いま「3D」VTuberが急速に増えている理由と、それでも失われない「2D」の魅力(3/3 ページ)

» 2018年10月07日 12時00分 公開
[たばねとらぼ]
前のページへ 1|2|3       

3Dならではの利点とは

 2DのVTuberが3Dの体を求める理由はたくさんあると思いますが、やはり表現の多彩さやライブ感が圧倒的に高まるということが挙げられます。飛んだり跳ねたり踊ったりなど思い通りのものを表現することは、3Dでしかできません。また、元から3DだったVTuberさんとコラボするために3D化したVTuberもいます。

 2DVTuberになくて3DVTuberにあるもの、それは「奥行き」に他なりません。空間的な奥行きだけでなく、活動の幅もグッと広がっているようです。

 例えば、にじさんじの委員長こと月ノ美兎は2018年4月7日に行われたニコニコ生放送番組「月ノ美兎の放課後ニコ生放送局 」で3Dモデルを“受肉”したことをきっかけに「RAGE バーチャルYouTuber GRAND PRIX〜2018 Summer〜」や「バーチャルカラオケ〜2018・夏〜」などいくつかのイベントで、大物3DVTuberとのコラボを果たしています。「バーチャルカラオケ」では電脳少女シロとのファン待望のコラボを果たし、ふたりで『清楚』の2文字を掲げる場面などはコメントでも大きな盛り上がりを見せました。

 最近でも、「RAGE バーチャルYouTuber GRAND PRIX 〜2018 Autumn〜」やよみうりランドで開催されている「Vtuberland」でたくさんのキャラクターが“受肉”を果たし、大きな話題を呼びました。


2Dならではの、表現を“屈折させる”という良さ

 私がまだ本当に「全員見る男」だったころ、VTuberという略称すら定着していなかった2017年末から2018年1月頃までは、バーチャルYouTuberは“バーチャル”というくらいなんだから3Dで当然だろ! みたいなことを言う人も少なからずいました。

 そもそも英単語としての“virtual”は直訳では“事実上の”みたいな意味ですから、これはあまり正確ではないのですが、いかんせんVRもあまり普及していなかったころの話なので仕方ないのかもしれません。人々のイメージはVRゲーム、日本でいえばPSVRのようなゲームデバイスとイメージの結び付きが強かったのだと思います。

 年末にはヨメミさはなねむくらいしかいなかった2DVTuberですが、1月にはさょちゃん、げんげん、あっくん大魔王、ゴリラなどいまだに爪痕を深く残す面々がデビューしています。彼らが人気を博するとともに、2DもVTuberの世界になじんでいきました。そこに拍車を掛けたのは何と言っても「にじさんじ」の登場です。


いまだに上位に残る人気を誇っている2DVTuber
10分で分からねぇあっくん大魔王

 にじさんじは当初から“バーチャルYouTuber”ではなく“バーチャルライバー”として生放送を活動の中心としていました。にじさんじの誰かが1日1回は放送しており、気が向いたときに取りあえずの気持ちで気軽に見られる。それが日常への親和性を高め、人気を博していったと私は考えます。

 2Dならではの良さとして、イラストのタッチを崩すことなくモデルとして動作させられることがよく挙げられていますが、私は2Dの神髄は表現の狭さにあると思っています。

 VTuberという1つのキャラクター・人格を形成する上で、生々しさというものはある意味ご法度とされています(逆にそれを逆手にとっているような人もいますが)。基本的にはそういうところは隠匿される傾向にありますよね。

 3Dで活動されている方が全てそうだというわけではありませんが、動きの微細な部分に“生きている”感じがどうしても現れます。“生きている”ことが悪なのではないのですが、私みたいなVTuberに入れ込みすぎてしまうタイプの痛いオタクから見ると、なんか少し残念な気持ちがあるのです。「アイドルは排せつをしない」みたいなものと同じです。

 例えば、2Dモデルって姿勢を崩すことがないですよね。普通の人間がカメラの前で長時間配信をすれば多少なりとも姿勢が悪くなったりするものですが、2DVTuberにはそれがない。2Dモデルはその表現の狭さが人間らしい生々しさのようなものを屈折させ、視聴者に届かないようにうまくできているんじゃないかな、と思っているのです。


おわりに

 手軽にVTuberになれるようになって来た中で、“2Dなのか3Dなのか”というのは以前に比べて自由に選べるようになってきました。だからこそ、「自分の表現したいものって何だろう」「それはどう伝えればいいんだろう」のようなVTuber本人のセルフプロデュース力が試されるようになってきています。

 2Dの良さ、3Dの良さ、この記事ではまだまだ語り尽くせていませんが、読者の皆さんも自分にあった良さや表現の方法を見つけてバーチャルの世界へ飛び込み、“受肉”してみてはいかがでしょうか。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」