子持ちの主婦層を取り込んだ? 「あつ森」を新しく始めた人の特徴を調査してみた!

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 無人島にプレイヤーが移住し、住人たちと交流したり無人島を自分好みの島にしたりして、ほのぼのとしたスローライフを送ることができる大人気ゲーム「あつまれ どうぶつの森」(以下、あつ森)。ゲーム総合情報メディア「ファミ通」が発表した2020年上半期ゲームソフト売上ランキングで断トツの1位に輝き、Nintendo Switch向けタイトル歴代最高の販売本数を更新。10年ぶりにパッケージ版単独で累計500万本を達成しています。

 筆者自身、以前からどうぶつの森シリーズが好きで、本作をプレイしていますが、歴代最高の販売本数となった背景には、既存ファンに加えて、いままで家庭用ゲーム機でプレイしていなかった新規ユーザーが多数プレイし始めたということが考えられます。

 そこで本記事では今まで家庭用ゲームをプレイしておらず、あつ森を始めたユーザー(以下、「あつ森新規ユーザー」)がどのような人たちなのかを調査・分析しました。また、あつ森に関してネットで検索されている内容について、その時系列での変化を調べてみました。

画像は「あつまれ どうぶつの森」公式より引用

 分析にあたっては、株式会社ヴァリューズが独自保有する許諾を得た国内ネットユーザーのインターネット行動ログおよびアンケート結果を使用しています。20代以上のネット利用ユーザーを対象としています。

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「あつ森新規ユーザー」比率

 調査・分析するにあたっての「あつ森新規ユーザー」の定義ですが、“あつ森がきっかけで任天堂公式サイトに初めて訪問した人”としています。

 詳細には、2020年以降「あつ森」公式サイトに接触している人の中で、過去1年(2019年内)に任天堂公式サイトに接触していない人を「あつ森新規ユーザー」と定義。月ごとにあつ森公式ページへの接触者数をみると、発売直後の2020年3月には123万人、4月には115万人がサイトに訪問しています。

 新規ユーザー比率は3月は42%、4月は60%で、5月に入っても60%をキープ。3月まではもともと任天堂サイトを利用している既存のユーザーが多いのに対し、4~6月は新規ユーザーが多いことがわかります。

 あつ森発売直後に既存ユーザーが多数アクセスしたのに対し、4月~6月にはその人気やおもしろさを聞きつけて初めて利用した人や、時期的にも新型コロナウイルスの影響で自粛期間となり“おうち時間”が増えてゲームを始めた人も含まれているかもしれません。

「あつまれ どうぶつの森」公式サイト訪問者数の推移(PC、スマートフォン合算)
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「あつ森新規ユーザー」ってどんな人?

 「あつ森新規ユーザー」の特徴を調べました。比較対象として、「あつ森ユーザー全体(あつ森ページを観ている人全体)」、「任天堂サイト接触ユーザー(任天堂サイト利用者全体)」、「日本全体」におけるデータも記載しています。

性別・年代・同居家族

 「あつ森新規ユーザー」の性別・年代をみると、女性比率が「任天堂サイトユーザー」と比較して高く、また女性30代以上の年代割合が大きいことがわかります。

 同居家族をみると、「任天堂サイト接触ユーザー」は、未就学児・小学生の子どもがいる世帯が多く、プレゼント目的で閲覧している人も多いと思われます。一方、「あつ森新規ユーザー」は、中高生以上の子どもがいる世帯が多く、年齢層の低い子どもへのプレゼント用というよりは、中高生や自分でプレイしたい大人層にヒットしたようです。

性別年代比較
同居家族構成

メディア視聴時間

 メディア視聴時間を調べると、「あつ森新規ユーザー」は、他と比べて平均テレビ視聴時間が10分以上長いです。インターネット利用時間も、「日本全体」よりは長いものの「任天堂サイト接触ユーザー」や「あつ森ユーザー全体」と比べると、インターネット利用時間は短いことがわかります。

メディア視聴時間

SNS・動画・ゲームアプリ利用状況

 SNS利用状況をみると「あつ森新規ユーザー」は、LINEやSNS利用率が高くなっていました。あつ森ユーザーのSNSを見てみると、島の風景画像やマイデザインを発信している人も多く、 SNSで投稿されたプレイ画像をみて、やりたくなったユーザーもいるのではないかと思われます。

 また、「あつ森新規ユーザー」の動画アプリ利用時間やゲームアプリ利用時間は、「任天堂サイト接触ユーザー」や「あつ森ユーザー全体」と比較すると短い傾向があります。「日本全体」と比較するとゲームアプリを利用してはいるものの、動画アプリやゲームアプリはあまり利用しないようです。

SNS・動画・ゲームアプリ利用状況

購買行動

 次に、購買行動に着目してみます。1カ月あたりの平均支出項目をみると、「あつ森新規ユーザー」は、もともと国内旅行や服・靴・かばん、ライブ・コンサートの鑑賞に対する支出金額が大きいです。新型コロナウイルスの影響で外出自粛要請が出される中、こうした趣味を楽しみにくくなったことでゲームを購入した人もいるのではないでしょうか。

