「ギャンブル依存症」の現実や対処法を描く漫画に注目 借金をし親にはウソを、そして盗みにまで手を染めて(1/5 ページ)
依存症という「病気」に、周囲の人間はどう対応するべきか? 作者の三森みささんに詳しい話を聞きました。
大谷翔平選手の通訳を務めていた水原一平氏が、ギャンブル依存が元でドジャースを解雇されたとする海外の報道をきっかけに(関連記事)、依存症の恐ろしさを描いた漫画『だらしない夫じゃなくて依存症でした』が、あらためて注目を集めています。
同作は漫画家・イラストレーターにしてASK認定依存症予防教育アドバイザーの三森みさ(@mimorimisa)さんが、2018年に厚生労働省の監修の下に制作した啓発漫画。夫のアルコール依存症に苦悩する「山下ユリ」を主人公に、さまざまな依存症の現実や対処法を描いています(関連記事)。
今回は水原氏の一件がもとでリクエストがあったとのことで、三森さんはギャンブル依存症を取り扱った第3話をX(Twitter)で再び公開しました。これはユリが会社で先輩の武田に依存症の相談をした際に、「何か参考になれば」と、彼自身のギャンブル依存症を明かされるエピソード。「依存症は物質や行為に依存することで脳が変質する病気」「誰でもなり得る」など、ヴィヴィッドな言葉とともに、パチンコがもとで300万円もの借金を作った過去が語られます。
どのようにしてギャンブル依存症となったのか
武田は小中高と野球に取り組み、体育大学に推薦入学したスポーツマン。しかし大学野球では通用せずに思い悩んでいたとき、仲間に誘われたパチンコがきっかけで、生活を狂わせることとなってしまいました。
運が良いのか悪いのか、初めてのギャンブルは一発で大勝利。ビギナーズラックとは理解しながらその感覚が忘れられず、武田は嫌なことがあるとパチンコへ逃避するのが習慣となっていきます。
そうそううまく勝ち続けられるわけでもないのに金銭感覚は狂いっぱなしで、「パチンコの負けはパチンコで取り返す」と大金を投入する日々。やがて負けがこんだ武田は、母親の財布に手を付け、その埋め合わせに消費者金融へ駆け込み、多めに借りたお金も全てパチンコに溶かし……と、どんどん深みにハマっていきました。
とうとう借金が返せなくなった武田は、沖縄へ失踪して警察に保護されるまでに。そこまで来るとパチンコが楽しいわけでなく、ただただ後悔の念にさいなまれる日々だったといいます。
結局借金は親が肩代わりしたのですが、思い返せばこれが一番の悪手。打ち続ける環境が整ったことで武田はまたパチンコを始め、再び借金を作ってしまったのです。
最終的には両親が精神保健福祉センターに相談したことで、問題は少しずつ解決へ。ギャンブル依存症という「病気」と診断された武田は、医療機関でカウンセリングなどの治療を受けることとなりました。並行してギャンブル依存症同士の自助グループへ現在も通い続け、回復に尽力しているということです。
内容はフィクションながら綿密な取材に基づき、依存症の実情を生々しく描いたこの漫画。編集部は三森さんを取材し、この病気にどう向き合えばいいのか、詳しい話を聞きました。
協力・作品提供:三森みさ(@mimorimisa)さん
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ほのぼのしたビジュアルで、「ギャンブルをもう少し自重していただくことは可能ですか?」とか急に聞かれるのがシュールだしシビア。