「誰かが手作業で描いた絵」しか食べられない体質の女の子と、彼女のために絵を描く女の子の漫画が、不思議で優しい世界を作り出しています。作者はイラストや漫画をWebに投稿しているシマシ(@morinosato_smsm)さん。
同じ学校の神森さんとすみれの間には2人だけの秘密があります。神森さんは普通の食べ物は食べられず、人の描いた絵を食べる体質。すみれは彼女の食事を毎日描いています。
他人の評価は気にしない主義のすみれですが、神森さんからの「おいしい」という賛辞はそんな境界線を揺るがしかねないもの。彼女に言わせると、すみれの絵は「いつも少しの苦みがある」。絵の味は、描き手が絵と向き合っているときの気持ちが現れているのだそうですが……。
絵を描くのは楽しいだけじゃない――すみれは自分のそんな気持ちが苦みになっていると思っています。でも、神森さんは「楽しんで描いている」「絵が好き」な気持ちや「食べる人を思いやる気持ち」も伝わってくると言ってくれるのです。
唯一絵を供給する自分がいないと神森さんは困ってしまうと思っているすみれは、2人の関係は「普通の友達とは言えない」「対等じゃない」ため、軽々しい友達づきあいはいけないと考えています。一方で神森さんは、「楽しいのは自分だけ」「すみれになにかしてあげたい」と負い目を感じ、すみれの絵から感じる苦みについて、「あること」を申し出るのですが……。
絵にまつわる苦い思い出ゆえに、他人には期待せず、思っていることを秘めているすみれ。絵を通じてその秘めた思いを味わえる神森さんだからこそ、彼女が敷いた境界線を超えることができたのでしょう。普通ではない2人の関係には少しの“苦み”と、互いを思いやる優しさがあり、読んでいて温かな気持ちになります。
作品提供:シマシ(@morinosato_smsm)さん
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 箱から出てきた幼なじみの願いは「穴を掘ってほしい」―― ちょっと不思議な「幼なじみがくれた箱」の漫画が胸を打つ
予想外の展開に思わず涙。 - 記憶を“セーブ”しないと忘れてしまう女の子 少し不思議でかわいい漫画がぐっと来る
セーブ回数には限りがある。でも気になる男子と話した記憶は忘れたくない……。 - 気付いてしまった、髪型を変えると妙な力を使えてしまうってことに―― 「髪型で能力が変わる女の子」の漫画に「好き!」「オチが最高」の声
彼女がかけたのは魔法なんかじゃない? - 後ろから不気味なのがついてくる…… 取り憑かれた少女と取り憑いた妖怪、2人の関係が変わる漫画がじーんと来る
見た目は奇妙でも優しさであふれている妖怪のおはなし。 - 「カワイイ」ってなんだろう? “カワイイ顔”の子しかいない学校の漫画に「自分らしさ」を考えさせられる
みんなが「カワイイ」顔の学校の不思議なお話。