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「学校であったつらいこと」を市役所に相談したら対応してくれた――寝屋川市のいじめ対策が話題、監察課に話を聞いた(1/2 ページ)

「すべての市町村でこうあってほしい」「文科省が全国的に展開すべき案件」など反響が。

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 小学生の娘の身に起きた「学校でのつらいこと」を市役所に相談したところ、市職員が学校へ出向いて対応してくれた――大阪府寝屋川市が実施するいじめ対策がTwitterで話題になっています。素晴らしいと反響を呼んだ取り組みについて、話を聞きました。

 注目を集めたのは、同市在住のわっちごなさん(@IPzei9JaT9bC3em)の投稿。小学校1年生の娘さんが、学校であったつらいことを書いて出したいと、市のいじめ相談のチラシを持って帰ってきたといいます。気の強い子からの言動に傷ついたという娘さん、故意ではなかったためはじめは先生に相談せずにいたものの、チラシを見て相談したくなったようです。

 チラシに記入して郵送したところ、数日後に市の監察課の職員が学校に出向いて解決に向けて動いてくれたとし、わっちごなさんは「市の、親身に、そして迅速な対応に驚き」と述べています。

 リプライなどでは「すべての市町村でこうあってほしい」「文科省が全国的に展開すべき案件」などといったコメントが寄せられています。

 寝屋川市では2年前から監察課で小中学校でのいじめ解決を支援しています。弁護士資格を持つ職員やケースワーカーなどが子どもからの通報や相談の対応にあたり、市役所がいじめの解決に関与できる仕組みをスタートさせました。


寝屋川方式の取り組み

 この取り組みでは市の監察課が市内の全小中学生向けに月に1回チラシを配布。チラシは通報用の手紙と一緒になっていて、それを切り取ることで子どもたちが「SOS」を発信できるようになっています。通報を受けた監察課が学校現場や自宅に直接出向き解決の仲介を図るというものです。


さまざまなルートで相談を受け付け

 最終的に解決しない場合、刑事告訴や民事補償などの法的アプローチの支援まで想定された画期的な取り組み。LINEやメール、電話などでも窓口を開設し、いじめに関する相談や通報を募っています。


教育に加え、行政、法のアプローチも

 この制度が始まったいきさつや運用の実態について寝屋川市役所の監察課に聞いてみました。

―― 取り組みを始めたきっかけは?

寝屋川市監察課 これまでの学校現場でのいじめに対する取り組みは、加害児童、被害児童という分け方ではなく「トラブルのあった児童」という扱いで対応していました。しかし、SOSを早期に発見できず被害が深刻化してから表に出ることも多く、教育委員会だけでなく初期段階から行政も早期に介入する方が早期に解決ができるのではないかという考えに立ってこの取り組みが始まりました。


学校現場だけでは限界があり、行政も関与する取り組みに

―― 相談件数は増えていますか?

寝屋川市監察課 月に1回、市内の全小中学生に「いじめ通報促進チラシ」を配布し、相談や通報を募っています。具体的な数字は申し上げられないのですが、相談や通報は増えています。児童・生徒が1人で抱え込まないように今後も活用を促していきます。

―― 法的なアプローチに至ったケースはありますか?

寝屋川市監察課 幸いなことに相談や通報を受けた全件でいじめの終結を確認しており、刑事や民事の法的アプローチをとった事例はありません。寝屋川市ではそのような事案が発生した場合でも被害者に弁護士費用などを最大30万円まで支援する用意をしています。また転校が必要になった場合でも経費の一部を最大15万円支援します。


弁護士費用の支援なども

 監察課によると、2019年度は55件、2020年度は69件の相談や通報が直接寄せられたとのこと。3年間で認知した計513件のいじめ全てについて、1カ月以内にいじめ行為を停止させたということです。


対応実績

画像は寝屋川市公式サイトから

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