減り続けるバーガー店「ドムドム」 全国を“ドムさんぽ”した「ドムドム連合協会」が語る、今ならではの魅力
ピーク時400店から約50店舗にまで減った、日本初のハンバーガーチェーン「ドムドムハンバーガー」。ファンが今もハマる魅力とは。
日本初のハンバーガーチェーン店「ドムドムハンバーガー」。全国で400店ほど展開されていた90年代に比べてなかなか見かけない存在となっていますが、2月28日に6店舗が同時に閉店。残り54店と数少なくなったことがTwitterで注目を集めていました。
子どものころに味わったお店がなくなるのがさみしいという人もいる一方で、今だからこそドムドムにハマっている人も少なからず存在します。いくつもハンバーガーチェーンが展開されている現在の日本において、ドムドムならではの良さはどこにあるのか――有志でドムドムを応援する団体「ドムドム連合協会」に魅力を語ってもらいました。
ダイエーとともに広がった元祖ハンバーガーチェーン
ドムドムは1970年にダイエーの子会社ドムドムが東京都町田市にて第一号店をオープン。独立店舗のほか、ダイエーの大型店舗に出店する形で広がり、最盛期は北海道から九州まで全国的に400店ほど展開されました。定番メニュー「甘辛チキンバーガー」には今なお根強いファンが。象のロゴに見覚えのある人もきっと多いと思われます。
2004年にダイエーが業績悪化から産業再生機構の支援を受けることになり、北陸や中国、四国地方などからエリア撤退し始めるとともに、ドムドムの店舗数は激減しました。ダイエー・コミュニケーション部担当者に取材したところ、ここ十年ほどは年々1〜5件ペースで減少しているといいます。閉店理由は店舗ごとに業績や契約期間といったさまざまな点から営業判断しているとのこと。
そんな中での「6店舗同時閉店」とあって、ファンからは「とうとうドムドムが事業撤退を決定したのではないか」と不安を覚える声もあがっていました。担当者によると、決算を前に閉店がたまたま一度に重なったただけで、6店舗については事業撤退とは関係がないとのことです。しかし3月には福岡県にある水巻店の閉店も決まっており、ドムドムの数が減り続けているのは間違いないようです。
“ドムさんぽ”に“食べ支え” ドムドム連合協会が愛する理由
数少なくなったドムドムに対し、店舗の全国所在マップを作成したり、訪店を“ドムさんぽ”と称してレポート記事を掲載したりと、とにかくすさまじい情熱を注ぐ私設応援団が存在します。2016年3月より関西を拠点に4人のメンバーで活動する「ドムドム連合協会」(ドム連)です。2月の6店舗同時閉店に注目が集まったのもドム連のツイートがきっかけでした。
ドム連はこれまでドムドム愛好家に向けた同人誌「Domain(ドメイン)」を2冊発行しており、1冊目の創刊準備号は売り切れ。トークイベントも2回開催し、今年1月名古屋での「ドムさんぽナイト」は満員となる25人が参加しました。このほかTwitterやWebサイトを通し、ドムドムの素晴らしさを世の中に広める活動を行っています。
今のタイミングで彼らがドムドムに感じている魅力とは一体どのようなものなのでしょうか。ドムドム全店へのドムさんぽも達成している、副代表のけんちんさんに話を聞きました。
――ドム連のみなさんはドムドムに、ほかのハンバーガーチェーンにないどのような良さを感じているのでしょうか。
けんちん:まず一つ、過去に行ったことがある人は昔の思い出を噛みしめながら食べられることですね。メンバーは30歳前半〜40歳前半なのですが、マクドナルドが高価で買えなかった子供時代、お小遣いで買えるドムドムハンバーガーは身近なファストフードでした。甘辛チキンバーガーやコロッケバーガーは安価なのにしっかりとした味で大好きだったので、今もこうした定番メニューを注文したとき、あのころの味がそのまま味わえてなつかしくなります。
――なるほど、安価でハンバーガーを提供してきた老舗ならではの良さですね。
けんちん:もう一つ、初めて行く人でも感じられるのは“ゆるさ”です。特に、店舗独自の取り組み、接客に、ほかにはないゆるさを感じますね。
――ドムドムって店舗ごとに何か特色があるんですか?
けんちん:例えば田辺店(和歌山県)や岡南店(岡山県)では、メニューをガチャガチャで決めることができる変わった仕組みがあります。あとは店舗限定メニュー、店舗サインなど、標準から少しずれたことを各店がおおらかに実施しているので、それぞれ微妙に違うディテールを探すのが楽しいです。ちなみに田辺店は5月7日に閉店してしまうので、メニューガチャガチャが楽しめるのも今のうちかもしれません。
――そうした差異に惹かれて全国を“ドムさんぽ”してしまうんですね。
けんちん:接客も、ご高齢の店員さんがフランチャイズでされている店舗はまるで喫茶店のような雰囲気です。近所の常連さんが来て、回数券でコーヒーを注文しているようなお店もあって。店内にあわただしさはなく、ゆるい時間が流れているので、とても心地よく過ごせますね。海南店(和歌山県)、水無瀬店(大阪府)、田辺店(和歌山県)などがそんな感じです。
あとは個人的に、出来たてのおいしさが味わえるのも好きです。少人数オペレーションとなっているため、注文を聞いてから作る店舗が多いんです。おすすめのメニューは、やっぱりオーソドックスな「甘辛チキンバーガー」。ドムドムの代名詞とも言えるバーガーで、しっとり甘辛ソースがチキンに絡んでとてもおいしいです。
――最後に、こうしたドムドムの数が減っていることへの思いをお聞かせください。
けんちん:親会社であるダイエーの店舗がなくなっているため、ダイエーに多く出店していたドムドムが減っていくことは仕方がない部分もあると考えています。
ただ、日本初のハンバーガーチェーンがなんの評価もされずになくなるのはもったいない。マクドナルドに先駆けてダイエーの中内社長が作り、一時期時代の最先端を行っていた「ドムドムハンバーガー」がそこにあったという事実は、人々の記憶だけでなく、記録として残して行きたいと思います。
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