2017年4月17日に公開予定のディズニー映画、実写版「美女と野獣」(関連記事)の中で、ジョシュ・ギャッド演じるル・フウがディズニー映画史上初めて登場するLGBTのキャラクターであると監督を務めるビル・コンドンが語ったことに対し、3月11日、シンガポールのセント・アンドリュース大聖堂が注意を促す声明を出しています。
コンドン監督がル・フウの役柄について語ったのは、過去にイギリス王室のウィリアム王子が表紙を飾ったことでも話題になった同性愛者向けの英誌「Attitude」(関連記事)。ヒロインのベルに結婚を迫り野獣と敵対するガストンの子分役であるル・フウについてコンドン監督は、「ル・フウはいつかガストンのようになりたいと願い、またいつの日か彼にキスできたらとも思っている」と設定を明かし、「ル・フウは自分の求めるものが分からず混乱しており、それをジョシュは繊細に、とてもうまく演じた」としています。さらにラストについては話せないが、ディズニー映画にとって「純粋にゲイ的瞬間」になると思わせぶりなコメントを残しました。
ディズニー映画にLGBTのキャラクター登場を願う声は多く、「アナと雪の女王」のエルサには、同性愛者ではないかとの期待がよせられTwitterでエルザに女性の恋人を求める運動が起きたこともありました(関連記事)。コンドン監督の口にした「純粋にゲイ的瞬間」はたちまち話題になりましたが、米USA TODAY紙によると、その後プレミア上映でギャッドが「脚本にル・フウがゲイだと書いてあるわけではない」と発言し、監督も「(ル・フウのセクシュアリティーについては)少しだけおおげさだった」と付けくわえたとしており、特にLGBT向けのメディアではこれを、「(ゲイであるという設定を)ぼかした」「態度を変え、後退した」姿勢であるとする向きがみられます。
しかしセント・アンドリュース大聖堂の司教が出した声明には「ホモセクシュアルなコンテンツ、ディズニーがリメークした美女と野獣が、子どもたちの休暇中となる3月に上映されることについて、注意喚起が必要です」と明確に記され、「子ども向けのディズニー映画は通常健全なものだが時代は変わった」として、問題点を「ル・フウがゲイとして演じられており、映画の脇筋に『ゲイ的瞬間』が含まれている」こととしました。
さらに司教は同作についての指導を子どもに与え、急速に変化する時代の中で子どもたちに向けたエンターテインメントの選択に気をつけなければならないと子どもたちの保護者に対し強く忠告しており、「子どもを行くべき道に指導すれば、年を取ってからも道を逸れることがない」という意味の旧約聖書の箴言(しんげん)第22章6節を引用しています。
同作はロシアでも保守派議員によって国内上映禁止が求められ、結果的に16歳未満の鑑賞を制限する「PG-16」に指定されることになりました。また、マレーシアでは検閲により同性愛を表すシーンがカットされることになり、これについてマレーシア検閲委員会の委員長は、マレーシアのTHE STAR ONLINE紙で「ごくわずかに、『ゲイ的瞬間』のシーンをカットしただけ」と述べていましたが、ディズニー側は同国での上映延期を決定しています。
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