【ライター望月の駅弁膝栗毛】
「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。
山陽・九州新幹線の相互直通運転が始まって、早いもので今年(2021年)が10周年。これを記念した新作駅弁が、沿線の各駅弁屋さんから登場しています。新神戸の新作は手に取るとずっしりとした重みのある二段重。新幹線の絵が描かれた重箱は、記念に持ち帰って再利用も可能です。なかには、「みずほ」「さくら」を連想させる食材と九州名物が入っているということですが、一体どんな構成になっているのでしょうか?
新作記念駅弁で旅を感じよう! 山陽・九州新幹線相互直通10周年(後編/全2回)
新大阪を発車した下りの山陽・九州新幹線「みずほ」「さくら」号は、およそ7分で約16km続く六甲トンネルへ吸い込まれて行きます。阪急今津線・甲東園駅近くにあるトンネルの入口上は、昭和47(1972)年の開業時に造られた「新幹線記念公園」になっています。放課後時間帯になれば、公園で遊ぶ子どもたちが轟音とともに現れる新幹線を指さして「みずほだ!」「さくらだ!」といった歓声を上げています。
山陽・九州新幹線直通列車の愛称「みずほ」と「さくら」。かつてはともに東京〜九州間の寝台特急として親しまれた、九州とゆかりのある愛称です。相互直通10周年の記念駅弁、神戸を拠点に駅弁を製造する淡路屋が出した新作は、「新幹線みずほ・さくら弁当」(1500円)です。N700系新幹線電車が大きく描かれていて、明るく春らしい装いのパッケージとなっています。
【おしながき】
- ちらし寿司(海老・椎茸ほか)
- 鮭塩焼き
- だし巻き玉子
- 鶏団子
- 炊き合わせ(筍、蛸、里芋ほか)
- 菜の花煮
- さくら蒲鉾
- 鶏旨煮
- いかなごくぎ煮
- さくら餅
(九州名物)
- 薩摩揚げ
- からし蓮根
- 辛子明太子
スリーブ式の包装を開けると、N700系新幹線電車が描かれた桜色の二段重が現れます。ふたを開ければ、筍の煮物から、デザートの桜餅まで春らしい食材が入ったおかずの重と、もう1つの華やかなちらし寿司の重に分かれていました。
いかなごのくぎ煮をはじめとした関西らしいおかずと、鹿児島の薩摩揚げ、熊本のからし蓮根、福岡の辛子明太子が1つの重箱に入っているのも、山陽・九州新幹線らしさを感じさせてくれて嬉しいものです。
10周年のいまだからこそ重箱が記念の品にもなる「新幹線みずほ・さくら弁当」。こちらは、京阪神の主要駅の他、岡山・小倉・博多各駅の一部売店でも販売があると言います。遠くへ行くことが叶わないときは、近場で記念駅弁をいただきながら旅気分を楽しむのもアリ。お出かけにいい時期になったら、山陽・九州新幹線の直通列車「みずほ」「さくら」に揺られて、西へ西へと旅してみてはいかがでしょうか。
(初出:2021年5月19日)
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/
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