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» 2017年02月04日 11時00分 UPDATE

“攻めてる”CMはどうやって生まれた? 五ヶ瀬ハイランドスキー場CM担当者に聞いてみた

毎年話題になる五ヶ瀬ハイランドスキー場のユニークなCM。制作者に裏側を聞きました。

[姫野ケイ,ねとらぼ]

 “攻めてる”CMを連発していることで毎年話題になっている日本最南端のスキー場・宮崎県の五ヶ瀬ハイランドスキー場。その裏側を探りました。

五ヶ瀬ハイランドスキー場のポスター

 五ヶ瀬ハイランドスキー場のCMが最初に話題になったのは2013年シーズン。ふわふわのパウダースノーを女性の胸元で表現したちょっとエッチなCMでしたが、テレビ局から放送規制がかけられる結果に。翌年は「その節は、すみませんでした!」と反省し、主人公テッちゃんとヒロイン「南ちゃん」(藤田可菜さん)の恋愛ドラマ仕立てのCMを投入しました。

 2015年シーズンには「新・南ちゃん」を投入し二股をにおわせ、翌シーズンはゲス浮気がバレて振られたテッちゃんが元祖・南ちゃんと再会。最新CMではその路線を踏襲しながら地元を巻き込んだほっこりCMに仕上げつつも、「もしかして俺たち……入れ替わってない?」と流行のネタをぶち込んでくるなど飛ばしています(関連記事)。

 これらのユニークなCMをどのようにして作っているのか、制作秘話を電通九州のCMプランナー、左俊幸さんに聞きました。

―― インパクトの強過ぎるCMですが、内容はどなたが考えているのでしょうか?

左さん 制作会社「ランニング」のメンバーと一緒に、何度も打ち合わせを重ねてギリギリまで考えています。プレゼンした後も、撮影中も、ずっとみんなで話し合いながら、セリフ、コピー、ナレーション、音楽もギリギリまで考えて変え続けています。メンバーそれぞれ笑いのツボも女性の好みも違うので、それが結果的にCMの各タイプのバリエーションになっているような気がします。

一連のCMのヒロイン「南ちゃん」

―― 一連のCMの発端になった2013年シーズンのCMはどういうきっかけで作ったのでしょうか?

左さん 当時の五ヶ瀬ハイランドスキー場は、九州内でもあまり認知度が高くありませんでした。しかし、「宮崎にある天然雪のスキー場」という事実があるので、認知さえしてもらえればお客さんに来てもらえるのではないかと、「天然」をフックにしたインパクトの強いCMを作ろうと思いました。ただ、2013年シーズンのCMに関して振り返ってみると、採用されたクライアントさんの勇気がめちゃくちゃすごいと思います。

―― 2013年シーズンのCMは、深夜のみのオンエアになったとも聞きました。

左さん はい、ほかにも各方面でいろんな問題がありまして、「続編禁止」「下ネタじゃないCM」という条件のもと、2014年は再度企画することになりました。前年のCMは確かにさまざまな問題があったのですが、とにかく話題にはなったので、ここで真面目なCMを作ると、それこそ前年のCMが「ただの悪ふざけ」みたいになってしまうので、「前年のCMに乗っかっりつつも爽やかなCM」を目指しました。そして「南ちゃん」というキャラクターで「日本で一番南にあるスキー場」を訴求していきたいと考えたんです。

―― ネットでの反応についてはどう思っていますか?

左さん ありがたいことに、ネットでの反応は悪くないみたいです。ただ、ネットの反応だけを意識せず、あくまで「来たくなってもらうこと」「好きになってもらうこと」を目的にCMを制作しています。

―― CMに対する地元の反応はどうですか?

左さん 最初のころは、宮崎出身の後輩に「僕の地元で何をしてるんですか!」と怒られたこともありました(笑)。ただ、5年間も続いているので、最近では地元でも結構浸透していて、好感度も高いようです。好感度に関して言うと、CMの企画や内容ではなく、南ちゃん(藤田可菜さん)のキャラクターに負うところが大きいのではないかと思います。

前シーズンCMで結婚した南ちゃんには娘「雪ちゃん」が誕生

―― では、今後も南ちゃんシリーズを続ける予定でしょうか?

左さん 今は正直ノーアイデアですが、「南ちゃん以上の好感度を持つアイデア」が見つからない限りはずっと続けると思います。しかし、今シーズンの来場者数によっては、CMはもちろん、スキー場自体が存続の危機に陥ってしまう可能性もあります。行こうかどうか迷われている皆さんには、来シーズンではなく今シーズン、五ヶ瀬ハイランドスキー場に遊びに来ていただけるとありがたいです。また、近くにお住まいの皆さんには、何度も遊びにきていただけると、さらにありがたいです。

最新CMには町長も登場し町ぐるみで宣伝

―― 「制作メンバーそれぞれ笑いのツボや好みの女性が違うからこそ、CMのバリエーションにもつながった」とのことですが、ここまでたくさんのバージョンを詰め込むと、撮影期間もかかりそうですよね。

左さん 2015年シーズンまでは、1日で全タイプを撮影していました。2016年、2017年シーズンは2泊3日で五ヶ瀬に行って撮影しています。短期間でたくさんのバリエーションを撮影できるのは、クライアントさんの手厚いご協力とスタッフの皆さんの頑張りのおかげです。本当にありがたいと思っています。

―― 2017年シーズンのCMには五ヶ瀬中学校の生徒も出てきて、地元の人の温かさを感じました。地元出演者のみなさんはオーディションなどを行って募集したのですか? 撮影秘話などがありましたら教えてください。

左さん 地元出演者のみなさんは、五ヶ瀬ハイランドの方を通じてご紹介いただきました。ロケハン時に、何人かの地元出演者と会わせていただいたのですが、みなさんとても良い感じの方々でしたのでオーディション等は行っていません。撮影時、五ヶ瀬中学校のみなさんに「五ヶ瀬町の良いところを教えてください」と聞いた際、「美人が多いです!」とものすごい勢いで言われたのは印象深かったですね(笑)。

スキー場スタッフもCMに出演
五ヶ瀬中学校の生徒たち
どこかで見た「もしかして俺たち……入れ替わってない?」ネタも

―― 昨年は客足が落ちてしまったことを2017年シーズンのCMの中でも描いていますが、今年の客足はどんな状況ですか?

左さん 目標は4万人ですが、今年はオープンが例年よりも遅く、オープン後になかなか雪が降らなかったこともあり、まだ目標の半分も達成できていないという、非常に厳しい状況です……(※1月末現在)。でも、最近の五ヶ瀬は雪もバンバン降っているので、今この記事を読んでくださっている皆さんには、ぜひぜひ五ヶ瀬ハイランドスキー場に遊びに来ていただきたいです。

2017年シーズンの目標は4万人

 ユニークさが注目されている五ヶ瀬ハイランドスキー場のCMですが、一番の目的は集客。スキー場存続のためにも、多くの人に足を運んでもらえることを願っています。

姫野ケイ

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