングで全方向から撮影します。その撮影データからボールと選手だけを抜き出し、デジタル画像処理によって三次元データを作成。そこから視点を決め、3Dデータを基にレンダリング、画像として表示します。これを高速で繰り返し、出来上がった複数の画像を連続再生することで自由視点映像を生成しています」(キヤノン広報部)
3D映像という部類でいえば、映画などで用いられる“ステレオ3D”や、実写立体動画とも呼称される“ボリュメトリックビデオ”なども存在します。こうした3D映像との違いを聞くと、「ステレオ3Dとの違いは、2台のカメラによる左右視差を用いた方式ではなく、完全な3Dモデルを生成する点です。また、スタジオなどで商用化されてきているボリュメトリックビデオとの違いは、スタジアム規模でスポーツの動きが自由視点映像化できること」(キヤノン広報部)としています。
スポーツ観戦を変えるポテンシャルを感じさせる自由視点映像ですが、2020年の東京オリンピックなど他競技などでも活用されていくのでしょうか。キヤノン広報部によると、引き合いはたくさん来ているそうですが、現時点で確定しているものはないとのこと。ただし、実証実験としてJリーグの協力の下、Jリーグ公式YouTubeチャンネル「ジャッジリプレイ」の番組内でもこうした映像が活用されているといいます。
公式サイトでは、日本対スコットランド戦の他、ニュージーランド対南アフリカ、アイルランド対スコットランドが配信されています。準決勝(10月26日、27日)、そして決勝戦(11月2日)の後にも配信予定。日本代表のハイライトと併せて、世界最高峰の技をあらゆる角度から堪能できそうですね。
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