気付いてしまった、髪型を変えると妙な力を使えてしまうってことに―― 「髪型で能力が変わる女の子」の漫画に「好き!」「オチが最高」の声
彼女がかけたのは魔法なんかじゃない?
火を出したり、水を出したり、身体を光らせたり……。髪型によって様々な超能力を発動できるという、妙な能力を持つ事に気が付いた女の子、結神ユイ。彼女は毎日のように髪型を変え、様々な力を発揮するのですが……。
作者は漫画家のふかさくえみ(@i_moni)さん。『まんがライフオリジナル(竹書房)』にて、不思議なクリーニング店のお仕事コメディ『鬼桐さんの洗濯』を連載中、単行本は2巻まで発売されています。
結神ユイちゃんはこだわりを持っており、小さな頃から髪を切る事も結ぶ事もありませんでした。やがて彼女は高校生になり、校則で髪を結ぶようになったのですが、それによって髪型を変えると、妙な能力を使える事に気が付いてしまうのです。
その仕組みはよくわかりませんが、とにかく髪型を変える事によって様々な能力を発揮できます。火を出したり、水を出したり、視力が回復したり……。ユイちゃんと仲の良い男子、麦原くん曰く「自分で言ってても意味が分からないが、多分そういう事なんだと思う」だそうです。
髪の毛を切りたくない、結びたくないという長年のポリシーもどこへやら。ユイちゃんは共通の女友達、京ちゃんの手も借りながら、自分の能力を突き詰めるべく様々な髪型を取り始めるのです。
ある日の事。ユイちゃんは京ちゃんに教えてもらった「みつあみ」にします。慣れていなければ難しい髪型ですが練習を重ねたのでしょう、なんとかみつあみと呼べる形になっていました。
「心なしか身軽になった……ような?」との事でしたが、みつあみはどのような能力を発揮するのでしょうか。
みつあみの能力は体育の時間に判明しました。どうやら「足が速くなる能力」らしく、50メートル走で普段では考えられないほどの好タイムを叩き出したのです。
「体育の日はみつあみで決まりだね、体育祭前に気付いてよかった」と喜ぶユイちゃんでしたが……。
その能力に「でもそれってさぁ……ズルくない?」と異を唱える麦原くん。そしてふたりは言い争いをしてしまうのです。大した事ではないのに、思わず言い過ぎてしまう……思春期の男女にはありがちなすれ違いだと思います。
その日の放課後、教室にて「うっかり言い過ぎた」と悔やむ麦原くん。京ちゃんに言われて窓の外へ目をやると、そこには空中に浮かぶユイちゃんの姿が。どうやらみつあみは足が速くなるのではなく、重力から逃れるような能力を秘めていたようです。
ぷかぷかと空を浮かぶユイちゃんは、力を制御できずどんどん高く昇って行きます。やがてとんでもない高さまで昇り、彼女の意識は途切れました。
ユイちゃんが目を覚ました場所は、病院のベッドの上でした。麦原くんと京ちゃんの話によれば「成層圏まで飛んでいく所だった」「気を失ったままゆっくり落ちてきた」との事です。
現状を飲み込んだユイちゃんの脳裏に浮かんだのは、自身を必死になって助けようとする麦原くんの姿でした。
怪我をしていた麦原くんを心配するユイちゃんでしたが、それは「助けようと慌てた拍子に転び、気絶した時に負ったもの」と京ちゃんにバラされます。一方でユイちゃんは単に身体を冷やし、風邪を引いただけで済みました。
ひと騒動の翌日。麦原くんは京ちゃんに「ユイのどの髪型がお好みだった?」と尋ねられます。それを受けて今までの髪型を思い起こしますが、照れているのかどれが好き、とは言えなかった様子。
それに対して京ちゃんは、意味深に「じゃあ今日はどうだろ」とつぶやき、ちょうどユイちゃんが現れます。
その姿を見て、慌て驚く麦原くん。ユイちゃんは「この間みたいな事になっても困るし」と、今まで伸ばし続けてきた髪の毛をバッサリ切り、ショートカットになっていたのです。感想を尋ねられた麦原くんは、少し照れながら「別に……似合ってんじゃないの」と返しました。
ユイちゃんは満面の笑みで「ありがと」と返します。それを見て顔を真っ赤にする麦原くん。
麦原くんは「その魔法はやめとけ」と言います。今日は髪を結んでいないので何もないよ、と訝しがるユイちゃん。麦原くんは笑顔にときめき顔が真っ赤に、机に伏せた顔を上げられません。
ラストは机に突っ伏す麦原くんと、それを不思議そうに眺めるユイちゃん、そして麦原くんの独白で締められます。
「あきらかにおかしいだろ……さっきから目も合わせらんないとか……」
「魔法じゃなかったら何だってんだ」
ユイちゃんと麦原くんの距離感。学生時代の甘酸っぱい思い出を追体験できる作品でした。
画像提供:ふかさくえみ(@i_moni)さん
(たけしな竜美)
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