2020年「ヒーリングっど プリキュア」が目指す新しいプリキュア ジェンダーギャップ指数121位の日本に必要なこと:サラリーマン、プリキュアを語る(1/2 ページ)
「ヒーリングっど プリキュア」楽しみ! スタプリもラスト盛り上がってきた! 2つとも楽しみ!
2019年12月26日。2020年の新しいプリキュア「ヒーリングっど プリキュア」のメインビジュアルが公開となりました(正式名は「プリキュア」の前にハートマークが付きます)。
「ヒーリング」と「Feelin’good」を掛け合わせたタイトルがすてきです。モチーフは「地球のお医者さん」で、キュアグレース、キュアフォンテーヌ、キュアスパークルの3人のプリキュアが活躍するようです。どのプリキュアも王道を抑えつつもキラッキラしていてかわいいですよね。今から動くのが楽しみです。
プリキュアはただでさえ、「プリティ」で「キュアキュア」なのにさらに「ヒーリング」まで加わったら、われわれはどれだけ癒やされてしまうのでしょうか。恐ろしくもあり、楽しみでもあります。略称はTwitterの公式アカウントのハッシュタグでは「ヒープリ」のようです。覚えておきましょう。ヒープリです。
kasumi プロフィール
プリキュア好きの会社員。2児の父。視聴率などさまざまなデータからプリキュアを考察する「プリキュアの数字ブログ」を執筆中。2016年4月1日に公開した記事「娘が、プリキュアに追いついた日」は、プリキュアを通じた父娘のやりとりが多くの人の感動を呼び、多数のネットメディアに取り上げられた。
- これまでのプリキュア連載一覧
「ヒーリングっど プリキュア」は地球を癒やす?
公開された設定の中で、1つ気になるのは「ヒーリングアニマルと力を合わせて大切な地球をお手当!」という設定です。「大切な地球をお手当!」ですよ。
キャッチフレーズは「手と手でキュン!ハートつないで地球をお手当!」。今回は「地球をお手当」するようですね。これは新しくて面白いですよね。
これまでのプリキュアシリーズは主に「日常を守る/友達を守る」といった、主に私的な価値観の下に戦ってきたのに対し、「ヒーリングっど プリキュア」では「地球を守る」といった、いわば「公的な価値観」を立ち上がりのテーマとして出してきました(「地球のお手当」には地球の環境問題などをも示唆しているのかもしれませんね)。
プリキュアシリーズにおいて、最初に提示されるテーマというのは重要な意味を持ちます。プリキュアが1年を通して何を伝えたいのかが短いワードに凝縮されているのです。
「大切な地球をお手当!」という、いわば公的なテーマは、ある意味今までのプリキュアらしくない、といいますか「プリキュアの新しい境地」へ一歩を踏み入れていく感じがしています。
プリキュアは日常を守る
基本的にプリキュアは日常を守るために戦います。
2004年の初代「ふたりはプリキュア」のエンディングソング「ゲッチュウ!らぶらぶぅ?!」では、「地球の平和も大切だけど、チョコパフェとかイケメンに夢中になる日常の女の子」が歌われていました。
地球のため みんなの為ため それもいいけど
忘れちゃいけないこと あるんじゃない?!の!
「ゲッチュウ!らぶらぶぅ?!」歌:五條真由美 作詞:青木久美子 作曲:佐藤直樹
また、例えば2005年「ふたりはプリキュアMaxHeart」のラストバトルは、世界を飲み込む強大な敵を目の前にして、なぎさとほのか2人のプリキュアはアサリのおみそ汁や宿題の話で盛り上がるなど、世界を救う使命感と同じ目線で「日常を守るため」に戦いました。
以後、どのシリーズにおいてもプリキュアは主に(結果として世界を救うことになったとしても)きっかけは「日常を守るため」「目の前の困っている友達のため」に戦ってきました。
そんなプリキュアシリーズにおいて、「地球のために戦う」という公なテーマを掲げる「ヒーリングっど プリキュア」がどのように展開してくのか注目です。
メインスタッフは女性が占める
「ヒーリングっど プリキュア」は、東映アニメーションの主な制作陣がほぼ女性で占められました。シリーズディレクターは「映画スイートプリキュア♪」の池田洋子さん、シリーズ構成は戦隊シリーズや「映画HUGっと!プリキュア ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ」の香村純子さん、キャラクターデザインは「HUGっと!プリキュア」で宮本絵美子さんと一緒に総作画監督を務めた山岡直子さん、その他主要なスタッフもほぼ女性で占められています。
ジェンダーギャップ指数121位の日本
意外なことに、プリキュアのテレビシリーズの監督を女性が務めるのは初めてのことなのです。昨今はプリキュアのプロデューサー、監督を始め主要スタッフにも女性が増えてきました。
しかし日本全体ではどうなのでしょうか。
2019年12月17日に世界経済フォーラム(WEF)から2019年の「ジェンダーギャップ指数」が発表されました。これは世界各国の男女格差を測りランキングにしたもので、日本は前年の110位から後退し、過去最低の121位となりました。
153カ国中121位という衝撃的な順位。一部で集計ミスが指摘されていますが、ミスを修正してもほぼ順位は変わらないようです。
プリキュアという「女の子のエンパワメント」となるアニメ―ションが16年連続で放送されている日本で(さらにさかのぼれば、この30年間だけでも「美少女戦士セーラームーン」「おジャ魔女どれみ」など、男女かかわらず子どもたちのエンパワメントとなるアニメがずっと放送されてきた)この日本という国で、なぜにここまでジェンダーギャップ指数が低いのか。男女平等が実現されていないのか。
プリキュア、ひいては子ども向けアニメーションは、これまで男女の機会平等に寄与していなかったのか? そんなことを考えます。
もちろんジェンダーギャップ指数(GGI)は1つの指標でしかなく、
HDI(人間開発指数)日本19位/189か国(2017年)
GDI(ジェンダー開発指数)日本55位/164か国(2017年)
GII(ジェンダー不平等指数)日本22位/160か国(2017年)
など多数の指標から多角的に判断するべきであることは言うまでもないのですが、1つの指標としてジェンダーギャップ指数も重要なデータであると思われます。
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