うんちの大腸菌はトイレットペーパーを5重にしても容易に貫通する――そんなトイレ後の手洗いの重要性に関する話が話題になっています。実際に大腸菌はそんなにトイレットペーパーを何枚も貫通して手についてしまうものなのか、医師に話を聞いてみました。
この話を投稿したのは、医師のチェーンソーを実装したぽろりさん(@ampc20170401)。研修医のときに消化器内科の先生に教えられたそうで、この話を聞いてからトイレではかなり念入りに手を洗う習慣がついたそうです。
この話にはリプライ欄で大腸菌の付着を防ぐにはどの程度の枚数が必要なのかや、以前テレビで似た話をやっていたというような意見が寄せられました。果たしてどの程度大腸菌はトイレットペーパーを貫通してくるのか、そしてトイレ後の手洗いの効果はどれぐらいあるのでしょうか。2013年にイグノーベル医学賞を受賞した新見正則医院の新見正則先生に話を聞きました。
新見正則先生の見解
新見先生によると、大腸菌の大きさは1マイクロメートル(1ミリメートルの1/1000)。トイレットペーパーの隙間は、1マイクロメートルよりもはるかに大きいそうです。
トイレットペーパーを何枚か重ねて紅茶やコーヒーを垂らすと相当な枚数を重ねても裏まで液体が染みているのが確認できる通り、水に混じった大腸菌はトイレットペーパーを楽々通過できてしまいます。便には硬い便もあれば水様(水っぽい)の便もあり、水様便であれば、相当な枚数を重ねても大腸菌は通過してしまいます。
そのため、大腸菌への接触が心配な場合は、水分が少ない硬い便であればトイレットペーパーに大腸内の水分が吸収されることをある程度防げ、水様の便はシャワートイレで奇麗に洗い流した後にトイレットペーパーで拭くことで染み込んだ水からの大腸菌を防げるとしています。
しかし新見先生は、過度な潔癖症も病的なものと指摘。赤ちゃんのおむつ換えの時には便がそのまま手に付くことは日常茶飯時であり、付着したと感じた時は手を洗えばよいとしています。
また、微妙に大腸菌に暴露(体内に吸収)されることが、免疫力を上げるとのこと。トイレを使えば体のどこかには極少量の病原菌は体に付くことになり、その度にお風呂に入って服を全て着替えるのはナンセンスとしています。
免疫力を上げて少量のばい菌(大腸菌など)が体に入っても退治できる体質にすることが重要で、バランスの良い食事、適度の運動、規則正しい生活、禁煙、適度の飲酒、ストレスを減らすなど、当たり前と思えることをできる限り実施していくのが重要としています。
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