奇説「刃牙=ジルベール」
さらに、「このプレゼンで少女マンガ好きの福田さんの心を掴みます」と、「刃牙=ジルベール」説をプレゼン。
ジルベールと言えば、竹宮恵子氏による少女マンガ『風と木の詩(うた)』の主人公の一人。男たちを誘惑する小悪魔的な美少年キャラクターです。
竹宮恵子先生による少女漫画『風と木の詩』は 70〜80年代に女性を中心的な担い手として人気を博した 「少年愛」「耽美」といわれるジャンルの金字塔的作品の一つ。ジルベールは悲惨な生い立ちのせいで孤独感、疎外感を募らせてゆき、周囲の少年たちを手当たり次第に誘惑します。
刃牙とジルベール、どこが似ているのか? 金田さんは「見た目」「生い立ち」の2ポイントを挙げます。
「第1話で刃牙の背中が描かれたシーンがありますが、モブキャラから『すっげぇ傷』と言われています。読者は『なんでこんな細かな傷があるんだろう?』と思うじゃないですか、私はこれを見た瞬間、『風と木の詩』のジルベールを思い出したんですよ! ジルベールは、虐待を受けたり乱脈な性生活を送ったりしたことで体中に無数の小さなキズがある――と、作中で言われているシーンがあるんですね」(金田)
さらに出てきたのが「スライドの図を見ると視覚的にも分かると思うんですけど!」と提示されたスライド。ジルベールと刃牙の生い立ちを図にして整理しています。
「ジルベールは、オーギュという美青年と、オーギュの義兄の妻との間に生まれた不義の子です。母親はジルベールを完全に無視し、実の父親オーギュはジルベールにありとあらゆる虐待をします。他に誰も頼る人のいないジルベールはオーギュを憎むこともできず、完全に父親に執着してしまう。そして寄宿舎に入れられたジルベールは様々な男たちを誘惑していくと……」(金田)
一方刃牙はというと、
「刃牙さんは、範馬勇次郎と朱沢江珠との間の息子です。しかしこのカップルが成立した経緯がすでにおかしくて、朱沢グループの跡取り息子・朱沢鋭一とその妻となった朱沢江珠の新婚パーティに、範馬勇次郎が乗り込んで、いきなり鋭一を殺して江珠を自分のものとするんですね。さらに江珠もその時点で勇次郎に惚れていた。刃牙さんはそんな苛烈な男女の間に生まれた子どもです。勇次郎は『俺が将来、闘って楽しめるような、すごく強い男にしたい』という動機で子どもを作ったので、幼い刃牙さんに激しいトレーニングを課し、母親の江珠もそれに加担している。刃牙さんは両親らしい愛情を一切かけてもらえなかった……」(金田)
ジルベールも刃牙も、運命のいたずらが結び合わせた男女の間に生まれ、両親の愛情に恵まれず、父親に執着しているキャラクター。「ッッ!!! ……ッッ!!! ほぼほぼ……同じ!!」と金田さんは悲鳴を上げます。このプレゼンには福田さんも三角締めさんも思わず納得。
2時間にわたる熱いプレゼンで、刃牙未読の福田さんも「刃牙はボーイズラブだとわかりました」とのこと。三角絞めさんは「リアルタイムに読んでいた時の記憶がよみがえってきました。それと金田先生の着眼点はおもしろくて、BL以外にも『克巳が飲み物に砂糖をドバァーッと入れている場面』などたくさんの新発見があった」と語りました。
今回のイベントの大元となったnoteは現在も連載中。『刃牙』と金田淳子との闘いの記録はまだまだ開始(はじ)まったばかりだッッ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.