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77歳で「細菌撲滅」を遊び続けるおばあちゃん―― 高齢ゲーマー4人に聞いた、彼らが「ゲームで遊び続ける理由」オタクの老後(4/4 ページ)

ゲームは「老後の趣味」たり得るのか。

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「Apex」に熱中する62歳、趣味が高じてゲーム開発者に

 BoiledFrogz(@sunnydeejey)こと安田圭吾さん(62歳)は元ゲーム開発者。かつてはハドソンに在籍し「スターソルジャー」(ファミコン)や「カトちゃんケンちゃん」(PCエンジン)など、ゲーマーなら誰もが知るタイトルの開発に携わってきました。

 安田さんが現在ハマっているのが「Apex Legends」(PC・PS4・Switchなど)。仲間とチームを組んで他のプレイヤーと戦う、1人称視点のシューティングゲームです。「『Apex』は作り手の目線で見ても素晴らしいゲームです。日本人には作れないのではないでしょうか」と安田さん。チャットツールの「Discord(ディスコード)」を使い、クラン運営にも協力しながら、仕事の傍ら、今は平日で4時間程度、休日は6時間程度遊んでいるといいます。

 中学生のころからボードゲームなどアナログゲームが好きだった安田さんは、高校生のときにApple II(iPhoneでおなじみアップルの最初期のPC)のゲームを見て衝撃を受けます。大学生になるとバイトに励み、溜めたお金で、当時は高額だったApple IIの代わりにPC-8801を購入。以来まともに授業に出ることも少なくなり、ゲーム漬けになりました。

 しかしそのかい(?)あってシステム開発会社に就職でき、やがてゲーム開発者の道を進んでいくことになります。

「ゲームが生活そのものだったので、おかげで多くの人と出会え、多くのゲームをリリースすることができ、いろいろと得難い経験ができました。幸せです」(安田さん)


ゲーマーの老後
ゲーム用のモニター(左)と「discord」用のモニター(右)

 ゲームで遊ぶうえで年齢がネックになることはないか聞くと、「プレイ自体はやはり若いメンバーにはかないませんが、『APEX』はチーム戦ゲーなのでダウンしてもすぐ助けてくれます。それがうれしいです」と安田さん。また、Discord内で若いメンバーと話していても、時折マンガやアニメのネタについていけないことはあるものの、「それなりに立ててくれる」といいます。「当然、気を使われているのでしょうが(笑)」(安田さん)


安田さんはYouTubeでゲーム動画の配信にも挑んでいます(安田さんのYouTubeチャンネル

 安田さんはゲームを楽しみながらも、開発者らしく、身をもってゲームと高齢者の関係を模索しています。

 「高齢ゲーマーのために、Discordのようなツールで交流しながらマルチプレイ(複数人で遊ぶ)ゲームが楽しめる、リアルでもオンラインでも集まれるような場所があればいいなあと考えています。もしかするとそれは、次世代型の高齢者施設なのかもしれませんね。個人としては、ゲームを作りたいという意欲もまだまだあります。その過程や作品を共有できる友達がいればきっと幸せでしょうね」(安田さん)

 日本にはリテラシーデバイド(情報の格差)があり、いまだ「発展途上」であるとみている安田さん。今後、今後、日本から高齢者向けの新しいゲームが生まれることに期待しているといいます。。

 安田さんはまた、さらに年老いてもしも認知症になった場合、自分がどのようにゲームに関わっていくのか、楽しみにさえしているようです。

 「いつか私たちが認知症になったとき、どのようにコンピュータを使い、ゲームやSNSと関わっていくのか。それが自分自身にどう影響するのかに興味があるんです」という安田さん。「特に短期的な記憶を失ったとき、ゲームを遊ぶことで反射神経や運動能力にどんな影響が現れるのか。それを知ることができる新しい時代が来ていると感じています」とし、自らその一例となるために「死ぬまでコンピュータを使い続ける」と語ります。


高齢ゲーマーがゲームの「向こう」に見ているもの

 今回の取材を通して、印象深かったワードは2つ。「反射神経」と「コミュニケーション」です。

 高齢ゲーマーは、反射神経の衰えを防ぐことを目的にゲームを続けたり、逆にゲームを続けることで反射神経の衰えを感じているようです。高齢になり体力の衰えで外出が難しくなったり、コロナ禍のように外出しにくい社会情勢が今後再び訪れたりしても、家で楽しめるゲームは、高齢者の日常を彩る手段の1つとして身近になっていく可能性があります。

 もう一つはコミュニケーションです。「ゲームそのものが楽しい」というのは当然のこととして、今回話をうかがった皆さんは、ゲームを通して構築される人間関係を大切にされているようです。孤立しがちな社会のなかで、地域や世代を超えて交流するアイテムとして、ゲームの存在が見直されるべきなのかもしれません。


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