大友克洋監督、紫綬褒章を受章 芸術文化の発展に大きく貢献会見一問一答

アニメ分野では98年秋の高畑勲監督以来となる。

» 2013年11月02日 05時00分 公開
[高橋史彦,ねとらぼ]
画像

 漫画家・アニメーション監督の大友克洋さんが、2013年秋の紫綬褒章を受章した。「長年にわたり、圧倒的な画力(描写)と構図、物語の構築力、鋭い映像感覚をもとに、優れた作品を数多く発表し、国際的な注目を集めるなど、わが国芸術文化の発展に大きく貢献したこと」が理由で、アニメーション分野における受章は、1998年秋の高畑勲監督以来となる。

 デビュー40周年を迎えた今年は、7月に最新作「火要鎮」を、オムニバス形式の劇場アニメ「SHORT PEACE」で公開したほか、9月に決定した2020年の東京オリンピック開催を、代表作「AKIRA」で予見していたこともネットで大きく話題になった。

 大友さんは10月31日に都内で記者会見し、受章について「自分が対象になるとは知らなかったので驚いた」とコメント。自身の創作活動について「(出来上がったばかりの作品は)自分では面白いと思っているが、客観的にみるのは難しい。こないだ久々にAKIRAをみたら『(当時の自分は)へ〜頑張っているなぁ』と思った。たまに古い作品を見ると良かったなと思う」などと語った。

一問一答

――受章の一報をきいたときの感想

 章があることは知っていたが、自分が対象になるとは知らなかったので驚いた。そんな年になったのかな。

画像

――これまでを振り返ってどのような作家人生になったと思うか

 まだ、終わったわけではないので振り返ったことは全然ない。自分の中では淡々とやってるつもり。「AKIRA」はやはり転機になった。

――作品づくりでこだわっていること

 一貫して何かあるかもしれないが、時々によって変わる。発表する際が作品の旬でありたいと考えている。そこには当時の自分の考えや時代が反映されている。

――ライフスタイルについて

 朝9〜10時に起きて、天気が良ければ散歩などをして11時〜22時まで仕事。夜は気分が良いと酒を飲む。最近は忙しくて深夜2時頃まで仕事。机に向かっての作業は約8時間。それ以外に、いろいろと考える時間が必要で、起きている間は大体考えている。女房にはいつもぼんやりしていると言われ、実際半分そうかもしれないが、ぼんやりしていないとでてこないこともある。

――楽しみを感じるとき

 企画当初は、「こんなことをやってみたい」「時代の感じからこんなことをやらなければ」と空想が広がって楽しい。実際に作っていると少しづつ変わっていく。映画は企画から考えると1本で約3年かかる。すると、最初に面白いと思ったことを持続するのは大変。やろうとしたことができなくて、完成した時にがっかりすることもある。自分では自分の作品がよく分からない。面白いと思っていても、客観的に見ることは難しい。こないだ久々にAKIRAを見たら「へ〜頑張っているなぁ」と思った。たまに古い作品を見ると良かったなと思う。

画像

――昨年、復興支援として原画展を開催していたが、被災地との関わりについて

 当時、国のお金が行かないような小さな団体がたくさんあった。原画展のメンバーと話しあい、そういうところを支援したい、目が届く範囲でやってみたいと思った。多くのお客さんが来てくれて支援ができたから満足している。ただ、チャリティ企画なのに税金は高かった(笑)。今後も何かやろうと思っているが、方法は考えなければいけない。

――現在の日本をどうみているか

 東京オリンピックも決まって、経済的に明るくなるのかなと漠然とした期待はある。ただ、浮かれてもしょうがない。新しい時代に向けて、自分なりの作品を作りたい。

――日本のアニメは海外で人気があるが、今後の展望について

 全体ではややピークがすぎた感じがする。若い人があまり出ていなく、業界内の活気はいまひとつ。大ヒット作はあっても、業界として潤沢な資金があるわけではない。個人的には、こういう章を頂いたので、新作にチャレンジしたい。

――注目している地域はあるか

 アジアのアニメなどが話題になったが、そんなに面白いかといえば意外とそうでもない。この業界は、いつどこから誰がでてくるのか分からない。

画像 「SHORT PEACE」Blu-ray Disc&DVDは2014年1月16日発売 6090円(BD)、5040円(DVD)

――「SHORT PEACE」では、年代の若い人と仕事をしていた。若者について

 自分で育てる気持ちはあまりないが、若い人・面白い人とは一緒にやりたい。昔のアニメや漫画は日陰者というか、自分の好きなことをできた。近頃は企業も大きくなり、その中での企画が多くなった。そこに、新しい人や変わったことをやってる人は入れない。本来は業界が成長したならば、そういうプレイヤーに光をあてるべきなんだけど、なかなか難しい。次回またオムニバス形式があった時には、そういう面白い人を集めてやりたい。

――若者へのメッセージ

 自分は先輩にいろいろ教わってきた。今は本屋に行けば、かなりのことまで分かる。問題は本人がどうやるかで、これは人によって違う。努力の仕方を教えることはできても、作品つくりは自分でやってもらうしかない。若い人には「ここまできてよ」と言うしかない。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/25/news016.jpg 「電車の中で見ちゃダメ」「笑ったww」 実家からLINE「子ヤギがすばしっこくて捕まらない」→送られてきた衝撃姿が320万表示!
  2. /nl/articles/2404/23/news090.jpg 誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
  3. /nl/articles/2404/21/news011.jpg 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  4. /nl/articles/2404/25/news043.jpg 娘の給食の献立表を見たら…… 正体不明の“謎の料理名”が「これはわからんw」と話題に その意外な正体に納得!
  5. /nl/articles/2404/25/news129.jpg プロ野球チップスでまた“不良品”流出 伊藤大海「176m」表記に続き…… カルビー謝罪「深くお詫び」
  6. /nl/articles/2404/24/news018.jpg 1年半ケージに引きこもっていたシャーシャー猫が、ある夜布団に入ってきて…… 感涙の行動に「まるで別猫」「こんな日が来るなんて」
  7. /nl/articles/2404/24/news017.jpg メルカリで300円の紙モノセットを買ってみたら…… 出品者のあたたかな心遣いに「利益は考えていないんでしょうね」「見ててわくわくします」
  8. /nl/articles/2404/23/news185.jpg 子どもに高級キーボードのパーツを捨てられた → 公式の“先読みしすぎた対応”が話題「そういうこともあろうかと」
  9. /nl/articles/2401/18/news015.jpg 巨大深海魚のぶっとい毒針に刺され5時間後、体がとんでもないことに…… 衝撃の経過報告に「死なないで」
  10. /nl/articles/2404/22/news124.jpg ダイソー「マルチ万能ほうき」が家事ラクの救世主 名前負け知らずの便利さに「これやばっ!!」「220円に驚き」の声
先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」