近年、飲食店やコンビニ、スーパーで外国人のスタッフさんに接客してもらう機会が増えてきました。生まれ育った国とはちがう言葉や習慣の日本で、彼ら・彼女らは何を思いながら働いているのでしょうか。
外国人向け求人チャットコンシェルジュ「JapanWork」が行った日本に住む外国人(480名、17ヵ国、20代〜60代)を対象としたアンケートによると、多くの外国人が人間関係を理由に、採用1カ月後、アルバイトを辞めていることがわかりました。
退職理由は「上司・先輩との人間関係」がダントツ!
アルバイトを辞めたタイミングでは、採用1カ月後が85.8%と圧倒的に多く、次いで3カ月後の5%。辞めた理由は「上司・先輩との人間関係の不満(85%)」がほどんどを占め、「研修が充分ではなかった(4.6%)」が続きます。日本人のアルバイトに対する類似の調査でも、人間関係が退職を考える理由として多く挙がっているものの(ディップ総合研究所、エン・ジャパン)、8割を超えるのは特徴的です。
上司・先輩との人間関係の不満に対するコメントとしては、「度が過ぎる程厳しかった(カナダ、30代)」と厳しい上下関係に対する拒否感、「自分だけに厳しくしているように見えたしシフト時間が長すぎた(ネパール、20代)」と不公平な人間関係の中で長時間働くことのつらさを訴えるものが挙がっています。
また、「研修が充分でなかった」と答えた人のなかには「研修時に周りのスタッフの対応が悪かった(ネパール、30代)」、「研修やトレーニングが存在しておらず、時給が低いだけだった(アメリカ、20代)」という人も。
人間関係に悩むのは日本人も外国人も同じだけれど、「先輩・後輩」という人間関係や、シビアで余裕のない職場環境は、日本特有の働き方も関係しているとも推測されます。
給料が良ければ、続けられる?
一方、アンケートの回答者のうち、現在も日本で働いている人が仕事を続けている理由として、84%が「給料が良い」と回答。次いで、「仕事内容が気に入っている(5%)」が多く、辞める理由では大きな原因となっていた人間関係は、「同僚との関係性が良い(4%)」「上司・先輩との関係性が良い(3.7%)」と、こちらも残念ながら少ない割合でした。
先ほどの結果を見た上で考えると、給料の良さを実感する前に、人間関係のキツさが耐えられず1カ月で辞めてしまう人が多かったということなのでしょうか。回答した人たちがどれぐらい働き続けられているのかも知りたいところです。
また、アルバイトに多い外国人留学生の場合、基本的に1週間の労働時間は28時間までと決まっているので(出入国在留管理庁)、この結果には、どうしても時給重視にならざるを得ない事情も関係していそうです。
ちなみに、「仕事内容が気に入っている」と答えた人は「チームの関係性も良く、上司と部下の立ち位置が平等だと感じる。アイディアを聞いてくれる(インド、20代)」とコメント。「上司・先輩との関係性が良い」ことがアルバイトを続ける理由となっている人は「自分の意思や意見を尊重してくれる(フィリピン、30代)」とコメントしており、外国人アルバイトを採用する職場では、後輩であっても個人の考え方を大切にするフラットな関係が求められているようです。
やはり、言葉の壁は厚い!?
調査では、95.8%の外国人が日本で働くことに対して不安を感じているという結果も。その理由としては「自分の日本語レベル(85%)」、「言葉の壁/日本人とのコミュニケーション(4.4%)」など言葉に関することが多くを占めています。
日本語でのコミュニケーションに不安を感じると答えた人のコメントでは、「日本語で履歴書を書くことが出来なかった(ネパール、20代)」とスタート以前の高いハードルや、「もし充分な日本語スキルがなかったら、差別されるのではないかと不安(アメリカ、30代)」など、言葉の不自由さがさらなる困難につながる不安があることがわかります。こうした中で、「給料も良いので日本で働く事は好きだが、日本語が難しすぎるのでたまにコミュニケーションが難しいと感じる(フィリピン出身、20代」と、慣れない日本語に悪戦苦闘しつつ働き続ける人もいるようです。
そんな中、「同僚と馴染めるか」など、職場の人間関係に不安を感じていた人からも「外国人なので差別されると不安だったが、仕事を始めてみるとみんな友好的でとても良い人たちだった(カナダ、30代)」、「最初は、仕事仲間やお客様に対してどのようにあいさつしていいかわからなかったが、仲良くなり日本語であいさつが出来るようになった。日本人はフレンドリーだと知った(アメリカ、20代)」といったコメントも。同僚やお客さんに受け入れられているという感覚が、不安を解消させることもあるようです。
コンビニのレジやファミレスのホールで目にする外国人のスタッフは、言葉の不自由さや上下関係に悩みながら働いていたり、あるいは、違いや個性が認められる職場で働けているのかもしれません。
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