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» 2016年02月25日 16時04分 UPDATE

VRのハードル下げるか――日本発、視線追跡型VRヘッドセット「FOVE」

日本で開発されているVRヘッドセット「FOVE」は、視線追跡技術を活用している点が特徴。高価なコンピュータでなくてもVRコンテンツが楽しめ、普及へのハードルを下げる可能性を秘めています。

[松岡洋,ねとらぼ]

 VR(バーチャルリアリティー)ヘッドセット「Oculus Rift」製品版の予約が始まる(関連記事)など、VRがいよいよ製品となって私たちの手の届くところまでやってきました。日本からもソニーが「PlayStation VR」を投入予定ですが、日本発の製品はそれだけではなく、他にはあまり見られない視線追跡型VRヘッドセット「FOVE」も開発されています。ベンチャー企業FOVEの小島由香CEOに話を聞いてきました。

FOVE FOVE公式サイト

 FOVEがOculusやPlayStation VRと大きく違うのは、VRヘッドセットに視線追跡機能が組み込まれていることです。視線追跡とは、人がどこを見ているのかを機械で検出する機能で、これを組み込むことで、装着者の視線の動きを捉えることができ、さまざまなことが可能になります。

 人の視野のうち、視線の向いている部分以外の解像度はそれほど高くありません。これに合わせて、視線の向いた部分だけを高解像度で、それ以外を低解像度でヘッドセットのディスプレイに表示すればコンピュータの処理を軽減できるのですが、Oculusなどでは視線の向きにかかわらず全てを高解像度で表示しています。このため処理に高価な高性能コンピュータが必須となり、これが一般消費者への普及のハードルとなっています。FOVEでは画面の一部だけを高解像度、それ以外の大部分を低解像度で表示できるため、高価なコンピュータでなくてもVRコンテンツを楽しむことが可能となるのです。また遠隔地からイベントに参加するなどのテレイグジスタンス(遠隔臨場感)という用途もあります。

 FOVEの原点は、小島CEOが前職のSCE(Sony Computer Entertainment)で社内コンペに出した提案。ゲーム機「PlayStation Vita」のカメラで視線を追跡し、ゲーム内のキャラとアイコンタクトするというものでした。その後友人のロックラン・ウィルソンさんと独立して本格的にFOVEの開発に取り組みむことに。昨年クラウドファンディングサイトKickstarterで開発のための出資を募り、目標額の160%となる40万ドルを調達しました。

FOVE CEO 小島さん(右)とロックランさん(左)

 視線追跡の技術や装置はこれまでにもさまざまなものが開発、販売されてきました。しかし多くは据え置き型の装置で、視線を追跡できる範囲が限られていました。少しよそ見をしただけで追跡できなくなるなど、実用上の制約が大きく、ブレークするには至らなかったのです。

 FOVEでは視線追跡装置をVRヘッドセットに組み込むことで、目に非常に近い位置に固定できるため、高い精度で追跡することができます。小島さんによると実際の視線との差異は0.2〜0.5度の精度となっているとのことで、実際に画面上で正確に視点を追跡していました。

FOVE 視線の位置にビームを発射

 ヘッドセットの両目にはぞれぞれ6個の赤外線LEDが設置され、LEDに照らされた瞳を小型カメラで撮影して視線を割り出しています。

ah_fove4.jpg 小型カメラで赤い点=視線を割り出した様子

寝たきりのおばあちゃんが結婚式に参列

 視線追跡をテレイグジスタンス(遠隔臨場感)に応用した例として、昨年ニュースなどで話題となったのが、結婚式場にロボットを設置して、寝たきりのおばあちゃんの視線でロボットを操作する遠隔結婚式です。

 結婚式場に行くことができないおばあちゃんのために、FOVEと人型ロボット「Pepper」を連動。小島さんとロックランさんが自宅で待機するおばあちゃんにFOVEを装着し、その視線に合わせて結婚式場に設置されたPepperの首が動きます。あたかもその場にいるように結婚式場を眺めることができるのです。

FOVE 遠隔結婚式 遠隔結婚式

 VRヘッドセットは期待されている製品ではあるものの、一般消費者にまで普及するにはそれを動かすコンピュータの性能面のハードルが高く、小島さんも「B2B(企業向けビジネス)から、もしくはB2B2C(消費者に商品・サービスを提供する企業向けのビジネス)から普及していくと思います」と、自身のSCEでの経験も踏まえて語っていました。その意味では、結婚式場のサービスとして今回行った遠隔結婚式もB2B2Cとして導入が期待できるでしょう。

 FOVEは今秋、開発キットを出荷する予定となっています。

松岡洋

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