母国を離れ、日本で働く外国人労働者。日本の職場について「これは直してほしいなぁ」と思うことがある人も少なくないようです。外国人向け求人チャットコンシェルジュ「JapanWork」が、1月29日〜2月6日に日本に住む外国人(126名/32ヵ国、10代〜50代)を対象に実施したアンケート調査は、日本の職場のさまざまな課題が指摘される結果となりました。
「改善すべき点」第1位は日本人も苦手なアレ
アンケートの「日本の働く現場が変えるべき/改善すべき所は」という質問に対して、一番多かった答えは「履歴書の書き方(21.4%)」。次いで「業務内容の完全なマニュアル化(19.8%)」、そして「昇給制度(15.1%)」「職場環境(14.3%)」「仕事量(7.9%)」などが続きます。
履歴書については「漢字を使うことが難しい(フィリピン、30代)」、「細かな書き方が分からない(インド、40代)」など負担の大きさがうかがわれるコメントが寄せられていました。近年、「面接時履歴書不要」という求人が増えており、日本で生まれ育っていても履歴書を書くのが手間だと感じる人は多く、日本語の読み書きに不慣れな人にとってはなおさら、という結果になったのでしょう。
「業務内容の完全なマニュアル化」に関しては、「口頭だけでの指示では分からないことがあるが、マニュアル化すればミスが減ると思う(フィリピン、20代)」、「何をしたらいいのか明確な指示がないので困っている(モンゴル出身、10代)」といったコメントが。これも、言葉や習慣のちがいによって、暗黙の了解や「空気を読む」ことがさらに難しくなるためだと考えられます。
「昇給制度」については、「日本の給与制度は企業規模に比例していない。企業規模も大きく、従業員の能力も高ければ相応の給与を支払うべき(シンガポール出身、30代)」、「仕事量」については「残業が当たり前なのは変えるべき(フィリピン、30代)」、「正確な勤務時間を記載すべき。私はサービス残業はしない(アルゼンチン、20代)」など、日本の働き方で問題視されつつも、なかなか改善されない課題を鋭く指摘するようなコメントもありました。
求人票で大事な情報はきちんと伝わっているのか?
仕事探しにおいて、「日本語での求人内容を正確に理解する事ができますか」という問いに対しては、81.7%もの人が「はい」と答えています。多くの外国人は求人情報で、言葉として書かれていることは理解できている、ということなのでしょう。
一方、「応募前に一番知りたい情報は何ですか」という問いに対しては、多くの外国人が「細かく具体的な仕事内容(48.4%)」、「1日の仕事の流れ、スケジュール(31%)」を選択しています。
先ほどの「日本の働く現場が変えるべき/改善すべき所は」という質問でも、「業務内容の完全なマニュアル化(19.8%)」「仕事量(7.9%)」が多くあげられ、「何をしたらいいのか明確な指示がない」「正確な勤務時間を記載すべき」というコメントがあったことを合わせて考えると、仕事内容や就業時間といった重要な情報が現在の求人票の書き方で十分に伝わっているのだろうか、という心配も。
外国人向けの求人を扱う「JapanWork」に対して、外国人から「工場内の食品の仕分け」の仕事について宗教上の理由で豚肉に触れられないなどの理由で、「何の食材を扱うのか」といった問い合わせがあったそうです。外国人への求人情報はより具体的で詳細な必要がある、という1つの例だと言えます。
そして、「日本語での求人内容を正確に理解する事ができますか」という問いに対して「いいえ」と答えた人は「漢字が読めない。特に仕事内容が充分に理解できない(フィリピン、40代)」とコメント。また、「日本での仕事探しにおいて、どんなサポートが必要ですか」という質問には、求人情報の英語表記や翻訳を求める声が複数ありました。日本語での求人内容を理解しているか否かにかかわらず、お互いの認識を正確に確認するため、言葉の面でのサポートは必要とされているようです。
外国人ではなくても、履歴書なしで応募できたり、仕事が分かりやすくマニュアル化されていたり、求人情報に仕事内容などが詳しく書かれていたりすれば助かる人も多いはず。もちろん言葉の面でのサポートという外国人ならではのニーズもありますが、外国人の視点からの見えてくる問題点を改善することが、誰でも働きやすい職場を作るカギになるかもしれません。
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