「宇宙空間では身体的に性行為はできるの?」 有識者が回答

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 1961年4月12日、ボストーク1号とユーリ・ガガーリンが人類初の有人宇宙飛行を成し遂げてから60年が経った2021年。

 今後、人類が宇宙空間で生活することが現実味を帯びるなか、地球空間とは異なる環境下での生活方法も避けては通れない問題になるでしょう。そこには、衣食住や文化、娯楽等と並んで「性の問題」も含まれることは間違いありません。

 今のところ、NASAやJAXAでは宇宙での性行為に関する研究や発表は行っておらず、また、宇宙が舞台の名作映画などでも、 「宇宙での性生活」についてはほとんど描かれていません。

 このテーマについて、物理学をはじめ、宇宙に造詣の深い有識者に、科学的観点から素朴なギモンを尋ねてみました。

竹内 薫 さん
サイエンス作家。東京大学教養学部教養学科(科学史・科学哲学 専攻)・東京大学理学部物理学科卒業。マギル大学大学院博士課程修了(高エネルギー物理学 専攻)。理学博士(Ph.D.)。大学院を修了後、サイエンス作家として活動。物理学の解説書や科学評論を中心に、150冊あまりの著作物を発刊。物理、数学、脳、宇宙、AIなど幅広い科学ジャンルで発信を続ける。

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宇宙空間では身体的に性行為(SEXやマスターベーション)はできるの?

画像:PIXTA

SEXの際はどちらかが固定されていないと「作用・反作用の法則」で相手が飛んでいくかも

 できると思いますが、SEXの際は注意が必要です。

 無重力空間の場合、「作用・反作用の法則」(ある物体に力を加えると逆向きの力でその物体から押し返されるという物理法則)が顕著に現れます。

 なので、SEXの際に相手と押し合うと、その拍子にお互いが反対方向に飛んでいってしまうかもしれません。狭い宇宙船の中 では、頭や身体をぶつけてしまう危険もあります。

 常に二人が身体を密着させるか、一人がどこかに固定された状態にしておくことが必要かもしれませんね。

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宇宙空間での性行為、体への影響や、気を付けるべきことは?

画像:PIXTA

血液が下半身でなく頭の方に溜まりやすいので「興奮時の血圧管理」に要注意

 地球上では重力のために下半身に血液が溜まりやすいのですが、宇宙では頭に血液が多い状態になります。

そのため、激しい運動や感情の高まりによって血圧が上昇すると、脳の血管が切れてしまうという心配があるのではないでしょうか。

性行為(SEXやマスターベーション)をする際にも、血圧を適切に管理することが必要になるかもしれません。

ED(勃起障害)のような症状が起きる可能性も

 無重力空間では下半身の血流が減るため、EDのような症状が生じる可能性もありますね。

ただ、筋力を維持することで、血流も維持することができます。

宇宙での筋力維持についてはかなり研究が進んでおり、エアロバイクなどを使用したエクササイズの時間を多めに設定するなど、十分に対策がなされています。なので、血流低下を、運動による筋力維持でカバーできている可能性もあるので、実際にEDの症状が起きるかどうかを知るためには、今後の研究や報告を待つしかないですね。

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