生産性がない――否めない部分はあるけど、わざわざいう必要ある? オネエYouTuberが感じるLGBTQ+の現在地(2/3 ページ)
差別発言をキーに展開する映画「シャイニー・シュリンプス!愉快で愛しい仲間たち」鑑賞後の座談会。
同作はストレート(異性愛者)の五輪メダリストが同性愛者への心ない発言の罰として、ゲイのアマチュア水球チームのコーチを任されたことをきっかけに動き出すストーリー。最初は戸惑いばかりだった彼はチームとの交流を通じ、次第に打ち解けていきます。しかし時には厳しい世間の目に直面する場面も描かれます。
ー ゲイへの差別発言がキーとなる作品に、リアリティーは感じましたか?
ゆうき 日本でもあるよね。政治家さんがぽろっと失言して批判を浴びたりとか。
たつや 「生産性がない」とか「道徳的に〜」とか。あくまで個人の意見だけど、一理はあるなと思う。例えば「生産性がない」という意見も、子どもが作れないのは事実だし否めない部分は確かにある。でもそういうことを「わざわざいう必要があるのかしら?」と思うよね。
アールジェイ 変えられることなら言ってもいいと思う。でも性別って変われないし。みんなも経験しているでしょう。発言力がある人から言われるだけじゃなく、街中でも一般の人から言われるじゃない。
たつや “ホモ野郎”みたいな言葉ね。昔、芸人さんが演じていた保毛尾田保毛男(ほもおだほもお:とんねるずが1980年代〜90年代に演じていたコント)なんて、今となっては問題になってきてはいるけれど。
しょうご 自分はそういうのあまり気にしないタイプ。「言ってれば」って、もう自分とは違う人種なんだと割り切ってる。そうやって差別をする人は、すごく世界がちっちゃいんだな、周りが見えていないんだなと思っちゃう。
ゆうき あたしもそのタイプ。怒ってしまえば自分が同じレベルになっちゃうから。「はい、ごきげんよう〜」って流すの。
しょうご 映画でも描かれていたような見ず知らずの人から暴言をぶつけられるような差別は日本でもあるよね。
ゆうき だから私はシャイニー・シュリンプスの抵抗が好きだった。けんか腰じゃなくて、目の前で思いっきり愛を見せつけるアプローチ。あれはすばらしいと思う。
たつや 変えていかなくちゃいけないことだよね。今はマイノリティーを差別する、拒否するのが社会全体から見てもうマイノリティーになりつつある。ただ、一方ではLGBTQを利用している企業もいる。
しょうご 渋谷区もパートナーシップという形で同性婚を認めたけれど、詳しく聞いたらかなりお金がかかるって。言ってしまえば紙切れ1枚のことなのに。だったら市役所に行って婚姻届書いて、額縁に飾っておけばいいじゃない。
ゆうき メディアでいわれるのはもう昔のことで、今はみんな気を付けて発言しているんじゃない。たまにぽろって失言する政治家さんもいるけれど。
アールジェイ 偉い人が言っちゃいけないよね〜。
ゆうき 発言力がある人が言っちゃうとね〜。
ー 劇中でレズビアンチームと対戦する際は、かなり過激な発言も飛び出していました。コミュニティー内ではよくあることなのですか?
ゆうき 意味合いが違う。例えばストレートの人たちに「ホモ!」と言われたら、わざわざ言ってくるくらいだから悪気があってのことだと感じる。同じ言葉でも、自分たちで「ね〜! ホモだもんね〜」と言っているときとは違ってくる。
たつや あたしたちがオープンにしているからそう思うのかも。クローズ(公言していない)の人がホモって言われたら、嫌な気持ちになるだろうね。あたしたちは仕事だから仕方ないと思っているところもある。
ゆうき ノンケ(異性愛者)の人に言われたら嫌だけど、ゲイの人に言われる分には気にしないって人が多い。中には同じゲイでもホモって言われたくない人もいるかもしれないけれど。
レズビアンさんにも「レズっていわれるの嫌い」って人がいる。性同一性障害の人はレズビアンとは違うからまた別。レズビアンの人たちの中なら“レズ”っていうのもありかもしれないけれど、ぼくらはゲイだから。昔は「レズ」って言っちゃっていたけど、それで「レズって言わないで」って言われたことがあって。
しょうご だから私は「レズ」って言わないの。「ビアンさん」って言う。「ホモ」って言葉が差別用語だとしたら、“レズ”より“ビアンさん”の方がキレイだと思う。
たつや でもケンカしたときはレズっていうけどね(笑)。
しょうご 向こうだってホモって言ってくるからね(笑)。
ゆうき ゲイの中では結構ある。「ブス」があいさつになるんで。「ブスおはよー!」みたいな。それがいきなり悪口にはならない。
たつや あたし、「最近あんた今日かわいいね〜」って言うようにしている!
ゆうき なんか嫌みっぽい(笑)。思ってもいないのに「なんか今日きれいね〜」とか言い合うの。それでマウント取り合うんですよね、意味もなくね(笑)。
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「ウォシャウスキー姉妹」と呼んで。