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乗り鉄が厳選、鉄道好きに勧めたい「Kindle Unlimitedで読める鉄道漫画」11選月刊乗り鉄話題(2021年2月版)(3/3 ページ)

読み始めたら止まらなくなる作品たくさん……!

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レアな列車の乗車記を賑やかに楽しめる描き下ろしの番外編 『ひかり!運行延長』(水井麻紀子)

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『ひかり!運行延長』(水井麻紀子)

 『ひかり!運行延長』は2014年に運行された「トワイライトエクスプレス南紀熊野の旅」の実録4コマ漫画集。主人公のひかりと仲間たちの賑やかな旅の様子が描かれています。

 当時のトワイライトエクスプレスは現在のクルーズトレイン(関連記事)ではなく、大阪〜札幌間を結ぶ寝台特急でした。その客車を使った1泊2日のツアーが「トワイライトエクスプレス南紀熊野の旅」でした。レアな列車の乗車記を賑やかに楽しめます。


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『ひかり!出発進行』(水井麻紀子)

 前書きにあるように、本作は芳文社「まんがタイムファミリー」で連載されていた『ひかり!出発進行』の番外編です。ひかり!出発進行の4巻を出すためにクラウドファンディングを実施したところ、単行本1冊分の余剰金が発生したため本作を描き下ろし、ネットで公開することになったそうです。何て良心的な作者さん!

 もっとも、本編あってこその番外編なので、本作だけでは登場人物の相関が分かりにくいかもしれません。面白そうな雰囲気だなと思ったら、ぜひ本編も読みましょう。Kindle電子書籍版が販売されています。ローカル鉄道会社でボランティア駅長を勤める女の子のお話です。

読後感がさわやかなヒューマンドラマ 『鈍行ゆったり鉄道物語 ローカル線編 1号車』(佐藤タイセイ)

 『鈍行ゆったり鉄道物語 ローカル線編 1号車』はローカル鉄道を舞台とした短編漫画集。全4話はそれぞれ独立した話です。

 第1話「名寄本線よ、ふたたび…」は主人公が女性のバイク乗り。乗り鉄じゃないの? と意表を突くスタートです。北海道で道に迷った彼女が立ち寄った場所は、廃線となった名寄線の廃車を使った資料館でした。ライダーズハウスとして使われた列車の中で不思議なことが起こります。

 ほかに架空の鉄道「東総電鉄」の駅員と家出少女の話、「筑波鉄道」の電車たちが擬人化してBLっぽくなる話、ある目的のために自転車で江ノ電と競争する少女の話を収録。読後感がさわやかなヒューマンドラマでした。「2号車」が楽しみです。

蒸気機関車と女性心理のデリケートなところに共通点? 『まいてつ』全2巻(原作:Lose、シナリオ:進行豹、作画:甘露アメ)

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『まいてつ』(原作:Lose、シナリオ:進行豹、作画:甘露アメ)

 『まいてつ』はWindows版のノベルゲームを原作としつつ、恋愛コミック化した作品です。

 舞台は熊本県人吉市をモチーフとした御一夜市(おひとよし)。主人公の「双鉄」が第二の故郷とする街です。しかし町は衰退しており、工業誘致と観光振興が課題。一方で水質汚染問題も起きます。双鉄は伝説の蒸気機関車「8620」を復活させ、制御用女性型アンドロイド「レエルロオド」と問題解決に当たります。

 まいてつはテレビゲーム機にも移植され、大人向け要素を省いた恋愛ノベルゲームになりました。コミックはゲームの分岐ルートの1つをテーマとしており、Kindleでもアダルト扱いではありません。奇抜な設定ですが、蒸気機関車と女性心理のデリケートなところに共通点があるかも? ファンタジー作品として楽しめます。

原作に忠実で今となっては文章で分かりにくい情景もひと目で分かる 『マンガでBUNGAKU 銀河鉄道の夜』(原作:宮澤賢治、シナリオ:青木健生、作画:TSUNE)

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『マンガでBUNGAKU 銀河鉄道の夜』(原作:宮澤賢治、シナリオ:青木健生、作画:TSUNE)

 最後に紹介するのは名作『銀河鉄道の夜』をコミック化した作品、『マンガでBUNGAKU 銀河鉄道の夜』です。

 何度も幻想的な映像化が行われた作品ですが、物語はとても切ない結末です。原作に忠実で、今となっては文章で分かりにくい情景もひと目で分かります。章の境目に宮澤賢治や原作に関するコラムもあり、宮澤賢治の世界に入るきっかけとしてもオススメです。

 ただし、この漫画は原作とは決定的に違うところがあります。それは列車が蒸気機関車になっているところ。じつは、ジョバンニとカムパネルラが乗った列車は蒸気機関車のけん引ではありません。どんな列車だったのか、漫画を読み終わったら、ぜひ原作もじっくり味わってくださいね。ヒントは「カムパネルラ」のセリフ、です。



杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

乗り鉄。書き鉄。1967年東京都生まれ。年齢=鉄道趣味歴。信州大学経済学部卒。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。出版社アスキーにてPC雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年よりフリーライター。IT・ゲーム系ライターを経て、現在は鉄道分野で活動。鉄旅オブザイヤー選考委員。ITmedia ビジネスオンラインで「週刊鉄道経済」連載。著書に『(ゲームソフト)A列車で行こうシリーズ公式ガイドブック(KADOKAWA)』『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。(幻冬舎)』『列車ダイヤから鉄道を楽しむ方法(河出書房新社)』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」。JR路線の完乗率は100%、日本鉄道全路線の完乗率は99.69%(2020年10月時点)



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