日常のハッとするような気付きを与えてくれるツイートを、イラストとともにご紹介する企画「その視点はなかった」。今回は「置かれた場所は咲きなさい」という言葉にまつわるお話です。
「置かれた場所で咲きなさい」か、「咲ける場所に置きなさい」か
「置かれた場所で咲きなさい」って言葉、誰が言い始めたのかわからんけど植物育てたことない人な気がする。pHとか水はけとか降水量とか気温とか、相性悪いところだと植物全般容赦なく速攻枯れるので、むしろ「咲ける場所に置きなさい」って考えた方が良いのではないだろうか。
あと植物の種類によっては侵略的外来種になるレベルの「マジ幅広い環境で咲きよるやつ」もないわけではないけど、たまたまそのタイプの人が「咲く場所を選ぶとか甘え。とにかく置かれた場所で咲きなさい」とか言ってるなら世の中そんな種ばっかりじゃねえよと思う。
(西内啓さんのツイートより)
『統計学が最強の学問である』などの著書で知られる、西内啓(@philomyu)さんのお話。西内さんは「置かれた場所で咲きなさい」という言葉に対して「植物は相性の悪い場所に植えるとすぐに枯れてしまう、むしろ“咲ける場所に置きなさい”と捉えたほうがよいのでは」と感じたそうです。
このツイートには「去年から観葉植物を始めて、同じことを思った」「置かれた場所で咲きなさい。一見良い言葉だけどきっと良い面ばかりではない。他の場所も知らないのに使ってしまうと、その場所から動かない言い訳にもなるし」「自分が一番咲ける場所や環境を、自分で真剣に妥協なく探して、試していこうって今は思う」といった共感の声が。
その一方で「誰がどういう文脈で言ったかを調べてから発言してほしい」「原著に当たらずに言葉の上面だけで解釈しないで」という否定的な反応も見られました。
「置かれた場所で咲きなさい」は2012年に刊行されベストセラーとなった、渡辺和子さんの著書のタイトル。同著によると、渡辺さんは30代半ばで、若くしてノートルダム清心女子大学の学長に任命される、という人生の転機があったものの、慣れない生活の中で自信を喪失し、周囲に対し不満を抱いていた時期があるそうです。
そんなときに、ある宣教師が渡してくれた英語の詩の一節が「Bloom where God has planted you」。これを日本語訳すると「(神によって)置かれた場所で咲きなさい」ということになります。
「むしろ『咲ける場所に置きなさい』って考えた方が良いのではないだろうか」というツイートに対する賛否の声を受け、西内さんは「元の表現の宗教的文脈から離れてこの表現使う日本人が多い」「何なら『今まさに枯れそうになってます…キツいです…』みたいな状況の人に『置かれた場所で咲きなさい』って言う人見たことあるけど、あれすごい残酷な話であり、それ出来たら苦労しないだろって思う」とコメント。
「置かれた場所で咲きなさい」は多くの人を心を打つ良い言葉かもしれませんが、そんな言葉でも独り歩きしてしまうと時には刃物に変わる―― そんな一面があるのかもしれません。
記事:たけしな竜美(@t23_tksn)
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