 購買情報収集意識をみると、「あつ森新規ユーザー」は、購買行動への意識として「品質が高ければ価格が高くても買う」、「高価なものでも衝動買いすることがある」、「クチコミや評判を参考にする」といった項目にあてはまる人が多く、良い評判を聞いて、欲しいと思えば、Switch+ソフトという数万円単位の買い物でも購入に移ることができる人だと想像されます。

1カ月あたりの平均支出
購買情報収集意識

特徴的な利用アプリ

 利用しているアプリをみると、「あつ森新規ユーザー」は、「どうぶつの森 ポケットキャンプ」の利用率が16%と最も高く(あつ森ユーザー全体では12%、任天堂サイト接触ユーザーでは6%、日本全体では2%)、ポケットキャンプの利用をきっかけに、あつ森の新規購入につながっていると考えられます。

アプリランキング(利用率差順)

興味関心項目

 「任天堂サイト接触ユーザー」や「あつ森ユーザー全体」の興味関心項目をみると、「ゲーム」「アニメ」「マンガ」への興味関心が特に高いです。一方で、「あつ森新規ユーザー」は、ゲームへの関心も高いですが、「イベント、コンサート」「レジャー施設、テーマパーク」「お笑い芸人」「写真、カメラ」といった項目への興味関心も高く、ゲーム以外にも興味関心が多く多趣味なユーザーであると言えます。

 また、外出自粛でそれらの趣味をできなくなったユーザーが自宅でできる趣味としてあつ森に関心をもち、新たにSwitchを購入してプレイしているという経緯も考えられます。

あつ森新規ユーザー興味関心マップ
マップの見方として、上に行くほど興味関心があると回答した人が多い項目、右に行くほど日本全体平均と比較して興味関心があると回答した人の割合が高いサイトです。すなわち、右上にある項目ほど、対象者のうち多くの人が特徴的に興味関心をもっている項目となります。
あつ森ユーザー全体興味関心マップ
任天堂サイト接触ユーザー興味関心マップ
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検索キーワード調査

 月ごとに「あつ森」というワードと一緒に検索されたキーワードを調査しました。図には各月50位までのワードランキングを記載しています。

 ※分析には150位くらいまでのワードを使用しており、ランク外のワードについての記述もしています。

 ※一部ゲームの進行とともに開放される機能についてネタバレがありますのでご注意ください。

3月

 3月は、「Switch」「予約」「抽選」「同梱版」といったワードが大きく、購入に向けた検索行動が多いです。「島の名前」「魚」「フルーツ」「虫」「てっこうせき」「化石」「価格」「買取」といった検索も多く、序盤の島の様子や暮らし方に関して検索しているようです。

4月

 4月に入ると、「マイデザイン」「攻略」「カブ」「花」「交配」といったキーワードが増えており、島のデザイン・魅力付けやベル(あつ森内で使用する通貨)の効率の良い増やし方といった、一歩進んだ遊び方の検索がみられます。

 「住民」「AMIIBO」、その他住民名の検索も増えています。あつ森では島の発展に伴って住民を増やすことができますが、どんな住民がいるのか気になる、また好きな住民を呼びたいという意図での検索がみられます。

 「イースター」の検索も大きく、季節限定イベントを楽しんでいる様子もみられます。

5月

 発売から2カ月が経過していますが、検索数は伸びていました。

 5月は、「橋」「道」「島クリエイター」といったキーワードが増えており、ゲームが進むと開放される島クリエイター機能で島自体をデザインしている人が増えている様子です。

 「マイデザイン」「デザイン」「家具」といったワードも引き続き伸びており、島や家のデザインについて調べている人が多いです。「レシピ」「DIY」「美術品」「流れ星」といったキーワードも増えていて、虫や魚以外の家具や美術品、DIYレシピを集めたり調べたりする動きも活発になっています。

 序盤の攻略も終わり、島の開発を進めている人が増えていそうです。

6月

 季節イベントである「ジューンブライド」の検索数が非常に伸びています。

 「マイデザイン」「住民」「カブ」は安定して上位にランクインしています。マイデザインは島を作っていく過程ごとに検索するため回数が増えそうです。「魚」「虫」は毎月ランクインしています。

 6月は「虫取り大会」も上位にランクインしています。月ごとに出てくる虫や魚が変わるため、毎月チェックする人が多そうです。

 さらなる島の開発やデザイン、それに必要な資金の調達、博物館やレシピのコンプリートを進めている人が多いのではないかと思います。

あつ森掛け合わせワードランキング
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まとめ

 島を柔軟にデザインできて、そのためにお金を集める、資源を集める、といった集めて作り上げる楽しさ。虫や魚、花に加えて、新しい住民や離島での新しい出会い。遊び方や楽しみ方がたくさんあり、季節イベントなど新しいコンテンツによって、口コミなどからユーザー数が増えているようです。また、家でゆっくり楽しめることや、外出自粛の情勢もあり、今までゲーム機を持っていなかったユーザーが増えていることがわかりました。

 検索キーワードの変遷をみても、ゲームが進んでいくにつれてできることの幅も増え、日々プレイして楽しまれていることが感じられました。今回、6月までのデータを使用していますが、7月の素潜りの解禁には驚きました。筆者自身も四季折々のイベントを楽しみにプレイしていきたいです。

※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

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