胃痛や胃もたれがあるが検査しても病理的な症状がないときは「機能性ディスペプシア」の可能性

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 東京都医師会理事で「鳥居内科クリニック」院長の鳥居明氏が、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。春に注意したい消化器系の病の1つ、「機能性ディスペプシア」について語った。

※画像はイメージです
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「機能性ディスペプシア」 ~慢性的に胃痛や胃もたれの状態だが、病理学的な症状はない

飯田浩司アナウンサー)春に注意したい消化器系の病のなかで、今回は「機能性ディスペプシア」について伺います。「聞いた覚えがあるぞ」という病気なのですが、改めて教えてください。

鳥居)「ディスペプシア」は直訳すると「消化不良」です。特に胃の症状が中心になります。

飯田)胃の症状。

鳥居)胃潰瘍や胃がんがないにも関わらず、胃痛や胃もたれなどの症状が出るのが特徴です。昔は「慢性胃炎」や「神経性胃炎」と言われていましたが、慢性的に起きる状態が「機能性ディスペプシア」です。

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具体的な病気はないのだが慢性的な症状が続く

飯田)胃炎とは違うのですか?

鳥居)慢性胃炎は病理学的に組織を取ると、そこに炎症がある状態を示します。ただ、炎症があっても、必ずしもすべてに症状があるわけではありません。機能的な異常、運動異常や感覚異常がある場合、機能性ディスペプシアの病態になります。

飯田)人間の身体というのは不思議なものですね。

鳥居)内視鏡で検査しても特に病気が見つからないのだけれど、慢性的な症状が続くことは少なくありません。

飯田)具体的にはどんな痛みを訴えられるのですか?

鳥居)普通の胃炎や胃潰瘍と同じような痛みです。お腹が空くと痛い。また、「早期飽満感」と言いますが、少し食べただけでお腹が一杯になってしまうなどの特徴があります。

新行市佳アナウンサー、鳥居明氏、飯田浩司アナウンサー
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ストレスが原因で発症する場合が多い

新行市佳アナウンサー)機能性ディスペプシアに罹る患者さんは増えていますか?

鳥居)増えています。過敏性腸症候群もそうですが、原因の1つにストレスがあり、10%~20%くらいいらっしゃると言われています。病院を受診する方のなかで、胃の症状の半分くらいが機能性ディスペプシアによって起きているという統計も出ています。

新行)多いですね。

鳥居)実際に胃潰瘍や胃がんがある方、逆にそのような症状が見つからない方や、胃炎が強く見られる方のなかには、機能性ディスペプシアが隠れていると言われます。

飯田)症状は出るけれど、内視鏡などで覗いてみると「綺麗な胃ですね」と言われるのですか?

鳥居)強い所見がないにも関わらず、いろいろな症状が出ている状態ですね。

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「機能性ディスペプシア」の治療法

新行)どのような治療法になりますか?

鳥居)酸を抑えるH2ブロッカーやプロトンポンプインヒビターと言う、潰瘍などに使う薬がよく効くと言われています。また、胃の動きをよくする薬や、感覚を敏感にしすぎないような薬を組み合わせて使うのが有効とされています。

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20代~30代、高齢者などに多い

新行)年齢的な傾向はあるのでしょうか?

鳥居)いちばん多いのは20代~30代の若い方です。ストレスを受けやすい方に起きると言われています。もう1つの山は高齢の方ですね。生活環境の変化によって症状が出やすいのです。

飯田)退職などがストレスになるのですか?

鳥居)職場環境の変化もありますし、家のなかでの立場の変化もあると思います。

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番組情報

モーニングライフアップ 今日の早起きドクター
毎週月~金曜日 朝6:15~番組HP
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます

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