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“差別、いじめ”を描いたナイキのCMに反響 日本で差別を描くことは「日本人を貶める印象操作」なのか(1/2 ページ)

称賛の声も多い一方で、猛反発する声も多くあがっています。

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 ナイキが11月28日に公開した動画「動かしつづける。自分を。未来を。」が、国内外で大きな反響を呼んでいます。ネット上では「信じられないぐらい凄いCMを作った」「今日、NIKE履いてるのが誇らしい」と称賛の声も多くあがる一方、「日本が人種差別社会だと言わんばかり」「下らない反日プロパガンダ広告」など猛反発する声もあがっており、映像が発するメッセージを巡ってさまざまな議論に発展しています。


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 2分間の動画では、3人のサッカー少女がスポーツを通じていじめや差別を乗り越えていく姿が描かれています。「私って何者?」「普通じゃないのかな」「もっと馴染んだ方がいいのかな」――。ある生徒は、スマホで開いた「現代の在日問題を考察する」という記事を見つめ、またある生徒は、テニスの大阪なおみ選手の動画を見て「彼女はアメリカ人? 日本人?」というコメントに思いを巡らせます。ありのままの自分を受け入れられないことに悩む3人の描写は、ナイキによれば「実在のアスリートの証言をもとに作られて」いるとのこと。


ナイキCM
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※動画「動かしつづける。自分を。未来を。」より


 動画は6日間で1000万回以上再生されており、「日本社会における差別(+いじめ)」というデリケートなテーマに正面から切り込んだことに対し、驚きや称賛の声が多く寄せられました。タレントの古坂大魔王さんは「NIKE…朝から泣かすよ」とツイート。他にも茂木健一郎さんやSKY-HIさんといった著名人も好意的な反応を寄せています。

 しかし一方では、動画に対し猛烈な拒否反応を示す声も目立ちました。12月3日時点で、YouTubeの評価は「GOOD(高評価)」が6.8万件なのに対し、「BAD(低評価)」も4.7万件とかなりの数に。公式Twitterへのリプライや、YouTubeのコメント欄を見ると、「日本を貶めるCM」「印象操作すげーな。ひくわ」「日本人へのヘイト、差別を助長する、極めて悪質な行為」「まるで日本人の多くが差別をしてるかのような印象操作」など批判的なコメントも多く見られ、中にはハッシュタグ「#ナイキ不買」でボイコットを呼びかける声も。一連の議論はロイターやBBC Newsをはじめ海外のメディアでも報道されており、なぜこの動画が日本でこれほどの反発を招いているのか、国外からも注目が集まっているようです。

 今回の動画を制作した経緯や、一連の反響についてナイキに問い合わせたところ、次のようなコメントをもらうことができました。

「このキャンペーンの目的は、若者が自分の望む変化を生み出し、自らの未来を形成するために力づける手段としてスポーツを推進することです。私たちは、スポーツがより良い世界がどのようなものであるかを伝え示す力を持ち、世界を前進させるポジティブな変化を促す原動力になると考えています。ナイキは声を大にしながら全ての人々に対する包摂性、敬意と公平な対応を訴えていきます」


【12月7日追記】

 一部で「生徒の1人は朝鮮学校に通う生徒で、日本人の学校でいじめに遭っていたような描写は不正確なのではないか」との指摘があがっていることについて、ナイキに問い合わせたところ次のような回答がありました。

「登場する10代の若者たちの物語は、学校生活、サッカー活動、友達関係のいずれについても、彼女たちが過去に経験したいじめや差別、さらには彼女たちが持つ将来に関する不安や夢についての証言を元にしています」


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