「おいしそうにご飯を食べる」「敵と一緒にごちそうさま」 デリシャスパーティプリキュアが子育て世代にも支持される理由:サラリーマン、プリキュアを語る(2/2 ページ)
デリシャスパーティプリキュアで描かれる「ごはん」は本当においしそうなのです。
「まずい」を使わない
本作では怪盗ブンドル団にレシピッピを奪われてしまった料理は、周りが紫色になり「おいしくなさそう」な見た目となってしまいます。
しかし、「デリシャスパーティプリキュア」では決して「まずい」や「おいしくない」という表現は使いません。「味が変わった」と表現されます。
悪意があるなしにかかわらず、「まずい」という言葉を子どもたちがまねしてしまうのを避けるためだと思われます。
誰かの作ってくれた料理に対し「まずい」という言葉を使ってはいけない、ということをプリキュアが教えてくれるのは良いですよね。
農林水産省も反応
そんな「食」を大プッシュするデリシャスパーティプリキュア。これには農林水産省も反応しました。
放送開始前に、農林水産省の公式Twitterで「これはもう推さない理由が見つからないッッ!!」とプリキュアを推すつぶやきを投稿。
え、次のプリキュアって「ごはん」がモチーフなんですか!?
これはもう推さない理由が見つからないッッ!!
日曜朝の早起き継続決定です!!!
ごはんは笑顔…真理だ…
第1話放送の翌日には、農林水産省の公式YouTubeでプリキュアを熱く語る動画まで公開したのです。
農林水産省の広報室長から「プリキュアに関連した国産米のPRが出来ないか」と提案があったことや、「日曜日の朝は国産米を食べてデリシャスマイルしましょう」などのワードが飛び出します(お米だけでなくパンや麺にも気を遣う姿勢はさすがです)。
外食の機会が少なくなったここ数年。
そんな時代だからこそ、家でご飯を選んで、作って食べることの尊さをプリキュアは伝えているのではないか?
農林水産省広報室 白石さん(YouTubeから)
子ども向けアニメーションの持つ力
昨今のプリキュアシリーズでは、女性差別やジェンダー、家父長制など社会的問題を暗示的に取り上げることも多々ありました。
もちろん、こういったマクロ的視点の社会問題も大事なのですが、今作では子どもにも身近な「ごはん」を通してミクロ的な個々人に根差した「人を思いやる気持ち」を描いていくものと思われます。
本作の「ごはんは笑顔」は、ただ食べるだけでなく、ごはんを作ること、シェアすること、誰かと一緒に食卓を囲むことも含まれているものと思われます。
子どもたちにとってアニメーションの力は強いのです。
「ごはんは笑顔」という言葉だけではまだ理解が難しい年齢の子どもたちにとって、
「プリキュアがおいしそうにご飯を食べている」
「敵と一緒に笑顔でごちそうさまでした! を言う」
アニメの映像としてこれらが表現されるだけでも、子どもたちへの食への説得力は計り知れないものがあるのです。
「ごはんは笑顔」を子どもたちに伝えるのに、まずプリキュアがおいしそうにご飯を食べる姿を描く。これこそが子ども向けアニメーションが果たす1つの役割なのではないかと思います。
「食」をテーマにする以上、「家族間の孤食」や「食物アレルギー」などデリケートな問題もあるかと思います。しかし、「食育」という側面からもプリキュアという子ども向けコンテンツが果たせる役割も大きいものと思われます。
今、プリキュアがおいしそうにご飯を食べる姿が、子どもたちに勇気を与え、そして子どもの食に悩む「子育て世代」にも大きな力となっているのです。
「デリシャスパーティプリキュア」は、プリキュアシリーズでは初のAmazon Prime Video、NETFLIX、dアニメストアほか各種見放題配信サービスでも見逃し配信中です。
「デリシャスパーティプリキュア」
毎週日曜8時30分より
ABC・テレビ朝日系列にて放送中
(C)ABC-A・東映アニメーション
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- プリキュアが歌い出した日 Perfumeの振付師MIKIKO先生が手掛けた「ドキドキ!プリキュアEDダンス」の衝撃
個人的には「ハピネスチャージプリキュア!」の前期ED「プリキュア・メモリ」も大好きなエンディングです。 - 人魚のローラが「キュアラメール」に変身 「トロピカル〜ジュ!プリキュア」で描かれた“足を得る”選択について
人魚姫の物語は足を得てからが本番なのです。 - 「ヒープリは不遇だったと言わせるつもりはない」と語る悠木碧の思いに、僕たちができること
あらためて「ヒーリングっど プリキュア」は製作者に愛されている作品だと思いました。 - 「なんだあの動きは?」「板岡錦だ!」 プリキュアがカッコよく動く、アニメーター板岡錦の世界
板岡錦さん、初の作画監督、おめでとうございます。 - 全ての原画をたった1人で 「キラキラ☆プリキュアアラモード」第36話を支えた青山充という伝説
