タイ最高裁、「ウルトラマン」訴訟に関するタイ人実業家と制作会社の上訴を棄却 円谷プロの著作権を侵害したとして損害賠償が確定
円谷プロダクションを取材しました。※追記・修正あり
タイの最高裁判所は9月21日、タイ人実業家と制作会社が主張する「ウルトラマン」シリーズに関する海外の著作権保有について上訴を棄却。これにより、タイ国内でも円谷プロダクションが著作権を保有していることがあらためて確認されました。
【追記(9月28日):一部誤解を招く表現があったため、本文を修正しました。後述の通り、タイ最高裁は2008年2月に円谷プロダクション全面勝訴の判決を出しています。今回の係争はそれを受け「1998年〜2008年までに相手が得てきたライセンス料」に対し損害賠償請求を行ったものです。】
タイ人実業家・サンゲンチャイ・ソンポテ氏と、タイの制作会社・ユーエム社はこれまで、円谷英二氏の息子である故・円谷皐(のぼる)氏とソンポテ氏との間で「ウルトラQからウルトラマンタロウまでのシリーズを日本を除く全ての国において、期限の定めなく独占的に利用許諾する」という契約書が存在していると主張。20年以上にわたり日本、タイ、中国、米国で係争してきました。
争点である契約書について、ソンポテ氏は「1976年に結んだもの」だと主張してきましたが、契約書がわずか1ページであること、原本が開示されていないこと、円谷プロダクション側の社名、作品の名称、作品の本数などが間違って記載されていること、ライセンス料の記載がないといったことから、契約書そのものの真贋が争われてきました。
これについてタイ最高裁は2008年2月、ソンポテ氏側の主張を退け、円谷プロダクション全面勝訴の判決を出しています。その後、ソンポテ氏側は判決を不服として控訴し「Jumbo A」「Ultraman 1 – Ultra Q」「Ultraman 2」「 Ultraman Seven」「Return of Ultraman」「Ultraman Ace」「Ultraman Taro」「Jamborg Ace」「Hanuman Meets Seven Superheroes」(すべてタイ国内での名称)の権利について主張を続けてきましたが、今回の棄却により、すべての作品についてタイ国内でも円谷プロダクションが著作権を保有することがことがあらためて確認され、ソンポテ氏側が損害賠償を支払うことになりました。
円谷プロダクションのコメント
ねとらぼ編集部が円谷プロダクションにお話を伺ったところ、「この判決に関しては、2008年の真贋訴訟判決に基づくもので、当社の主張を全面的に認める当然の結果であると考えております」とコメント。
タイにおいてはソンポテ氏と係争中の案件がないことを明かし、今回の判決は「相手方の侵害行為抑止につながると考えられますので、当社といたしましては、今後もより一層ウルトラマン作品の積極的なタイでの展開を進めていく所存でございます」としています。
(Kikka)
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