東京五輪、中止の可能性 IOC会長「WHO勧告に従う」発言を受け国内に波紋

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 13日、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は、新型コロナウイルスの感染拡大で開催可否が議論されている東京オリンピックについて「WHOが中止を進言してきた場合、勧告に従う」と述べました。

 またアメリカのトランプ大統領も12日、東京オリンピックは1年延期するのが良いかもしれないと発言。少しずつ延期・中止のムードが漂い始めています。

 国内では、6日に五輪組織委の森喜朗会長が「中止はあり得ない」と発言。東京都の小池百合子知事も12日に同じ立場を重ねて強調しましたが、今回のIOCの発表を受けて、改めて中止・延期論が加速する可能性が高そうです。

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「WHO勧告」の評価は?

 SNS分析ツールを使用して「WHO (勧告 OR 助言)」に関するツイートを解析した結果、63%がネガティブな内容を投稿していたことが分かりました。

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「WHO勧告」の盛り上がりは?

  IOC会長の発言が報道された13日6時以降、トレンド件数が増え、8時がピークとなりました。

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「なぜ東京五輪は開催前提?」「他のイベント中止なのに」など批判の声も

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、政府は大規模イベントの開催を自粛するよう要請してきました。結果、プロスポーツはもちろん学生スポーツも中止が相次いで決定されています。

 一方、最も巨大なスポーツイベントである東京オリンピックについて、五輪組織委はこれまで開催を前提とし、その上で最大限の対策を講じる姿勢を崩してきませんでした。

 中止に出来ない理由の一つとして、経済的損失の大きさが挙げられています。
 ウォール・ストリート・ジャーナルの記事によれば、IOCの収入のおよそ7割は放映権料とあります。そのため東京オリンピックを中止にした場合、IOCの経営が危うくなる恐れがあり、開催を前提に話が進められている現状です。

 この点について「経済的損失はどのスポーツも同じ」「そもそもIOCが損をすることはない」などの批判がある一方で「利権あるから止められないだろ」「中止にしたら日本が潰れる」といった反応も見られます。

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「U-23どうなるの?」「選手ファーストじゃない」など代表内定者を心配する声も

 また開催が延期となった場合、選手たちの立ち位置がどうなるのか心配する声も多く聞かれます。
 たとえば、各国のサッカー代表チームは23歳以下の選手たちで結成されます。仮に2022年に延期となった場合、現在23歳の選手は2年後に25歳となり、出場権を失ってしまうかもしれません。

 また、代表に内定した選手たちが、2年後にも同じ技術・体力を維持できるかは未知数です。Twitter上では中止や延期に理解を示しつつも、「安易な延期は選手を度外視した対応」「晩年の選手たちに年単位の延期はきつ過ぎる」といった選手たちに同情的な声が多く聞かれます。

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他のイベントの中止やオリンピック需要の消失を懸念する声も

 東京オリンピックが延期された場合、開催年に予定されている他のイベントも延期や中止が相次ぐのではないかと懸念する声も少なくありません。既に会場を押さえていたとしても東京オリンピックが優先され、開催できなくなる可能性が高いと考えられます。

 また、オリンピック需要を見込んでいた企業を不安視する声も少なくありません。特に痛手となる観光業や宿泊施設、飲食店などからは「どうなるのか分からないと対策できない」「早く方針を決めて」と、早期の決断を求める声が多く聞かれます。

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冬季オリンピックやサッカーW杯と開催が重なる懸念も

 延期が2年後になった場合、2022年開催の北京冬季オリンピック、サッカーW杯、アジア競技大会などと開催年が重なります。
 仮に東京オリンピックが2022年の同じタイミングで開催されるとした場合、3大会の開催日程は以下のようになります。

  • 北京オリンピック:2月4日〜2月20日
  • 東京オリンピック:7月24日〜8月9日
  • アジア競技大会:9月19日〜9月25日
  • サッカーW杯:11月21日〜12月18日

 開催期間自体は重なりませんが、大規模なスポーツ大会が続くため「準備が大変では?」などの懸念が上がっています。一方で「1年中お祭りムードで盛り上がりそう」「スポーツ一色になって良いのでは?」と歓迎する意見も聞かれます。

 他にも「2032年に延期が妥当」「2036年に再開催が良いのでは?」「順繰りに延期して2024年開催ではダメなの?」など、様々な意見が出ています。

 この点について、五輪組織委・高橋治之氏がウォール・ストリート・ジャーナルの取材に応じた際、「中止にした場合、IOCの財政が厳しくなる」「2021年は既に大規模なスポーツイベントの日程が固まっているため、2年後のほうがやりやすい」と発言。しかし、朝日新聞の報道によれば、同日に森喜朗氏が電話で高橋氏に真意を確認した際、高橋氏は「口を滑らせてしまった」と謝罪し、延期の可能性を否定したとされています。

 目下、日本は開催を前提に最大限の防疫対策を講じる方向で動いていると思われますが、徐々に延期・中心論が熱を帯びてきました。早期の決断を求めている声も出ている中で今後の舵取りが注目されます。

調査概要

調査期間2020年2月29日~3月13日
調査対象Twitter
調査件数1万7878 件(10%サンプリング)
調査キーワードWHO (勧告 OR 助言)
調査方法対象期間のTweetを「SocialInsight」によるテキストマイニングにより分析
備考実数に近づけるため件数を100%に補正

※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

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