あきらさんが頭なでなでされる姿、かわいかったです!! - 14歳の娘と、8年ぶりにプリキュア映画を見に行ったお話
2018年のプリキュア映画は、女子中学生をも劇場に呼び戻す力がありました。 - プリキュア映画と「応援」の話 120%の力を引き出す「プリキュアがんばれー」
「映画プリキュアミラクルリープ」は5月16日公開になりました! 楽しみです! - 「応援なんて誰にでもできる」という正論に、プリキュアはどう立ち向かったのか? 「HUGっと!プリキュア」開始3カ月を振り返る
まだ4分の1が終わっただけなのにこの密度。2018年のプリキュアはとにかくすごいぞ。 - 主人公がピンク髪でマスコットいて悠木碧……! シリーズ第17弾「ヒーリングっどプリキュア」が2020年2月スタート
あのピンクの髪の魔法少女が今度はプリキュアに。【訂正】 - 星の次はハートだ! 「ヒーリングっど プリキュア」、ヒーリングアニマルと力を合わせ地球をお手当て!
「スタプリ」終了間近を惜しむ声も。 - 娘に「実はわたし、プリキュアなの」と言われたとき 親はどう振る舞うべきか?
スタプリ第40話、「わたしは2年3組、羽衣ララルン!」もう本当に神回でした!(本編シリアスなときに、こんな内容で申し訳ない)。 - 願いと祝福、新時代のプリキュア映画は子どもたちに何を伝えたのか? 「映画スター☆トゥインクルプリキュア 星のうたに想いをこめて」を見て
映画スタプリ、2日間で3回見に行くほどには最高の映画でした。心が温かくなります。 - 2世代を取り込む「ハートキャッチ」の強さ 「NHK全プリキュア大投票」を初動のデータから予測
NHK全プリキュア大投票は「ランキング」を語るのではなく、「愛」を語るのです。 - 「善悪はグラデーションで描く」 スター☆トゥインクルプリキュアが切り開く“新しいプリキュア観”
スター☆トゥインクルプリキュア、新しいエンディングが最高にカッコイイのでおすすめですよ。 - 新プリキュア「キュアコスモ」に見る、追加プリキュアの“商業上の重要性”について
ネコ耳、ネコシッポ、ネコポーズ、舌をペロっと出す変身。子どもにも大人にも人気出そう! - 的確な描写に「弓道警察」も納得? 「スター☆トゥインクルプリキュア」の弓道描写がスゴかった
個人的には「弓道警察」は人の心が生み出した形而上の存在だと思っています。 - 平成のプリキュアは、いかに“2度の危機”から復活したのか マクロ視点から振り返る
平成最後のプリキュア記事、気合入れて書いたら1万字を越えちゃいました。 - プリキュアも場合によっては“侵略者”となる 価値観の衝突を描いた「スター☆トゥインクルプリキュア」第8話がアツイ
「スター☆トゥインクルプリキュア」宇宙進出、本格始動です! - 「オヨ〜」が口癖 宇宙人プリキュア“キュアミルキー”は2本の触覚かわいい 「スター☆トゥインクルプリキュア」2月を振り返る
「HUGっと!プリキュア」の最終回にも少し触れています。 - 全人類がプリキュアになった日 「HUGっと!プリキュア」が示した「こうでなければならない」からの脱却
この記事は最終回1話前の第48話の時点で書いています。 - プリキュアはあと100年続く 「HUGっと!」から「スター☆トゥインクル」へ、1年の振り返りと“2018年の奇跡”
2018年のプリキュアの出来事を振り返りました。 - 平成の特異点「ハートキャッチプリキュア!」 “キュアマリン”が今も愛され続けている理由
NHK全プリキュア大投票は「熱量」が可視化されたすてきなイベントでした! - 歴代プリキュア55人+αが勢ぞろい HUGプリ第37話「奇跡のBパート」で何が起きたのか
僕はその日、確かに「奇跡」を見たのです。 - プリキュアって今、何人いるの? 気になったので調べてみた結果
「プリキュアは何人いるのか?」問題は永遠に答えの出ない超難問なのです。 - 「女の子同士が手をつなぐ」ことから始まったプリキュアが「男の子同士が手をつなぐ」までに至ったことに祝福を
「ふたりはプリキュア」から15年。当たり前のことが当たり前になる世の中に。 - 3分に及ぶ「出産シーン」 「HUGっと!プリキュア」が子どもたちに伝えたかった“母の強さ”と”父の責任”
いつだって子どもに誇れる大人でありたいですよね。 - もう一度、新しいステージに 一発屋芸人を声優に起用する「HUGっと!プリキュア」が描く“再生の物語”
ダイガンさん、生きていて本当に良かった……。元クライアス社の3人が本当に楽しそうで何よりです。 - 「子どもを持つことだけが、女性の幸せではない」を描いていく「HUGっと!プリキュア」のすごさ
キュアマシェリとキュアアムール……今年のプリキュアは何もかもが……すごい……尊い……。 - “13の数字”から見るプリキュア通算700回 一番多い色は? アルバムは何作つくられた?
