Twitterを中心に拡散された「PCR検査を受けると、団体信用生命保険(団信)の加入が難しくなり、住宅ローンが組めなくなる」という言説。
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の罹患(りかん)にかかわらず、検査を受けただけで影響が出るというこの投稿は、住宅の購入という大きな出来事に関わることもあり「怖すぎる」「未感染でも住宅ローンとか組めなくなるって聞いたら、ココアとか入れたくない」と波紋を呼びながら広がっていきました。この言説の真偽を保険会社に聞きました。
今回、ねとらぼでは、団信を販売する第一生命、日本生命の2社に話を聞きました。まず、「PCR検査を受けると団信に加入できなくなることはあるのか」と聞いたところ、2社ともにそのような事実や規定はないという回答でした。
第一生命では、コロナウイルスに罹患していた場合でも「完治(PCR検査で2回陰性が出た場合)後であれば保険加入が可能」と規定しているとのこと。
保険加入の際には、コロナウイルスだけでなく、その時点で風邪などの病気にかかっている場合も加入することができません。一般的には、治った後に一定期間を置き、改めて契約を行うことになります。
日本生命によると、保険の加入については「一般的にコロナ感染をもって、一律、加入不可ということではなく、入院中(入院が確定している状態)でなければ新契約の申込み手続きは可能であり、その際の健康状態等を踏まえて個々判断」しているとのことでした。
今回の言説の元になった投稿では、銀行の窓口担当者から「PCR検査を受けるとローンを組めなくなる」と説明を受けたとしていましたが、銀行関係者は「このようなことはまずありえない」と言います。
銀行の窓口では、現在の契約者が健康状態などを申告する「告知事項」に関する説明をすることはあるものの、保険加入に関する審査・判断は保険会社が行います。今回の住宅ローンに関する言説は、「告知事項」の説明の際に何らかの行き違いがあったことから生まれたものだと考えるのが自然でしょう。
PCR検査は、コロナウイルス専用の検査ではなく、医療従事者を含め、幅広い人々が受けているものです。検査を受けたから、もしくはコロナウイルスに感染していたからといって、一律に「保険加入ができなくなる」「住宅ローンが組めなくなる」という事実はありません。自身が感染した場合や、その疑いがある場合には、医療機関や行政の指示に従って感染拡大を防ぐ行動をとりましょう。
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