「乗客にうれしい、カメさんにもやさしい!」。JR西日本の列車遅延防止に向けた取り組みが「やさしい世界」と話題になっています。
話題のツイートは、JR西日本岡山支社のマスコット「くまなく・たびにゃん」の公式アカウント(@Okayama_JR)が投稿。JR西日本の列車遅延防止に向けた取り組みを紹介したところ、2700件以上のいいね! が集まり、多くの人をほっこりさせました。
JR伯備線の布原駅(岡山県新見市)付近で、トコトコ歩いてきたカメさんが線路の分岐器(ポイント)に挟まってしまい、列車の運行に支障をきたすことがありました。
列車の遅延は乗客に迷惑をかけてしまいます。もちろんカメさんも悪気があって挟まったわけではありません。
そこで挟まるポイントの手前にU字溝を埋め込んだ「カメさん救出システム」を設置したのです。
線路に誤って進入してしまったカメさんは、ポイントに挟まってしまう手前でU字溝にポトリと落ちる仕組み。これでカメさんはポイントに挟まることなく無事に線路から脱出できるできるようになりました。おぉぉ!
なぜ、線路にカメさんが挟まってしまうのでしょうか。
事象は陸上をとことこ歩くカメさんが踏切をわたるときに起きます。ふとしたきっかけで横にそれてレールの間に落ちてしまうと、カメさんは自力でレールを乗り越えられず、レールに沿って進むことしかできなくなります。こうして進んでいったその先のポイントのすき間にすぽっと挟まってしまうのです。
そこでポイントが切り替わるとカメさんはつぶれてしまいます。信号も赤のまま変わらなくなり、列車が運行できなくなってしまいます。
JR西日本は、このように線路に挟まってしまうカメさんのために、カメさん対策技術を須磨海浜水族園と協力して開発(関連記事)。これまで最もカメさんが挟まっていたというJR和歌山線五位堂駅付近に設置した同装置で「カメの活動期と重なる4月〜8月の間に少なくとも10匹のカメが助けられた、つまり10回以上の列車輸送障害を防げた」と絶大な効果が確認されました。このシステムが布原駅にも備わりました。
ちなみに、布原駅は「伯備線」の駅ですが客を乗せた伯備線の列車は1本も止まらない、1日平均乗車人数が0人(2018年)の秘境駅としてファンに知られています。両隣の新見駅と備中神代駅間に芸備線の列車が走っており、この芸備線の列車だけが停車して客扱いを行います。
カメさんにやさしい駅。鉄道ファンならばもちろん、ファンでなくとも一度はカメさんに会いに行きたくなってしまいますね。
(大泉勝彦)
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地元の観光名所「元乃隅神社」の100基を超える鳥居をモチーフしたそうです。