どんな話を読んでいても、「かいけつゾロリ」が突然乱入して物語を終わらせてしまうしおりが人気を集めています。しかも作ったのはポプラ社公式。なぜこのしおりを作ったのか聞いてみました。
ポプラ社の「かいけつゾロリ」(作・原ゆたか)公式アカウントがTwitterに投稿したのは、ゾロリなどのキャラクターのイラストと文章が入ったしおり。
「『ゾロリたちが物語を勝手に終わらせるしおり』を作りました」というコメント通り、しおりには「そのとき とつじょ ゾロリたちが らんにゅうし、おなら で ぜんぶ かいけつしてくれちゃいました。物語はこれでおしまいです。めでたし、めでたし」と書かれています。
このしおりを挟むと、読んでいる物語の内容がどれだけシリアスでも、おならで強制的にハッピーエンド。不条理だけど、思わずクスリと笑ってしまいそうですね。
投稿には「ほしい」「最高」などという声が多く寄せられています。ポプラ社は自分で印刷してしおりを作れる画像も公開しており、実際に作ってみたという人も複数いました。
この大反響のしおりは、いったいどのように作られたのか。ポプラ社の宣伝担当者に聞いてみました。
―― 「ゾロリたちが物語を勝手に終わらせるしおり」はどのような経緯で作られたのですか。
担当者 普段の投稿ネタの一つとしてアイデアが浮かび、私の手元で作成しました。以前、話題になった「本の途中でCMが入るしおり」が頭の片隅に残っていました。
また、ゾロリへの感想やリアクションについて、「ゾロリたちってなんでもおならで解決するよね」「ゾロリがおならで全部解決してくれないかな〜」という声をよく見ていたので、多くの方がゾロリに「おならで解決」というイメージを抱いているんだなと認識していました。
しおりを作成するうえで、ゾロリのイメージを活用し、読んでいた物語の外側に連れて行くというメタ的な表現にアレンジしました。
―― 「しおり」に書かれたストーリーは、「かいけつゾロリ」シリーズのなかの作品がもとになっているのですか。
担当者 具体的に「ここ」という引用箇所はありませんが、『かいけつゾロリ ちきゅうさいごの日』(シリーズ26作目 1999年12月発売)など、ゾロリがおならで問題を解決し窮地を脱するシリーズの「お決まり」パターンを「しおり」の文にしています。
―― 多くの反響が寄せられたことについて、どう思いましたか。
担当者 「ゾロリ」はTwitter利用者層の認知度がとてつもなく高く、読者のみなさんに作品の世界観がよく伝わっていて、「ゾロリってこういうことするよね」という共通イメージが行き渡っていることを実感しました。30年以上(『かいけつゾロリ』シリーズは1989年発売)、子どもたちを楽しませてきた原ゆたか先生が積み重ねてきたもののすごさをあらためて感じます。
学校関係者や書店の方々から「使用したい」とのお問合せも多くいただいていますし、大人・子ども限らず、読書がいつもよりちょっと楽しくなったり、久しぶりに本を読んでみようかなと思ったり、そんなちょっとしたきっかけになるようなことがあれば、いち出版社の人間として何よりもうれしく思います。
先行き不安な今だからこそ、人々は突如現れたゾロリたちが「おならでぜんぶかいけつ」してくれる物語に爽快感を感じるのかもしれません。早くもしおり第2弾「使えば使うほどブルル社長が儲かるしおり」も作成されています。遊び心がさく裂するしおりで、読書時間にひと味違った楽しさや和みがプラスされそうですね。
画像提供:ポプラ社
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