ITmedia ガジェット 過去記事一覧
検索
ニュース

「ダーウィンの進化論」自民党の漫画は誤用 日本人間行動進化学会が声明

政治的意見の主張ではなく、あくまで誤用を正すための表明です。

PC用表示 関連情報
advertisement

 自由民主党広報ページに掲載された漫画「教えて!もやウィン」第1話にダーウィンの「進化論」が誤った形で引用されているとして、日本人間行動進化学会が声明を発表しました。

 作中ではダーウィンをモチーフにしたキャラクターが「最も強い者が生き残るのではなく 最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることが出来るのは 変化できる者である」と述べていますが、これは米国の研究者・メギンソンによる解釈であり、ダーウィンの主張ではありません。



 ダーウィンの定義する「進化」とは、環境に適さない形質が種から淘汰されていく「遺伝子頻度の変化」のプロセスであり、特定の個体の生存や変容については言及していません。また「進化論」は生物進化における事実を記述したもので、それを「人間社会も同様の進み方をするべきである」もしくは「そのように進むのが望ましい」と当てはめるのは間違いだと指摘しています。

 学会は、誤用された進化論が差別・抑圧の正当化に利用されてきた歴史を踏まえて、以下のように述べています。

私たちはここで、特定の政治的意見を主張するものではありません。いかなる方向性・内容であっても、ダーウィンの進化論という科学的知識が、社会的影響力を持つ団体や個人によって(それが意図されたものであるかどうかにかかわらず)誤用されることについて、反対を表明するものです。「変化できる者だけが生き残れる」と信ずるのであれば、誤った科学を根拠にするのではなく、個人や団体の信念として表明するべきだと考えます。



Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る