踏み出そう、好きな人のところへ。勇気を出そう、夏がくる前に。 マンガ『徒然チルドレン』から『夏が始まる』:週刊少年マガジン×ねとらぼ(1/2 ページ)
みんな、幸せであれ。
どこにでもいる高校生たちを主人公にした青春マンガ『徒然チルドレン』(若林稔弥)。やたらドキドキすると話題の同作がアニメ放送を記念して、ねとらぼに期間限定で登場します!
エピソード:夏が始まる
待ちに待っていたはずの夏休み。でも恋愛関係がもつれた高校生たちは、ちょっとだけ心中複雑。
ケンカ別れした恋人と仲直りできないまま夏休みになったら、会いづらくなってしまう。好きな人がみんなで海に行くらしいけれども、ついていったら相手に迷惑かもしれないと感じてしまう。
まずは自分の気持ちを、ちゃんと伝えたい。じゃないと。夏をすっきりとむかえられない。けじめのつけどころだ。
初キスで大失敗をおかしたために彼女が怒ってしまい、半別れ状態で苦しんでいる内村千秋と飯島香奈。
自分の気持ちも相手の気持ちもよくわかず、相手に迷惑を掛けないようにと引き気味の、菅原卓郎と高野千鶴。
この話と、同じ巻に収録されている「球技大会」で、今まで出てきたキャラたちの恋愛問題に1つ、けりが付きます。
今回出て来るメインの4人は全員草食系。自分からガツガツ踏み込まないもんだから、みんなへっぴり腰。そこがかわいいんだけれども、このままじゃ夏休みになってしまう。
ここで重要になるのが、周囲の友人たちです。今回だと2年4組のクラスメイトの女子が特に目立ちます。菅原に話しかけているのが、ちゃきちゃき元気な苦労人演劇部副部長・松浦彩音。優しくて気を回すのがうまい吹奏楽部員・吉永倫子。パトリシアはテンションが高くて日本語がおかしい留学生。髪の毛グルグル巻な細川数子は恋に迷走する乙女。
女の子同士だと、大体なんとなく「誰が誰を好き」なのか分かっているので、会話のパスを回してうまくいくように振っていきます。持ちつ持たれつ、それぞれみんな別の回で、別のことで悩んでいるから、お互いさま。
『徒然チルドレン』にはものすごくたくさんのキャラクターが出てきます(各巻のラストにQ&A形式の会話をしている一覧表があるのでチェックしよう)。全員がそれぞれ、恋をしたり、友情を育んだり、何かに打ち込んだり。みんななにかで主人公。
視点がどんどん変わることで、高校時代の人間関係のあり方が、多面的に捉えられます。
二人でベストを探すべく突き進む剛田・上根のようなカップルもいれば、いまだにお兄ちゃん離れできない子どものままの妹ほたるもいる。大好きな先輩が卒業して遠恋になってがんばっている笹原みたいな子もいれば、新入生で彼女への片思いに苦しむ一年生・加賀、それを追い三角関係になってしまった七瀬もいる。自信がなさすぎてコミュニケーションが取れないオタク少年・山根のような人間もいれば、自信満々すぎてうっとうしい香取や野呂のような人間もいる。
取り返しのつかないような大事件も、マクロな視点で見れば、青春時代のちょっとした悩みにすぎません。本人たちは告白が一世一代のことに感じられても、ほかの友人からみたら「あれ、まだしてなかったの?」みたいに軽く見えることもある。
「心に移りゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ(心に浮かんでくるとりとめのないことを、特別決まり事もなく書いていると、妙にバカバカしくなってくるものだ)」(「徒然草」序文)
このマンガでは現在進行系で、とりとめなく恋愛・友情・先輩後輩を描いている最中。みんなの恋の行方がどうなるかは、まだ分かりません。けれど、たくさんのチルドレンを観察していったら、彼らの痛みも喜びも成長も、バカバカしく最後に笑えるはずです。
さて、二組の悩めるカップルがどうなるのかは、次のページで確かめてみてください。
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