「HUGっと!プリキュア」第15、16話がすごすぎて、思考が追い付かない……。 - 「映画プリキュアスーパースターズ!」 僕が思う“ただ1つ”の残念な点と、それでもこの映画が最高な理由【ネタバレあり】
2018年のプリキュアの勢い、本当にすごいことになっている。 - 悪の組織も「稟議」を通す時代 「HUGっと!プリキュア」のクライアス社が社会人をザワつかせる
「HUGっと!プリキュア」、育児の丁寧な描写が光ります。 - 2018年「HUGっと!プリキュア」が神アニメになる5つの理由
「HUGっと!プリキュア」今から楽しみです。 - 「キラキラ☆プリキュアアラモード」が大成功を収めた5つの理由
この時期はプリキュアロスと新しいプリキュアへの期待で複雑な気持ちになります。 - プリキュアは、平均15分50秒でラスボスを倒す
あと1回でキラキラ☆プリキュアアラモードが終わるなんて悲しい……。 - 「妖精ペコリン」が「キュアペコリン」に 妖精がプリキュアになれる確率は何%なのか調べてみた
じゃあもう、リオ君もビブリーちゃんもプリキュアってことでいいじゃん。 - 脚本家・坪田文は、なぜキュアマカロンの「弱さ」を描いたのか?
琴爪ゆかりさん、キラキラ☆プリキュアアラモードで「最も成長した」キャラですよね。 - 自分に合ったプリキュアの見つけ方 2017年の「最も再生数が多かったプリキュア第1話」から考える
ここまで大差がつくとは思いませんでした。 - 娘を、プリキュアにするために就くべき職業5選
サラリーマンにも希望はあります。 - 歴代プリキュアの「決め技バンク」で一番長い技って? 実際にストップウォッチで測ってみた
ストップウォッチ片手に本当に測定しました。 - これは福音である 「プリキュア男子」という多様性についての考察
「プリキュア論」をどうしても書きたかったので、いつもと文の雰囲気が違います! - 「闇堕ち」の対義語は「光堕ち」? プリキュアで使われている謎の言葉
「光堕ち」という言葉がいつから使われだしたのか、調べてみました。 - 「映画ハピネスチャージプリキュア!」の興行収入はなぜ半減した? 2014年の出来事から考える
映画キラキラ☆プリキュアアラモードが絶好調の今だからこそ、語るべきことがある。 - 今までのプリキュア映画とは540度違う? 「映画キラキラ☆プリキュアアラモード パリっと!想い出のミルフィーユ!」レビュー
映画キラキラ☆プリキュアアラモード。とにかくね、ものすごい映画でした。 - プリキュア映画歴12年の筆者が教える、大人のプリキュア映画鑑賞法
第37話は映画との連動回。ビブリーちゃんのツンデレっぷりがかわいかったです。 - プリキュアが「手をつなぐ」意味とは?
プリアラ第35話レビュー。「2人はどうして友達なの?」への回答はあおいちゃんらしいものでした。 - プリキュア恒例の入れ替わり回は「自分らしく生きる」ことの意味を問う
猫になっても全く動じないゆかりさん、さすがです。 - ニチアサ改編でプリキュア人口が増える? 「さあ、プリキュアを始めよう」
「プリキュアの数字ブログ」の管理人・kasumiが、毎週プリキュアの魅力をお届けします。