京都市にある「花園教会水族館」の野外水槽にタバコの吸い殻が投じられたことで、魚がほとんど死滅した、というTwitter投稿が拡散されています。一体何があったのでしょうか。ねとらぼ編集部は同館の館長に話を聞きました。
花園教会水族館は京都市・太秦にある「花園キリスト教会」が運営する水族館です。公式サイトによると「世界の淡水魚/爬虫類/両生類」を190種類展示。青少年育成活動を行う「花園ジョイフル子ども会」が施設を管轄し、「動物の世話は近隣の子ども達が行っている」としています。開館は2012年で、テレビなどでも頻繁に取り上げられています。
同館では屋内だけではなく野外にも水槽を設置してきました。館長の篠澤俊一郎さんは6月28日の取材に「自分で水族館のドアを開けないと動物が見られない仕組みは、子どもたちにとって(心理的な)壁になる。外に生き物が展示されていることが、私にとっては重要でした」と設置の目的を語ります。
野外水槽ではコイやフナ、金魚といった魚が50〜60匹程度展示されていました。しかし、6月18日、篠澤館長が水槽の中のコイが死んでいたことに気付きます。当時「自分の管理能力不足が招いた事態なのではないか」と思ったという篠澤館長は、水の入れ替えやろ過、掃除などを実施。しかし、その後も水槽の魚は「バタバタと死んでいった」といいます。
「この水槽に何か原因があるのでは」と思った篠澤館長は、水槽の様子を経過観察。そして26日、水槽の中にタバコの吸い殻があるのを見つけたといいます。
「どうしてここに吸い殻があるのか、一瞬理解ができませんでした」
その後、館長はタバコに含まれる成分の毒性が魚を死に追いやったと分析。27日にはTwitterで「許せない!!タバコの吸い殻で野外水槽の魚がほぼ死に絶え、子どもの憩い場が奪われました。当館の野外水槽のコイや金魚が立て続けて死んだので原因を調べるべく水槽内を調査したところ、一本タバコの吸い殻がでてきました。ニコチンは殺虫剤に使われる程に毒性が強いです。一本で野外水槽全滅です」と事態を報告すると、広く拡散され、「これは酷い…」「許されない」などの声が集まりました。
28日までに水槽にいたほとんどの魚が死滅。フナ1匹、金魚5匹は生き残っているものの、うち2匹も元気がない状態だといいます。館長は、路上の「ポイ捨て」のような形で、自然に水槽の中にタバコが入るような構造ではないし、意図的に水槽の中にタバコを入れた人がいるのではないかとの見方を示しました。
27日には付近に設置していた監視カメラの映像を確認したものの、映像の保存期間が過ぎていたため、はじめて水槽の異変に気付いた以前の様子はわかりませんでした。警察への被害届については、明確な証拠がないことから「届け出は難しいのではないか」としています。
問題を受け、野外水槽は7月1日までに撤去する予定だとしています。館長は「タバコの吸い殻一本が生き物に大きな影響を与えるということを知っていただけたら」と話しました。
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